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それから数日後。

私はまた迷子になっていた。何本もの箒を抱えて。


「こっちでいいんだよね……?」


「あの……」

「はい? ……え」


後ろから声をかけられて振り向いたら、そこにはリアム騎士団長。

私は固まってしまいながらも、彼を見上げた。


相変わらず、綺麗な人だなあ……。


「大丈夫ですか? お待ちしましょうか?」

「えっ、あ、あの……はい……」


急激に顔が熱くなって声も震えて小さくなってしまいつつもなんとか頷いた。


「今日はどこまで?」

「あ、あの騎士団です……」

「なら、一緒に向かいましょうか」

「よ、よろしいんですか?」

「ふふ。何か不都合でも?」

「いえっ、ございませんっ」

「そんなに固くならないで下さい」

「で、でも……」


上機嫌で笑顔を見せるリアム様に私は照れて戸惑いながら、なんとか返事を返す。


「あの後、無事に経理課まで着けましたか?」

「あ、はい。おかげさまでなんとか……」

「そうですか。それは良かった」

「すみません、私極度の方向音痴でして……」

「そうなんじゃないかと思いました」

「えっ! なんで」

「なんででしょうね」


悪戯っぽく笑うリアム様にドキッとしてしまう。

心臓に悪い人だな……。


「方向音痴をなおす方法とかないでしょうか……」

「あー、どうなんでしょうね。初めて行く場所だと誰でも迷う、というかここでいいのかなとはなるとは思いますが」

「そうでしょうか」

「多少は」

「多少かあ……」


私みたいに大体の場所にも迷うなんてことはないような気がする……。


ちょっと凹みながら、ううんと首を左右に振って笑顔を見せた。


「頑張ります」

「頑張る?」


私の宣言が意外だったのか、リアム様は首を傾げて不思議そうな顔をした。


「迷わないように頑張ります」

「そう、ですか。でも分からなかったら聞くことも重要だと思いますよ。聞く相手はよく選んだ方が良いですが。物騒ですからね」

「はい……気を付けます」

「さあ、着きました。この箒は預かりますね。新品の箒でしょう?」


廊下を抜け外に出て少し。騎士団の建物に着いた。


話していたからあっという間だった。


「あ、はい。そうです。手違いで掃除部に届いてしまったものです。印鑑だけいただけますか?」

「そうでしたか。ではこれで。わざわざありがとうございました」

「いえ。では私はこれで失礼します。リアム様、ありがとうございました」

「ええっと、貴女のお名前は……」

「あ、ルビーです。ルビー・フラウディと申します」

「ルビー……またお会いましょう」

「え、あ、はい……」


そんなに会うことあるかな? とは思うけど拒否するつもりはないので、私は控えめに頷いて騎士団を後にした。

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