073 現場に復帰
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「そういえば、軍ではステルスの塗料を使っているんですか?」
「ほとんど、使ってないね。極一部の特殊な艦にしか使われていないよ。塗料のくせにバカ高い上に有効な期間が短いから、軍艦に全部塗ったらそれだけで予算の大半を食いつぶしちゃうよ。
もっと言えば、軍艦は性能がいいから、コソコソ隠れる必要もないんだよね。予想以上の規模ならすぐに引いて、援軍を呼べばいいだけだしね」
でも、他の国だと上官が無能で、功績のために先走るのに自分だけはしっかり逃げて、部下に丸投げするから困るよね~、だってさ。この人って、亡命でもしてきたのかな?
愚痴が終わったかと思ったら、
「成功すれば指揮した自分の功績にして、失敗すれば指揮を渡した相手のせいにする。本当に権力に取りつかれたクズは、手に負えなくて困るよ」
うん、相当な恨みというか……何かを抱えている感じだ。
これ以上は、データの吸い出し以外に見るものが無いから、興味がないなら終わりだけど、どうする? ってさ。
メイも特に必要ないようなので、船へ戻ることになった。
1時間くらいで、面白いように情報が色々手に入ったな。
船に戻ってもセバスはまだ交渉中で、しばらく時間がかかりそうだった。
「ん~、思わぬところでEMLが手に入ったけど、ストレージやジェネレーターの事を考えると、出費が大きくなりそうだな~」
船に積むのは良いんだけど、ジェネレーターやストレージ、武装のクラスが違うと、エネルギーの伝達方法が違うのか、規格が違うのか十全に使えなくなるって話だったよな。
となると、新しくクラス4のジェネレーターとかも買わないといけないと思い、どのくらいするのか口に出てしまっていた。
そうすると、ポンと肩に手を置かれたのが分かる。
「ご主人様、EMLに関しては、後はレプリケーターがあれば、運用可能ですよ」
と……
「いやいやいや、だってクラス4のEMLだろ? 作ってるのはクラス5の船じゃんか。クラスが違うとダメなんだろ? だったら、EML専用のジェネレーターが無いと、どうにもならなくないか?」
「作っている船は、合成船にするんですよね?」
何を分かり切った事を……
「この船の武装は、クラス4相当。合成船にするなら、この船で作るエネルギーをEMLに回せば、すべてが解決します」
「なるほど……でもさ、さすがにストレージは変えないと、連続使用が難しいよね? ジェネレーターほどではないけど、それなりに高価じゃなかったっけ?」
「この船のストレージでは、クラス4の武装を連射するのは難しいです。ですが間違ってはいけないのは、光学兵器の武装の連射であって、EMLを連射する分には、この船のストレージでも問題ないです」
さっき、消費エネルギーは光学兵器に比べて少ないって言ってたな。それなら、ストレージは今のままでいいのか……
むむむ……本当に都合がよすぎるのは、なんなんだ? 恐ろしくて、鳥肌になりそうなのだが! ダイブした世界でも鳥肌が立つのだろうか?
俺に都合がよすぎて、操作されているとか本当に無いよな? いや待てよ。操作されてなくてたまたまだった場合の方が、怖い気がするんだが……
これなら、まだ裏で操作してました! とか言われた方が、精神的には楽なのではないだろうか?
嫌な真実に気付いてしまった俺は、感じるはずのないめまいを感じる。
体調が悪くなってたりしないよな?
慌てて、ダイブギアのバイタルサインを確認する。
特に問題はないが、若干精神的にストレスを感じているかも? みたいな反応が出ていた。ストレスは感じているっぽいな。注意せねば。
初めて2日目(ゲーム内だと……3日目? 時間がズレてて分からん!)で次の船が出来上がりつつあるのか……お前との付き合いは短くなりそうだな。合成船になるから、少し話が違うかもしれないな。
後は、EMLもそうだが、首都星に運んでもらってから、組み立てる必要もあるんだったな。倉庫に荷物を追加で入れるとなると、多少お金も発生するだろうし、しっかりと稼がないといかんな。
メイにすすめられて、造船シミュレーターを使って、主砲の位置やEMLの位置、エンジンやストレージの位置、合成する際にこの船を配置する場所等々、少しずつ調整して、使いやすそうな船を想像する。
時間が足りる訳もなく、セバスの交渉も終わり、出発できるようになった。
さて、これからどうするか?
宙賊狩りを続けるくらいしかすることが無いよな。
「今度は、宙賊拠点の推測ポイントから離れた位置で、襲われそうな場所で釣りでもするか?」
「1隻だと危険な戦法なので、今は止めた方がいいと思います。どうしてもしたいのであれば、宙賊船を沈めてからそれを餌に呼び寄せる方が、断然安全です」
なるほど、自分が囮になるんじゃなくて、撃沈した船を囮にして誘い込むのな。もし危険だと判断すれば、ショートジャンプで逃げればいいもんな。
「となると、比較的早く遭遇できるけど、援軍の到着が遅れそうな位置か……そんな都合のいい所なんてあるか?」
「早く遭遇できるかは分かりませんが、アステロイドベルトであれば、援軍がすぐにくることは難しいですね。ショートジャンプでは、アステロイドベルトの中には飛んでこれませんから」
余計なエネルギーを使って、目標と違う場所に出るとなれば、割には合わないか。
やっぱり宙賊狩りということになると、小惑星がいっぱいあるところを追いかけっこしたりして、倒すって言うのが宇宙船同士のバトルっぽいよな!
何日か前に採掘船が襲われたエリアで待機することにした。
今回も待ちではあるが、警戒されていないであろうエリアなので、おそらく引っかかってくれると思う……宙賊が来れば、という条件付きだけど。
今日の運動を終わらせていなかったので、この時間を使って体を動かした。
1時間経っても来なかったため、続けて暇つぶしをする。先ほどの続きで造船シミュレーターだ。
俺やセバス、メイの生活エリアはこの船で十分なので、新しい船は各種パーツ以外は、通路と船倉になりそうだな。
新しい船の船倉とこの船の船倉もくっつけておく必要があるから、この船は少し後方に配置する感じかな?
「ご主人様、特殊船倉へは、別の搬送路でもよろしいのでは?」
「それも考えたんだけど、搬送路を長くすると無駄な空間ができるだろ? かといって外装の近くにこの船を持っていくと、安全面の問題が出てくるから悩んでる。どうせほとんど使わないんだから、船倉の奥にある形でもいいかなって思うんだけど」
俺の言っていることを理解してくれたメイは、どの位置にこの船を持ってくれば無駄がないかを一緒に考えてくれる。
EMLへのエネルギー供給の件もある。
何個もシミュレートして、それを比べるのもいいだろう。メイやセバスにも、自分たちで良さそうだと思うものをいくつか考えてもらうことにした。
俺も独自にいくつか考える予定だ。
何かこういうのって、作ってるときや作った後より、作る前の方が面白いよな。いろんなことを考えて、色んなものを設計するのって、本当に楽しい。
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