051 色々と異常じゃないだろうか?
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「この国の軍人は、特権階級的な思想に染まっていないと思ったのに、やっぱりそういう思想に取りつかれてしまうのかな。ああいうのって生来の立場が強く影響すると思ってたけど、そうじゃないみたいだな」
「なんだと、貴様!」
俺に殴りかかってきたため、俺は内心ビビっていたが、メイが拳を止めて文字通り握りつぶした。
汚い悲鳴をあげて何かを叫んでいるが、将軍と呼ばれた軍人の副官らしき人に、顔面をぶん殴られ静かになった。
「こちらの阿呆が迷惑をかけた。厳しく処分しておくので、許してほしい」
「ご主人様に手をあげようとしたのに、誰も止めなかったあなたたちを信用してもいいと?」
「ナイン殿には、メイ殿が近くにいたため、被害が出ないと判断して放置させていただいた。こちらの事情で申し訳ないが、分かっていただきたい」
「……厳しく処分するとは、どういった内容ですか?」
「不名誉除隊として、軍から去ってもらう。以前にも同じような問題を起こしているため、即日対処をする。退役軍人として受けられる様々な便宜が、一切受けられなくなる処分だが、不満があるだろうか?」
「ご主人様が不利益を被ることが無ければ、その処分で問題ありません。除隊された後の監視をしっかりとしてください」
メイに信頼を置いていたからと言って、俺を危険な目に合わせてもいいわけないだろうが! って叫びたかったけど、メイが処分に不服を言わなかったので、俺はグッとこらえた。
「同クラスの軍のパーツと交換という形でもいいですが、さすがにそれは軍として無理ですよね? 襲ってきた船が使用していた武装は、少なくとも現行で軍に使用されている物だったはずです。取り上げるのであれば、代わりになる物を出していただかないと、割にあいませんね」
将軍と呼ばれていた人物は悩む表情を見せる。副官とも小声で言葉を交わしているが、2人とも渋い表情だな。
「民間でも特別購入できるラインのパーツではダメだろうか?」
「あなたが私の立場でしたら、どう判断なさいますか? 少なくとも10年は現役で使われるであろう、最先端のパーツと民間でも買えるパーツでの交換……さすがに無理があると思いますが?」
メイさんやい、強気な交渉ですね。相手は軍なのにこんなに強気でも大丈夫なんですかい?
そのことをマルチギアでメイに伝えると、『今回に関しては、軍も無茶を言っていると分かっているので、こちらからは無理な要求ですが当たり前の権利を主張して、好条件を引き出そうと思います』だとさ。
メイも無理だと分かっているけど、好条件で取引したいために、無茶をしているようだ。プレイヤーにはできないかもしれないが、アンドロイドであるメイには可能なんだろうな……
何度も条件を提示されるが、メイはなかなか了解しない。
型落ちの軍用グレードのパーツ自体が高額で取引されているのに、敵対国家のものとは言え現行のパーツなど、民間人に手に入れる方法など無いに等しいからな。
メイが話を続けているが、マルチギアに連絡が入る。
船で待機していたセバスからだった。
今回の戦闘で主砲が故障したため、ここで修理をしてもらえるように交渉したので、修理をしてもいいかという内容だった。
武装がないのは不安だから、修理できるならしておいてもらいたいな。後、少し無茶をしたから、その影響がないかも可能な限り調べておいてほしいと伝えておく。
武装船などは、多少無理をして使うことが前提なので、パーツの耐久度なども高いが、故障しないわけではないので、しっかりとチェックしておいてほしい。
30分程条件を付け合わせて、やっと合意に至った。
今回鹵獲した船を手放し軍に譲渡する代わりに、犯罪を犯したり無断で購入したパーツを売買しないことを条件に、軍用パーツを購入できる権利をゲットした。
パーツに関しては、クラス5の現在民間が所有できる中で、一番性能が良いものと交換してもらえることとなり、首都星の近くにある倉庫の衛星で保管してもらえることとなった。
今回はクラス4の船だったのに、クラス5のパーツと交換してもらえるようになったのは、今乗っている船がクラス2なので母船として買うなら、クラス5以上になるため、交渉の最後でクラスを上げたみたいだ。
パーツがあったところで、金が足りないからどうにもならんのだけどね……
これでも軍が圧倒的に得をしているので、交渉が終わった後の将軍と副官は、安心したような表情をしていたね。もっと厳しい条件を突き付けられる可能性も、あったといった感じだろうか?
余談で聞いた話だが、今回捕らえた宙賊は、敵対国家の軍人だったらしい。破壊工作のために送り込まれた人材だったようだ。
バイオメトリクスに登録がなく、遺伝子的なつながりを見ても、この国の人間ではなかったため、過去に捕まえた敵国の人間のデータと照合して分かったことを、内密に教えてもらった感じだ。
何でそんなことを……って思ったけど後でメイが、今後狙われる可能性があるから気をつけろ、という隠されたメッセージってことです、と言われて納得した。
自由に出歩けるわけでもないので、軍人に挟まれて自分の船まで戻った。
船の前で、セバスと軍人が何やら話をしている。勲章がいくつかついているので、そこそこ位の高い軍人なのだろうけど……何してんだ?
セバスに話を聞くと、お酒を積んでいたから、輸送依頼で運んでいるものでなければ、売ってほしいとしつこく言われていたようだ。
軍艦は、生活物資や医療物資が不足することは無いが、嗜好品は補給が少ないため万年不足中らしい。税金で嗜好品を大量に買うことは出来ないからな。それでも、士気を下げないように最低限の配慮はしているらしい。
分かりやすいところで言えば、要塞艦勤務であれば家族と一緒に生活することが可能とか、それなりの配慮があるんだとさ。
それでも嗜好品が配給されることは少なく、戦時中でもない限りは、自分たちで呼び寄せて購入するしかないんだとさ。
だから船に積まれている酒を見つけて、売ってほしいとしつこく交渉されていたようだ。
あ~経費込みで赤字にならないなら、売ってもいいんじゃないか? そのあたりはセバスが交渉しておいてくれ。
すぐそこで買える嗜好品のお酒なのに、自分たちで買い付けに行けないから、思っている以上の利益が出た。
医療物資の時もそうだったけど、俺ってトンボ返りする宿命でもあるんだろうか?
主砲の修理が終わったので、すぐに先ほど出発した星へ戻ることにした。
軍用の品質で修理が行われたため、主砲の性能が1割ほど上昇したとセバスが教えてくれた。部品の質も軍用となれば、民間よりもかなり高くなるんだな。今回は運が良かったな。
お酒の仕入れに戻り、お酒を積み込んでもらっている時にメイが教えてくれたのだが、船を構成する各種パーツは手に入れたので、船体を準備して仕様を考えれば、クラス5の船を作れるんだってさ。
値段の高いパーツは今回交換してもらったので、船体さえ準備できればすぐにでもクラス5の船を作れるんだと。
軍用パーツの購入もできるようになったし、本当にこんな感じで一足飛びに購入できるようになってもいいのだろうか? ちょっと怖いので、運営にメールをしておこう。
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