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043.売れないシステム

ある日のヴァイス周辺諸国にて——

「——以上が、我が国が誇るマジック・アーツ感知システムとなっております。まだ、他国には導入されていない新機能もついております。この販売権、独占権を破格であなた様にお譲りいたします。」

「ふむ……、中々良いシステムであると同時に将来の収益性がありそうなのは気に入った。」

「では、いかがでしょう。お買い上げいただけますかな?」

「……だが、買うとなったら要らないな。」

「何故でございます?」

「似たようなシステムを我が国では導入済みなのでな。悪いが、辞退させていただく。」

「そうですか……。またのご縁がありましたら、その時はよろしくお願いします。」


「似たようなシステムとは何だ?マジック・アーツ感知システムとその仕組みは、ヴァイスの特許だぞ。」

商人は首を傾げながら、次の国へと向かった。


別の国では——

「我が国が誇るマジック・アーツ感知システム、お気に召しましたでしょうか。」

商人の説明に国王は、大喜びした。

「素晴らしいシステムだな。我が国にも、そんなシステムを開発出来る技術が欲しいものよ。」

「では、お買い上げいただけると考えてよろしいでしょうか。」

商人の確認に国王は顔を曇らせた。

「……いや。買わん。」

「何故でしょうか。他国への販売権も有して破格だと思いますが。」

「だから、要らんからじゃ。似たようなシステムを持っておるからのう。」


「またも断られた。ここでも、似たようなシステムと言われた。一体、似たようなシステムとは何だ?このままでは、シュヴァルツ殿下の機嫌を損ねてしまう。何とか売り付けなければ。」

商人は不安を抱えながら、更に別の国へと向かった。


更に別の国では——

「これが、我が国が誇るマジック・アーツ感知システムです。これの販売権を破格でお譲りいたします。」

商人の説明に国王は、目を丸くした。

「このシステムは、有償なのか?」

「はい。アーツは消耗品ですので、アーツの交換費用でも収入を得ることが出来ます。」

「ふむ……。であれば、劣化版のシステムという事ですな。」

「それは、どういう意味でございますか?」

商人は思わず確認する。すると、国王は思わぬことを言った。

「タリアン王国から、感知システムを無償提供してもらっておる。アーツの交換は無いし、アップデートも自動で費用が掛からん。」

「そんなシステムがあるのですか…?」

「お前さんは知らなかったのか。リディア様のお陰で防衛費の削減にも繋がっておる。リディア様との約束通り、削減できた分をどうやって国民に還元するかを考えておる所だ。」


「リディア嬢のシステムは、一体どういう仕組みだ……?」

商人は頭を抱えた。

「アーツの交換不要など、技術的に困難なはずだ。それを無償提供?しかも、自動アップデートまで……。それを無償提供するとは、恐ろしい。」

商人は思わず、ため息をついた。

「このままでは、シュヴァルツ殿下のひんしゅくを買って、首が飛ぶ……。何処かに逃亡したいものだ。」

商人は恐怖を抱えながら、更に別の国へと向かった。


最後と決めた商談相手の国では——

「こちらが、マジック・アーツ感知システムでございます……。」

商人の説明に国王は、笑いながら答えた。

「そんなもの、リディア様のシステムがあれば、不要ですな。」

「またも、リディア様のシステムですか……。」

「何だ?もしかして、リディア様のアーツ防衛システムをご存知で無いのか?」

国王は、知らない方が不思議と言わんばかりの顔で返事する。

「この方に、アーツ防衛システムを見せてあげなさい。」

側近は、商人を連れてアーツ防衛システムを見せた。

「説明は、そこの兵士にしてもらいます。これ、後は頼みましたよ。」

「はっ、承知いたしました。」


「こちらが、探知システムです。ここで探知した物は見逃すことがありません。」

「ふむ、仕組みが違うにしても、目的は我がマジック・アーツ感知システムと同じだな。」

商人は、同じシステムだと思い込んだ。

「こちらが、分析システムです。探知システムで探知した兵器を瞬時に分析して攻撃方法を決めます。」

兵士は、自分の製品であるかのように活き活きと説明する。

「兵器を爆破させるというわけですな。」

商人の返事に兵士は笑った。

「いえ、複数のパターンがあります。不発にさせる、攻撃者へそのままお返しする、安全に爆破させるなど、バラエティに富んでいます。」

「攻撃者へお返しするとは、ユニークな攻撃ですな。」

「そうでしょう。例えば、自分が出した魔導砲を自分で喰らうんです。それって、洒落になりませんよ。」

兵士は大笑いすると、商人は苦笑いした。

「……ところで、このシステムは誰が操作しているのですか?」

商人の質問に兵士は笑って答えた。

「良い質問ですね。実は、全自動なんです。」

「全自動といっても、何処まで自動なんですか?」

商人の質問に兵士はまたも笑う。

「ですから、全自動なんです。言葉通り全部が自動。分かります?」

「では、兵士が操作する必要も無いと……?」

「はい。」

「万が一、故障した場合は?」

「自動で修復します。」

「……年月が経てば?」

「最新版があれば、自動でアップデートされます。」

「……システムを改変されたら?」

「意図しない改変は、ロールバックされます。」

「……そんな恐ろしいシステムを誰が作ったのですか?」

商人の質問に兵士はケラケラ笑いながら答えた。

「タリアン王国のリディア様ですよ。あの人、化け物ですよね。敵に回すとヤバい奴ですよ。」

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