↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/69

044.シュヴァルツの激怒

数ヶ月後のヴァイス——

「ご報告します。マジック・アーツ感知システムは売れずに引き揚げてきたとのことです。」

側近の報告にシュヴァルツは激怒する。

「何だと、マジック・アーツ感知システムが売れずに帰ってきただと。本当にやり手の商人に任せたのだろうな?売れなくても売り付けるのが、商人だぞ。」

「何やら、今回もリディア嬢が絡んでいるそうです。我がマジック・アーツ感知システムと似たシステムを無償提供していたとか……。」

「何?無償提供だと。開発に我々が何十億と費やしてきたのに、ヤツは無償で他国に提供していたというのか。」

「はい。商人の話によると、素晴らしいシステムだそうです。これを餌に他の商品を買わせる自信があるとか……。」

「…………。」

「どうかされましたか?」

「そんなに素晴らしいのか?」

「はい。アーツの交換が不要で、交換費用が発生しないとのことです。」

「アーツはシステムを稼働させるためにも必要となる消耗品だ。それが不要とはどういう事だ。」

「現物がないので分かりませんが、何らかの方法で魔力を作成していると思われます……。」

「ふむ……。」

「システムは、大きく3つに分けており、探知、分析、迎撃を柱にしているようで、全て自動とのことです。」

「何だと?迎撃まで自動で行うのか。」

「はい。迎撃にもパターンがあるそうです。こちらに商人が纏めた報告書があります。」

側近は商人が作成した報告書をシュヴァルツへ渡す。シュヴァルツは何かに囚われたかのように報告書を一心に見た。


「ふむ、迎撃方法にも種類がある。不発化、反射、安全に爆破……?ところで、反射とは何だ?」

「攻撃者の攻撃をそのまま返すそうです。」

シュヴァルツの確認に側近は答える。

「と言うことは……。例えば、私が魔導砲を放てば、私自身がその魔導砲を喰らうというわけか。そんなことが、現実的に可能なのか?」

「あらゆる攻撃パターンを何千万回と試しているそうです。そして、これが迎撃の目玉にもなっており、攻撃の抑制に繋がっているそうです。」

「それはそうであろう。誰も自爆したくないからな。」

シュヴァルツは、思わず感心してしまった。


「確かに素晴らしいが、維持費が掛かるであろう。導入はタダでもメンテナンスで金を取るスタイルであろう。」

「いえ、メンテナンスも自動で無償とのことです。しかも、自動アップデートも行われ、不正な改変があった場合は、自動的にロールバックされるそうです。」

側近の返事にシュヴァルツは報告書をクシャクシャに丸めた。


「であれば、セキュリティ面でも万全の対応をしているという事ではないか。」

「はい。無償でありながら、セキュリティ面でも万全なので、次々と導入されていったそうです。」

「ふむ……、だが無償で提供するのだ。何か条件があるのだろう。」

「はい。導入には条件があります。」

側近の返事にシュヴァルツは大笑いした。


「はははっ、やはりそうだ。偽善者でもない限り、無償提供などあり得ん。」

「それが……無償提供する代わりに、削減できた費用を国民に還元するのが条件だそうです。」

「…………。」

「そのため、多くの国が賛同し、導入しているそうです。」

「……それだけか?本当にそれだけなのか?」

「はい。少なくとも、商人からの報告では。」

側近の回答にシュヴァルツが考え込む。

(無料で防衛設備を提供し、維持費も取らず、国民に利益を還元させる……。一体、ヤツは何を企んでいる。)


「……まさか。」

シュヴァルツの反応に側近は驚く。

「殿下、どうなされましたか?」

「分かったのだ。ヤツが無償で提供する理由をな。」

「どんな理由ですか?」

「無償提供する代わりに、防衛費を国民に還元させる。となると、国民は購買意欲が増す。」

「それはそうですが。」

「購買意欲が増せば、商品が買われる。商品が買われると商人が儲かる。そして、物が売れるから生産者も儲かる。」

「……はい。」

「そして経済が活性化すれば、タリアン王国との交易も増える。」

「なるほど。国民を利用して、自国の輸出産業を向上させる狙いですか。」

「そうだ。間違いないだろう。つまり、無償提供することで、周辺国の経済力そのものを底上げしているのだ。」

「…………。」

「周辺国が豊かになれば、当然タリアン王国との交易も増える。それが狙いだ。小汚い真似をしてくれる。」 

「しかし、リディア嬢がそこまで考えておりますでしょうか?」

「ヤツのことだ。何のメリットもなしにやっているとは思えん。」

「あの……。我がヴァイスにも、そのアーツ防衛システムとやらを導入されてはいかがでしょうか。」

「馬鹿者。ヤツに頭を下げられるか。だが、ヤツのシステムを調べておく必要があるな。何とかして入手しろ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。