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「えっ、爵位剥奪?」


その日、領地の度重なる自然災害の被害であまりに借金を重ねた父様からそんな言葉を聞き、私は言葉をなくした。




「でもお城で雇ってもらえて良かった……。娼館に売られたらどうしようかと思ったけど、運は尽きてなかった……」

もちろん、華やかなドレスを着ての登城ではないけれど。

これまでのように伯爵令嬢として振る舞う必要もないのだと思うと、いくぶん気が楽で、私は生まれ変わった気持ちで城門をくぐった。



こ、ここでいいんだよね……?

新しく採用された新人メイドの集合場所に着いた私は、同じ制服を着た女の子達が静かに並ぶ列の後ろに並んだ。


「皆さん、初めまして。メイドを統括しているメイド長のアリッサです。まずは仕事別に貴女達を振り分けるから、名前を呼ばれたら列を移動して下さいね」

「はいっ」


新人メイドのさんたちが返事を揃って返し、名前が呼ばれるまで待つことになった。




「ルビー・フラウディさん。貴女は掃除部に所属となります」

「はい! よろしくお願いします!」


しばらくして名前を呼ばれ、先に並んでいた掃除部の人達のもとに向かう。


期待半分、不安半分ではあるけど、出来ることをつくして頑張ろう。


「よろしくね」

「あっ、うん」


隣に並んだ子が小声で話しかけてきた。私は笑顔で頷いて、返事を返した。






「あれーっ、こっちで良かったけっ……?」


メイドとして勤め始めて二日目。


私は持ち前の方向音痴を発動して、迷子になっていた。

やっぱり、クラリスについて来てもらえば良かった。


城は広くて入り組んでて迷子製造機だと思う。



「あ、あの、すみません」


近くにいた人に話しかける。


「第二区画の経理課ってあちらでしょうか?」

「経理課ですか?」

「あ、はい……」


わっ、この人、綺麗……。


声を掛けた人が振り向いて、私は思わず息を呑んだ。


後ろで一つにまとめられた真っ白い長い髪に、青紫の大きな瞳。

通った鼻筋に薄い形の良い唇。

長い手足に引き締まった身体の長身で、白く透き通る肌の使っている基礎化粧品をぜひ教えて欲しいくらい。



「経理課でしたら……」

「そ、そうですか。ありがとうございます!」


ハスキーな声にドキドキしながら、ぺこりと頭を下げた。


名前を聞きたかったけど、怪しまれそうでそれはかなわなかった。


狼獣人の綺麗な男の人。

白うさぎ獣人の私と同じ白髪だけど彼は髪も肌もツヤツヤで羨ましい。


お城は色んな人がいるなあと思いつつ、私は急いで用事をすませるべく経理課へ向かった。

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