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「はぁ……まだドキドキしてる……」


騎士団から歩いて少し。今日の持ち場までまだ距離がある中、私は高鳴る鼓動をどうにかしようと深呼吸を繰り返していた。


「って、あら?」


……え。いくらお城が広くて入り組んでるからって、こんなところで迷うなんて私ったらどうしようもない……!


自分の心臓にばかり気を取られていたら、見覚えのない道に入り込んでしまっていた。


「あ、あの。すいません……」

「はい?」


声をかけて振り返ってくれたのは、優しそうな騎士の方。

栗色の髪に空色の瞳。

犬科の耳と尻尾。


爽やかな短髪の下の首筋は騎士らしく太く逞しかった。


「あの第三区画まで行きたいんですが……」

「ああ、それならあの角を曲がって……」



「……ありがとうございます! 助かりました」

「いえ。ついていかなくて大丈夫ですか?」

「さすがにそこまでは……」

「あ、そうですよね。でも俺あやしい者じゃないですからね。第二騎士団のアレクと申します。お姉さんは……」

「あ、掃除部のルビーです」

「ルビーさん。覚えました! 騎士団の近くで迷ったら、俺を呼んでください。居ない場合は無理ですけど、出来るだけ案内しますから」

「あ、ありがとうございます……」


リアム様にも迷惑かけてるのに、アレクさんにも気にかけてもらうなんて……私もう少ししっかりしなきゃ。


それからアレクさんと少し話して、アレクさんに途中まではついてきて貰うことになった。


でもアレクさんにもリアム様に言われたように声を掛ける人は慎重に選ぶように言われてしまった。


アレクさんも良い人で良かった。


城にはそんなに変な人はいないんじゃないかな? とは思うけど、確かに私も気を付けないと。



もし城下町とかで迷ったら危ないもんね。仕事中は仕方ないけど、慣れないところに行く時は出来たらクラリスについてきて貰うようにしよう。

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