093 平穏だと思っていたのか?
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ポートへ案内されると、少し高圧的な装備を身に着けた兵士のような人たちの前に、偉そうに歩いてきている人間を発見する。
この船の偉い人なのだろうか?
とはいえ、ここまで出迎えに来るのはおかしいようで、セバスもメイも不審な表情をしている。アンドロイドなのに表情が豊かなんだよな……アンドロイドなのにっていうのは、差別になるか?
船の入り口の前に立ち、ドアを開けるように要求してきた。
このゲームは、いちいち俺をトラブルに巻き込まないと、気が済まないのだろうか?
俺1人だったら、どう対応していいか分からなかったので、要求に応じて扉を開けてしまっただろうが、うちには高性能のセバスとメイがいる。
何故、扉の開閉を要求しているのか、どういう理由でポート内へ入ってきたのか、そこにいる全員の立場を証明する証明書の提出を要求してくれた。
ポート内に入ってきた奴らは、こちらの要求に応じることは無く、一方的に開けろと叫んでいる。命令を聞かないのは、犯罪だとか訳の分からないことを喚いている。
臨検する権利があるのは軍だけなので、船の前にいる人間たちでは、強制的に船の中を調べることはできない。
明確な犯罪の証拠を提示できない限り、俺の船の中に入ることはできないことになっている。
なのに、入れろと叫んでいるこいつらは……
「データベースに、ヒットがありました。この集団で一番偉いのは、一番前で叫んでいるこの人物のようです。どうやら資材管理課の人間のようですが、一番偉い人間ではなく、平より少し上の立場の人物のようです」
ん? 見た目がどう見ても、40代以降に見えるのに、そんな人物が下から数えた方が早い立場なのか?
資材管理という事は、俺の積み荷が欲しかったりするのだろうか? 対価を払うなら、いくらでも渡してやるが……どう考えても、強盗のように盗んでいく感じがする。
俺が何かを言う前に、
「今、船内通信を使って、治安維持部隊へ連絡を入れました。ポート内に入ってくるまでは、大目に見ることはできても、船の前で違法行為を声高らかに訴えている人たちですので、犯罪者と言っても過言ではないでしょう」
どこにでも小悪党はいるようで、船の前の人物もそういった小悪党の1人なのだとか。
可能性の高いパターンとして、積み荷を押収して自分の手柄にしたうえで、不足していた物資を補充した功績で、昇進を狙っているのではないか? と言うものだった。
こんなずさんな方法で、全てが上手くいくと思っているのだろうか?
ここのやり取りだって、中央管理室に録画されているはずだし、これだけ大きな船ならリアルタイムで監視をしているアンドロイドだっているはずなので、俺たちが捕まったところで、すぐに解放されるはずだ。
『私は、資材管理課の課長になる男だぞ!』
「課長というのは妄想の類ですが、今の状況でする発言としては不適切ですね。内定をもらっているわけでもないので、偽証罪も成立しましたね」
例え事実だったとしても公に発表されていなければ、立場を偽証したことになるので、色々な犯罪に触れることになるようだ。
立場を使った恐喝罪でもあるので、不法侵入・偽証・恐喝のトリプル役満の上で、更に細かい役が付く感じだな。軍人以外が武器を持って船に侵入しようとしているので、殺人未遂も追加されるのだとか……
殺人未遂が細かい役ということは無いので、とにかくアウトなことが沢山だ。
軍の要塞艦・拠点艦ではないのでギルドの支部も設置されているようで、この船の上層部・ギルドの支部・軍へ同時に情報を送信しているため、そのうち対処する人間が来ると思うので、しばらくお待ちくださいだってさ。
俺だけがアワアワしている状態なのだが、セバスとメイは自分の仕事をきっちりこなしてくれているようだ。
アンドロイドの行動原則は、第一に主人を守る……という事がインプットされているので、相手が違法行為をしているのであれば、遠慮なく叩き潰してくれるみたいだな。
アンドロイドでも主人が違法行為をしていた場合は、特例事項として助けないだけではなく、治安維持側に協力するケースもあるので、PK宙賊や後ろ暗い事をしているプレイヤーやNPCは、アンドロイドを購入しないのだとか。
金があっても手に入れられるものではないが、買えても後ろ暗い事をしている連中は、購入した後に監視がつくようなものだと、購入しないそうだ。
アンドロイドは有能だから貴族共が購入していそうだが、持っている貴族を見かけていないのは、そういう理由だったんだな。
自分たちの不祥事を隠すためと言っていいのか、アンドロイドは穢れたモノだと差別する風潮が貴族にはあるが、裏を見れば自分からアンドロイドを遠ざけたいだけなんだな。
アンドロイドが穢れていると言っても、AIの戦闘用ロボットは普通に購入しているのだから、都合が悪い事には蓋をしたいという事が見え見えである。
AIは、完全自立行動をとらないので、穢れていないというのが貴族の主張らしいが、自立行動=穢れ……なら、自分たちや部下などはどうなのだとツッコミを入れたいところだ。
しびれを切らせたのか、偉そうな奴が兵士に命令し武器を起動状態へ移行して、扉の部分を攻撃し始めた。
強化外骨格を着ていない人間が携行できる武器で、軍用グレードの装甲をどうにかできる訳はない。それでも多少の劣化はするので、弁償してもらえるのか心配になってきた。
扉付近は頑丈に作られているとはいっても、開閉する場所であるため他に比べればどうしても耐久度は低くなってしまうのだ。
攻撃が始まってから10分程で、やっと軍の強化外骨格が現れた。
偉そうな人間が軍人に向かって色々と吹き込んでいるようだが、俺らの対応と同じで、身分と犯罪と断定した証拠の提示を求めている。
そこで空気を読まない偉そうな奴は、
『お前ら! こういう時のために高い金を払っているのに、何故h……ぶへぁ』
偉そうな奴が兵士に殴り飛ばされた。
聞き捨てならないセリフが聞こえたが、おそらくこいつらは裏で繋がっていたのだろうが、ギルドにも船の上層部にも連絡がついていることを理解して、無関係を装うとしたのだろう。
こんな事で、本当に今までやってこれたのが謎である。
それもこれも、超優秀なセバスとメイのおかげなのだが、ボロが見えすぎてしまいそのことを失念していた。
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