050 お腹いっぱいなんですけど!!
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セバスの狙いすました砲撃は、見事に相手の船尾に命中した。
小規模な爆発はしているが、あれはエンジンかジェネレーターが被弾して、溜められたエネルギーが外に放出されたための爆発らしい。
もし燃料やミサイルに被弾して誘爆していれば、船体が破裂するような大爆発を起こすので、船体は無事らしい。隔壁が閉まってなければ、船内全体が危険な温度になるそうだ。
宇宙服を着ていても、火傷を負う可能性があるらしい。
今更な疑問だけど、この世界の燃料ってなんだ? まさか化石燃料ってわけでもないだろうし、燃料としか呼ばれていないから良く分からんのだが……
「ご主人様、主砲のレンズが砲撃に耐えきれませんでした。計算上は問題ないとしていましたが、予想以上の出力になってしまったため、破損させてしまいました。修理をしないと、主砲はもう撃てません」
軍艦3隻がシールドに負担をかけてくれていたけど、そのシールドを突き破りさらにエンジンを撃ち抜いたことを考えれば、上出来な結果だろう。
主砲が使えなくなったことで、ここに残ることはできないのでちょうどいい。
「エンジンは止まりました。ジェネレーターは生きているようなので、船内の生命維持などは問題なさそうです。船首のスラスターは無事なようですが、自力での航行は不可能です」
完全に沈黙というわけではないが、主砲を撃つことはできても数回、シールドにいたっては張りなおせない状況らしく、状況的には終わりだろう。
「ご主人様、アンノウンに補給していた存在が近くにいるはずですので、再度襲われる前にアンノウンを曳航して引くことを提案します」
そうだった。こいつに補給している船か基地のような物があるんだった。そこから新しくアンノウンと同型艦以上が来れば、逃げるしかない。
「こちらX-354、アンノウンを回収してすぐに引くことを提案します。うちのアンドロイドの2人が、敵の援軍を警戒しています。継戦能力の低い船でしたので、拠点にしているところから援軍が来る可能性があります」
『了解した。こちらの援軍より、向こうの援軍が早かった場合、せっかくの情報源を失うことになる。速やかに回収し、ベースへ帰投する。貴船も本艦についてベースへ移動されたし』
おうふ、当事者は逃げられないってことか……
宙賊船などの回収も行っているためか、動きの止まったアンノウンの曳航準備は早かった。3隻がアンノウンを中心に三角形を作り、ワイヤーアンカーを撃ち込み、すぐに出発する形だ。
ワイヤーアンカーを撃ち込む前に、船内の不穏分子を拘束するために、エンジンのあった場所から戦闘用ボットを侵入させていた。
人は乗り込まず、オペレーターがロボットに指示を出しているようだ。
アンカーが撃ち込まれると、拘束された宙賊が戦闘用ロボットに運ばれて、ミサイルなどはすべて起動不能にされたようだ。
ミサイルには一応安全装置が付いており、発射されない状態では、余程の事がない限り爆発しないようにできている。主砲なんかで撃ち抜かれれば、簡単に誘爆するらしいけどね。
ジェネレーターだけでは、オーバーロードによる自爆はできないので、セバスの撃ち抜いたのがエンジンで良かった。もしエンジンが生きている状態であれば、撃って壊すだけらしいのであまり関係なかったかもな。
アンノウンを撃沈してから10分足らずで、ベースへ帰還することになった。多少無理がある形での曳航なので、外装が壊れるかもしれないが、軍がほしいのは情報なので、その軍がいいなら問題は無いと思う。
それより俺は、強制的に戦闘に参加させられたことに対する報酬のほうが気になるけどな。でも、その話をするためにお偉いさんに会うのは嫌なのだが……なんとかならんか?
ショートジャンプをすると目の前に……要塞艦と呼ばれる、動くコロニーのような軍艦があった。この艦がここら辺の軍の拠点か? 近くにゲートもあるし、その拠点でもあるのかな?
軍のオペレーターに誘導されて、ドックへ入っていく。
ここには民間人はいないので、ミッションコントロールは無く、軍のオペレーターが直で対応する形だ。
ドックへ入ると、呼び出しがかかる。
セバスを船に残して、俺はメイを連れて船を降りることになる。
船から出る前に止まり、軍の人間がこちらに来るのを待つ。ドックとはいえ、この外は軍艦なので許可がないものが出歩くことは出来ない。それを忘れていたので、メイにやんわりと肩を引かれて思い出した。
10分くらい待たされるかと思ったが、予想に反して2分ほどで軍のお偉いさんが来た。そう判断したのは、飾り気のない宇宙服に色々な紋章がついていたからだ。
戦闘指揮を執る時は勲章などは付けていないが、こういった顔が見づらい宇宙服では、人相や階級も判断できないので、人を出迎える時は勲章を付けるようにするらしい。(メイの耳打ちで教えてもらった)
簡単なあいさつをして乗船許可をもらい、会議室のような場所へ誘導される。
俺が話すと私情の部分も含まれてしまうので、こういった報告は事実をそのまま話すことのできるAIやアンドロイドが向いている。
なので、メイにお願いして、事の顛末をすべて話してもらった。
「……なるほど。確かに、今回遭遇したアンノウンは、明らかにおかしいな。船に関しても簡単な報告があがってきているが、メイ殿の言う通り帝国の軍艦である可能性が限りなく高かった。
貴船の活躍で、船員を捕らえることができたのは快挙だ。本来なら、撃沈したナイン殿に船の権利があるのだが、船のブラックボックスも調べたいので、買わせていただけないだろうか?」
おや? 今回の場合でも、俺が撃沈したら権利を主張できるのか……どうするのが良いのだろうか? チラッとメイを見ると、おまかせくださいと言わんばかりの表情だ。
どうせ無茶な改造をした船なので、パーツごとにして売り捌くしかない物だから、運ぶ手間も考えると……ここで引き取ってもらうのもありか。
「船体に関しては、無料で引き取っていただいて構いません。ですが、無料にするからには、少し便宜を図っていただければと思います」
と、メイが話し始めた。
「便宜というのは、今回鹵獲した船は使われていたパーツが軍用のものでした。そのパーツを取り出していただき整備したのちに、首都星へ運んでもらえないでしょうか?」
ん!? 無料なのにも驚いたけど、軍の技術者を扱き使うつもりなのか!?
「可能なら、パーツも調べたいので買い取りさせてもらえないだろうか?」
「軍の方たちも知っていると思いますが、私たち民間の人間では、軍用グレードのパーツは入手困難です。権利がこちらにあるのでしたら、やはり軍用グレードのパーツは手に入れておきたいと考えています」
「武装商船に乗っているのであれば、いずれクラスの高い物にも乗ることを考えれば、軍用グレードは手放したくないものだな……」
「貴様ら! 将軍閣下が頭を下げてお願いしているのに、こちらに譲らないとは何事か! 我々が宙賊や敵国の脅威から守ってやっているというのに、貴様らは私たちに何も配慮もしないというのか!」
おっと、空気の読めないおバカちゃんが出てきたぞ。
しかも、そのセリフ、一番言っちゃいけないタイプの言葉じゃないか?
お前たちの給料や軍艦、その他の設備は、全部税金から出てるんだろ? それなのに守ってやっているとか、恩着せがましいのだが。
それにさ。この世界に来て数日しか経っていないのに、お腹がいっぱいになるくらいトラブルに見舞われているんですけど!
敵国に関してはその通りかもしれないけど、宙賊関係は守られているとは思えませんけどね。
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