081 初めての護衛?
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シミュレーターを起動して、射撃の訓練を始めて30分程経った頃に、先ほど見た(ゲームの中では半日以上前)採掘船が2隻戻ってきた。
ん~進行方向が先ほどの宙賊船と一緒の方向なので、危険だと教えるべきだろうか?
「セバス、あの採掘船ってまずくないか? 何を採掘しているか分からないけど、船のサイズ的にレアメタルの鉱石だと思うから、狙われないか?」
「遭遇すれば、確実に狙われるでしょう。船を鹵獲されて、船員は売られるでしょうな。接触するにしても、注意が必要だと思いますが、どうしますか?」
そっか、俺が宙賊だと思われる可能性があるのか。トランスポンダーがあったとしても、ダマしていると向こうが考えたら、敵対されるかもしれないしな……
「でも、接触しないで襲われたら、気分悪くなりそうだし、一応声掛けしようか」
ステルス状態を解いて、トランスポンダーの信号を通常に戻す。
「こちらX-354、近くの採掘船2隻に伝えたいことがある。聞く意思があったら、応答してほしい」
相手に意思を伝え、決定権は向こうに持たせておく。自分の経験上の話なのであれだが、決定権が自分にあるとその場をあまり離れようとしない、という曖昧な理由で相手にゆだねている。
今回に関しては、俺が主導権を持っている必要がないので、簡単に譲り渡すことができる感じだな。もしこれが、俺にとって大切な選択になるのであれば、話は変わってくるのだけどね。
しばらく間があいた後に、
「相手が警戒態勢に入りました。ウェポンのロックを解除確認。主砲のようなものはなく、ミサイル発射口が開きました」
「あれ? ミサイルって、この距離届くのか?」
「種類によっては、当たらない前提で撃つ長距離ミサイルも存在します。航続距離は、大体クラス7程度の主砲の射程範囲かと」
なるほど、存在することは存在するのか。EMLより使い勝手悪くないか? とも思ったが、EMLは直線でしか飛ばないけど、長距離ミサイルは一応追尾するっぽいから、一概に一緒とは言えないか。
『これ以上近付くようなら、攻撃をする。その場で停船し、エンジンを停止させろ』
まぁ従ったところで、シールドは張れるので問題ないだろう。
もともと停船はしているので、エンジンの出力だけ最低値に下げる。停止させろというのは、文字通りの意味ではなく、最低まで下げろという意味で使われる。
エンジンは一度止めてしまうと、起動するのに数分の時間を要してしまうので、宇宙空間でエンジンを止めろというのは、最低まで下げろという意味である。
もし、本当に止めろというのであれば、相手を殺す行為に等しいので、然るべき場所へ訴えれば、相手が裁かれることになる。
航宙法には書かれていないが、習慣としての裁判例があるので、実質法律違反になるようだ。
『エンジンの停止を確認。そちらの伝えたいことを話せ』
「了解。今から約30分前に宙賊が君たちと同じ方向へ向かった。クラス4とクラス3が1隻、クラス2が2隻の4隻編成だった。迂回するなり進路を変えるなりしないと、宙賊に捕捉される可能性がある。
30分前に取ったデータを生のまま送信する。それで判断してくれたらいい。貴船に伝えたいことは以上だ。このまま宙域を離れるから、そちらも注意してくれ」
トランスポンダーと未編集のデータを丸ごと押し付けて、反転してからエンジンを点火する。
『少し待ってくれ。エンジンを付けたままでいいので、データを調べる時間が欲しい』
離れられなかった……
「鼻から否定せず、鵜吞みにせず、しっかりと精査するのは良い船乗りの証拠ですね。船の武装を見る限り、倒すものでは無く逃げ切ることに重きを置いていますね」
セバスが勝手に相手の評価をしている。
セバスの情報で、長距離ミサイルだけではなく、上手く偽装されているが、接近された時用に小型ミサイルを大量に同時発射する装置がついているようだ。
ミサイルランチャーと呼ばれており、通常多くても1つの発射台で8本ほどのミサイルが、最大で64本も撃ち出せる兵器だそうだ。
射程距離が犠牲になるが、射程範囲内に入れば、クラス6までならまず間違いなく撃沈判定が取れるだろう兵器のようだ。
長距離ミサイルで牽制して逃げて、それでも追いかけてきたらミサイルランチャーってことか……痛手を負えば、さすがに追いかけないか。それが2隻となればなおさらだな。
採掘船2隻には、ミサイルランチャーが2つずつついているので、最大で256発がこちらに向かってくることになる。ここまで数が多いと、要塞艦でもない限りシールドが飽和し、大打撃を受けるだろうな。
『確認が取れた。宙賊船が30分前に通った事は間違いないようだ。可能なら護衛をしていただきたいのだが、そちらには余裕はあるか?』
「それは、襲ってきたら盾になれということかな?」
『いや違う。2隻でいるより3隻でいた方が、狙われる確率が下がる。狙われても、そちらがクラス2の2隻を牽制してくれれば、逃げられる可能性が高くなるからだ。本当にピンチになったなら、構わずにショートジャンプしても問題はない』
「報酬は?」
『今回の積み荷の1割でどうだろうか?』
メイを見ると、
「護衛には色々な報酬形態がありますが、発掘船の護衛の場合は、往復と発掘場所での警戒でおよそ3割が報酬として妥当とされています。護衛全体で3割なので、護衛の数で報酬の変動がありますが、今回は帰りだけの護衛というよりは、同行ですので十分といえる報酬でしょう」
「了解した。一応、こちらの武装のデータを伝えておく」
クラス4の主砲を積んでいることに驚かれたが、Xという開発ナンバーを思い出し、実験船だということで納得してくれた。
向こうの武装も教えてもらったが、セバスの集めた情報以上の物はなかった。
進路は少し遠回りをする形で、ショートジャンプ1回分多めに使って迂回するコースをとるようだ。
これならわざわざ同行する必要も無いと思うが、これだけで1割とかぼったくりではないだろうか?
俺たちが発見した宙賊とは別の部隊とニアミスしたが、こちらに襲い掛かってくることもなく、コロニーへ到着することができた。
『いや~、おそらく宙賊たちが、網を張ってたね。あのラインを移動する船を狙い撃ちするような位置取りだったな。2隻の発掘船だけだと襲われていた可能性が高かったから、護衛を頼んで正解だったわ』
ニアミスだけだったから、報酬高すぎるんじゃないかと思ったが、向こうさんからすると、戦闘を避けられてよかったとの事だな。牽制とはいえ、ミサイルを使えば金がかかるからな。
途中で見つけた別の宙賊たちのデータも、ギルドと軍にも共有している。
送り届けた後は、報酬の受け取り契約をギルドでしてから、すぐに宇宙へ飛び立ち宙賊船を探す旅に出る。
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