第二十六話 運命の分かれ道
第四章 深海突入
第二十六話 運命の分かれ道
テラの襲撃から約三ヶ月。
俺、ノース、ポートは、訓練とパトロールを繰り返し、少しでも強くなれるよう励んでいた。
どうやら、あの一件にはマールも関わっていたらしく、俺に化けたテラがマールと接触していたと聞いたとき、俺は血の気が引いた。
ポートによると、マールは連絡を求めていたらしく、あれから文通をして、少しずつ情報を共有していた。
俺自身も、少しずつ体力的にも精神的にも回復してきた。
それに、ここで立ち止まってしまうことを、アスターンだって望んではいない。
そんな感じで、休息とトレーニング、パトロールの日々を過ごしていた。
「カイ、ノース、ポート。少し時間あるか?」
パトロール終わりのミーティング後、デニズに呼び出された。
休憩室にて――。
「単刀直入に言う。お前たちには第四部隊から去ってもらう」
「へ?」
解雇の二文字が脳裏に浮かぶ。
「あー、悪い。そういう意味じゃないんだ」
「お前たちには、他の部隊に移ってもらう」
その言葉を聞いた途端、話が繋がった。
三人で顔を見合わせる。
「昇格ってことですか⁉︎」
「正解!」
「理由は二つ」
デニズが指を二本立てる。
「一つ目は、地底人の襲撃に適切に対処したこと」
「二つ目は、近隣住民の方から、お手伝いへのお礼や、元気を分けてもらっているといった報告を多数受けているからだ」
そういえば、最近は地域の人たちとの交流も、楽しみの一つになっていた。
「以上の点を踏まえ、俺はお前らを別部隊へ推薦する」
「ありがとうございます」
三人揃って頭を下げた。
「ただし、どの部隊に所属できるかは完全に上の判断となる。その点、気をつけろよ」
「ってことは……」
再び、三人は顔を見合わせる。
「離れ離れになる可能性があるってことっすか?」
ポートの言葉に、デニズは無言で頷く。
「部隊は全部で三つ。こればっかりは神頼みだな」
「これから必要な手続きをするから、部隊決定は二日後くらいだな……。そんな顔しなくても、離れ離れになるのは任務のときだけだ」
デニズは優しくフォローしてくれる。
こうして間近で話すのは初めてだったが、意外とちゃんと俺たちのことを見ていてくれていたらしい。
だけど……。
「話は以上だ。時間取らせたな」
そう言って退室しようとするデニズに――
「隊長、お話が……」
カイが切り出した。
ノースとポートが食堂へ向かう背中を見送り、俺はデニズと二人きりで休憩室に残った。
「実は、デニズさんに聞きたいことが……」
「どうした?」
「俺が入団する前に、一度俺たち会いましたよね」
「あのときの言葉の意味を教えてほしいんです」
「ダメだ」
俺は、デニズの急な拒否に戸惑う。
「どうしてですか?」
「その真相は、今のお前にとってノイズになる。お前は今、やるべきことをやっていれば、それでいいんだ」
「分かりません……」
「悪いな。あの言葉は俺の不注意だった。忘れてくれ」
「テラは、カギは世界の鍵を指すと言っていました。俺には何が何だか……」
「忘れろ、カイ」
そう言い残して、デニズは休憩室から立ち去った。
二日後。
俺たちの運命の分かれ道が、今、定まろうとしていた。
「これより、カイ、ノース、ポート。以上三名の所属部隊を発表する」




