↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
帰る場所は海の底  作者: cat-run
第四章 深海突入

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/68

第二十八話 出陣

第四章 深海突入

       第二十八話 出陣


 寮にて、必要なものをバッグに詰めていく。


「先輩! これも持って行ったほうがいいっすかね?」


 そう言って、ポートは手に持っていたアヒルのおもちゃを差し出す。


「そういうの持ってくと、荷物がかさむぞ」


 無事に訓練を終えた俺たちは、オーシャンドームの出入り口付近にある海衛団第二拠点へ移動するべく、荷物をまとめていた。


 こちらの寮には、月に一度、二日間しか帰ってこられないとのことだ。


 拠点への出発は明日。


 今日のうちに荷物を整理し、朝イチで出発する。


 正直、向こうの環境が分からないので、何を持っていくべきか考えるのに手間取っていた。


「そういえば、先輩。マールさんに挨拶しに行かないんすか?」


「荷造りが落ち着いたら行くつもり」


 マールとの再会。


 内心、ワクワクが止まらない。


「どうしたんすか? ニヤけちゃって」


 慌てて顔を隠した。


 時刻は夕方。


 コンコンコン。


 アパートの扉をノックしてみる。


「はーい」


 そう言って、扉が開く。


 淡い黄色の髪と、エメラルドグリーンの瞳が覗く。


 カイの姿を見た途端、マールは目を輝かせた。


「カイ!」


「や、やあ、マール。元気に……」


 そう言いかけたとき、マールの腕がカイの体を包む。


「マ、マ、マールさん? い、いったい何を?」


 生まれて初めてのシチュエーションに、カイの脳はショートしかける。


「ごめん。ただ、嬉しくて……」


「無事に私の前に立ってくれていることに」


「お帰りなさい」


 その言葉に、カイもマールを優しく抱き返す。


「ただいま」


 そのやり取りができることに、幸せを感じずにはいられなかった。


 その日の夜は、マールと食卓を囲んだ。


「それで、明日から深海での任務に参加するんだ」


「そうなのね……。それは本当におめでとうなんだけど、やっぱり私は心配だわ」


「殉職する海衛団のほとんどは、深海任務に参加する隊員だもの」


「大丈夫だ。俺はマールを残して死んだりしない」


「カイったら……」


 決して深海任務を侮っているわけではない。


 だけど、死ぬ気なんてさらさらない。


「深海任務に入ると、月に二日しか王城の方へ帰れなくなるんだけど、その二日は丸々休養が取れるんだ」


「だから、その二日のうち一日は必ずマールに会いにくるよ」


「うん、分かった。カイの好きな鯛を焼いて待ってるから」


「ありがとう、マール」


「お帰りなさいっす! 先輩」


 部屋に戻ると、珍しくノースがいた。


「おお、ノース! 悪かったな、夕食のこと」


「別に気にしてはない。カイがこの日を楽しみにしていたことは知ってるし」


「一言余計だよ!」


「カイ、俺たちとは離れ離れになってしまうが、もし何かあったらラートルさんを頼るといい」


「ラートル……」


 カイの頭に、亀の頭が浮かぶ。


「ああ! あの話が長いラートルさん!」


「ああ、あの話すのが遅いラートルさん」


 そういえば、あの人は第三部隊の盾と呼ばれるほどの実力者だったな……。


「らーとるさん?」


 ポートが不思議そうな顔を浮かべる。


「ああ、分かった。ありがとう! ノース」


 早朝。


 ボストンバッグを肩にかけ、王城を後にする。


 ここから、エビぐるまと呼ばれている乗り物に乗って、海底王国北端、ペルシアへ向かう。


 ちなみに、エビぐるまとは馬車のエビバージョンだ。


 軽く一呼吸する。


「行こうか、ペルシアへ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。