第二十七話 新たな場所へ
第四章 深海突入
第二十七話 新たな場所へ
「たとえ、部隊が違っても俺たちの心は一つだ」
そんな桃園の誓い的なことをして、俺たちは講義室に集まった。
部屋に入って、真っ先に目に入ったのはサメの頭だった。
「司書さん⁉︎ どうして?」
「ワイはこの当番なんや。念を押しとくが、決して暇とちゃうで」
前とは違い、穏やかな口調で話す。
デニズも来てくれている。
皆が揃ったことを確認すると、司書さんが咳払いをした。
「これより、カイ、ノース、ポート。以上三名の所属部隊を発表する」
そう言って、机の上に三つの閉じた貝殻を並べる。
「右から順にカイ、ノース、ポートや。貝殻の中に数字があるで」
三人は、それぞれの貝殻の前に立ち、顔を見合わせる。
周囲にも緊張が走る。
理想はゾロ目だ。
「じゃあ、開けるよ」
「せーの!」
カイの掛け声とともに、一斉に貝殻を開ける。
貝殻の中には、真珠のようなものが入っていた。
そこには数字が浮かび上がっている。
数字は、右から順に――三、一、一。
周囲に沈黙が走る。
遠くで、うみねこが鳴いている。
「へ?」
思わず声が裏返る。
俺の貝は三番。
ノースとポートの貝は一番。
「え、俺だけ?」
一瞬、小学校のクラス替えを思い出す。
「えーっと、一緒だな……」
「えーっと、一緒っすね……」
ノースとポートは、お互いの番号を確かめ合う。
そして、俺の方へ哀れみの眼差しを向ける。
「誓ったじゃないっすか! 心は一つだって」
正直者のポートは、俺の心を抉ってくる。
「うん、みんな頑張ろーね。えいえいおー」
「あからさまにテンションが下がってやがる」
「カイ、ポートの言う通りだ。戦う場所は違っても心は一つだ。毎日飯を囲もう!」
その言葉に、少し救われた気がした。
「頑張ろうね!」
そう言うと、三人で握手を交わした。
胸の徽章は、青紫色に輝いていた。
「ちょっと、水を差すようで悪いんやが、君らには特別訓練を受けてもらうで」
司書さんの言葉に、一同が固まる。
「特別訓練?」
「そうや。これから君らの職場は、オーシャンドームと結界の狭間や。よって、水圧軽減と暗視の術を会得してもらわねばならん」
なるほど。
オーシャンドーム、つまり王国から出れば、そこはもう普通の深海。
酸素だって、あるわけがない。
えっと、つまり?
「君らは当分、部隊には参加せーへんで!」
「なるほど、少しお別れムードを作りすぎたのね……」
「わかっているとは思うが、深海での任務は王国のパトロールとは比べ物にならないで。戦いが当たり前の世界や。これからもよく訓練に励み、死なへんよーに戦うんや!」
「はい!」
こうして、もうしばらく俺たちの訓練生活は続いた。




