057 まさかが登場
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どうやら話の流れを聞いた感じ、この前手に入れた(昨日なのだが)軍用グレードの装備を乗せる船として、貴族の使っていた船を利用しようという話らしい。
で、貴族自身が乗る船だったから、シールド装置と付随するジェネレーターが、最新の軍用グレードだったようで、貰った装備よりかなり性能が良かったらしい。
残った軍からもらった装備は、持っていても倉庫代がかさむだけなので、軍に引き取ってもらおうとしたところ、ホワイトファングで購入できないか打診があった感じだな。
民間が買える軍用グレードの装備とは言え、許可もなく誰かに売り渡すと、次からは相手にもしてもらえなくなるので、軍に連絡する必要があるんだとさ。
ホワイトファングは、信頼はされているが軍用の装備を購入できるわけではないらしい。信用されているから、今回の貴族の討伐を指名依頼で受けているんだけどね。
それでも、購入は厳しいんだとか。購入が厳しくても、鹵獲した装備までは文句を言われないので、ホワイトファングの船には多くの軍用グレードの装備が装備されている。
鹵獲した船をニコイチサンコイチで組み立てなおして使う予定だから、俺たちの持っているパーツを欲しがったようだ。
俺的には問題ないけど、軍の信用度が下がるのは困るので、そこらへんはしっかりと対応をお願いします、メイさん!
「譲ってもらいたいのは確かだが、すぐには返事できないことも理解している。ひとまずは、貴族と引き換えに首都星へ船を運ぶ……というのが、そちらの条件でいいかな?」
「いらない武装を引き取ってもらえれば、助かりますが可能ですか?」
「私たちが鹵獲した船と同等の装備だが、こっちの方が状態がいいから……見せてもらったスロットの部分のは、こちらで買わせていただこう。値段は、セシリアが後で交渉してくれ」
「は~、分かりました。市場価格を調べてから、話をさせていただきますね。こちらに有利な条件ですが、それでもよろしいですか?」
「問題ありません。行動不能にできたのは、偶然ですのでこれでもこちらの利益が多いくらいです」
「さすが、高性能ですね。ナインさんは、いい仲間を見つけましたね。船に残っているセバスさんといい、メイさんといい、満点です。実はAIじゃなくて、人間なのでは? と疑ってしまいますね」
何か、仲間が褒められて嬉しい。
「相手によっては、欲張り過ぎだと言われそうではありますが、今回の交渉ではこの辺が妥当なラインだと思います。ナインさんが世間知らずな感じで心配でしたが、メイさんとセバスさんがいるのでしたら、安心ですね」
世間知らずって言われた! その通りですけども! 宇宙なんて良く分からない空間で、したこともない商談をされても対応できるわけないじゃないですか! と、声を大にして言いたい。
思ってもいない所で、船体を手に入れ、先日軍からもらったパーツを付ければ、クラス5でも性能がかなり高い船を手に入れてしまった。
えっと、これもバグとかチートだったりしないよね?
心配になって、また運営に連絡を入れてしまった。
☆★☆★☆
運営サイド
「えっと、また初期ロットの人か……なになに、軍用のパーツが買えるようになったけど、これはバグじゃないのか? だって、このゲームにそんなバグなんて起こりようもないんだけどな」
「一応システムは公開されていますが、私たちも理解していないイベントも多いですから、始めたばかりの人が導入パッケージに関係するバグだと思っても、仕方がないんじゃないですか?」
「それもそうだね。かなり特殊な事例ではあるけど、最速ではないんだよね。運がいいというか運が悪いというか、最速でゲーム開始から3時間ちょっとで軍用の船を入手した人もいるからね」
「じゃぁ定型文で返しておきます?」
「そうしようか……っと、また君か。今度は、最新の軍用グレードの船体とシールド、ジェネレーターの入手ね……かなり運がいいとは思うけど、PKに狙われるようになるかな……」
「それは困りますね。贔屓はしたくありませんが、初めてまだ間もないユーザーが、それなりに苦労して手に入れた船を、PKなんかに奪わせたくありませんね……どうしますか?」
「3時間で手に入れたユーザーは、3日目に襲われて根こそぎ奪われて以来、インしてこなくなったからな……導入パッケージを購入したのに、そうなったら悲惨よね」
「でしたら、裏技ですが、あれを適用してみませんか?」
「あれ? って何?」
「パッケージの特典の延長のあれですよ」
「あぁ、あれか。ちょうどインしているし、連絡をしてみようかな」
運営サイド終わり
☆★☆★☆
運営に連絡を入れてすぐに返信があった。個室へ移動して、通話に出てほしいだってさ……運営って直接話すようなことあるんだ。
セシリアさんにお願いして運営の言う通り、秘匿通信が来たので個室を貸してほしいとお願いすると、すぐに準備してくれた。
秘匿通信……ゲーム内の魔法の暗号的な何かかな?
着信音が鳴り電話をとると、ゲームマスターと名乗る女性の声がした。
状況を説明してもらったが、俺の立場は特殊ではあるが、もっと早い段階で俺以上の立場になった人もいるし、なんなら初めて5時間で大型船を手に入れた人もいるそうだ。
だけど、ランダムなイベントとはいえ特殊な立場になると、嫉妬をする人が出るのは世の常なんだとか。その中でも宙賊ロールをしているプレイヤーは、そういった立場の人を集中的に狙うことがあるそうだ。
俺の今乗っている船は課金船なので、盗まれることはない。盗めても船倉の荷物くらいなんだとさ。
で、課金船を持っている初心者だけに適用される内部的な話があって、課金船単独で使うことは出来なくなるけど、新しい船に埋め込む形で船を作ると、課金船と同じように船倉以外から盗めなくなるという物だ。
嫉妬で狙われるかもしれないが、船を守ることは出来るそうだ。実際にこれを運用し始めてから、1000人以上がこれに助けられて、宙賊に根こそぎ奪われずに済んでいるんだとか。
課金船で結構儲けてるんだなこの会社……とか思いながら、その話を聞いていた。
特例ではあるけど、初心者救済のシステムでもあるので、是非検討してほしいだってさ。
とりあえず、バグではなかったことを喜ぶべきかな。
この船を埋め込むって言っても、その方法なんて分からんのだが、そこらへんはどうなのだろうか?
そこらへんは、工場にいるアンドロイドにお願いすれば、問題なく対応してくれるそうだ。
これができるのは1度きりで、細かなルールがあるらしい。これは内部的な話ではあるが、規約の特別事項に工場にいるアンドロイドの特殊コマンド出現方法という項目があるから、読んでみるといいだとさ。
後でメイに引っ張り出してもらうか。
後で知ったが、課金船の合成で適用されるのが、クラス6の中でも小さい部類までだったらしい。ゲットした船は、クラス5のなかでも大きかったので適用できる、限界に結構近い船だったそうだ。
何やら作為的なものを感じるが、クラス5の船を手に入れられたのは、本当に偶然が重なった結果だったそうだ。
最後に忠告されたが、課金船は失わないと言われているが、いわゆるゾンビアタックみたいなことを続けると、修理が不可能になり、その後使うことができなくなるから注意するようにだってさ。
MMORPGなら、条件によってはゾンビアタックをしていた過去があるからドキッとしたけど、自分の船を何度も壊されるのは嫌なので、そんなことするつもりはないだろう。
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