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「白く長い髪に青紫の瞳の美しい狼獣人……それは第一騎士団団長のリアム・テーデル・フィリチアーニ様に違いないわ!」
「え、間違いなく? 夜会とかでも見たことなかったけどな……」
「そうだね……リアム様はフィリチアーニ公爵家の三男だけど、そういう会は苦手だから参加してなかったみたいだよ。職務もあったし」
「そっかあ。確か今春騎士団長に抜擢されたんだよね?」
「うん!」
猫獣人のメイド仲間クラリスと窓を拭きながら、私が先ほど会った人の情報を聞き出している。
クラリスは平民出身だけど貴族のゴシップなんかにも詳しくて、私なんかより社交したら優秀なんじゃないかと思ってしまうほどだ。
私はデビュタントをむかえてから、義務で社交していたようなものだし……今年十九歳になる私だけど四歳下の弟がいて、本来なら弟が爵位を継ぐ予定で弟がデビュタントをむかえるまで、社交下手な両親にかわって私が社交を頑張ろうと思っていた。
他の貴族の人に顔を覚えてもらって縁が出来て後々弟を紹介出来ればと思っていたのだ。
と、その努力も意味のないものになってしまったけど……。
「でもよく話しかけられたね。圧倒的美って感じじゃなかった? リアム様。リアム様に憧れる人達もあまりの美しさに声をかけるのは躊躇ってしまうって言われてるんだよ?」
「後ろ姿だったからかな。声かけてから振り向かれて目を奪われちゃった」
「なるほどね。リアム様と話したことは出来れば黙ってた方がいいかもね。いらぬ嫉妬をまねくから」
「そっか。わかった!」
「うん! じゃあ、ここも拭き終わったし次の部屋行こっ!」
「うんっ」
あれだけ綺麗な人で騎士団長なら、知ってる人も大勢居るし憧れてる人も多いんだろうな……!
もう会うこともないかもしれないけど、凄い人と話せて良かったと思っておくことにしよう。




