047 能力が高すぎるのも考えもの
アクセスありがとうございます。
ワインの甘口って本当に甘いやつもあるとは思わなかったな……
セバスに変わって操船をしながら、試飲して買ったワインの事を考えていた。数時間の操船訓練で完璧とは言い難いけど、考え事をしながらでも操縦ができるくらいにはなっていた。
お酒は付き合いでしか飲んだことがなかったからか、お酒の種類とか特徴を知らずに飲んでいたんだよな。リアルでもここまで美味しく感じるワインがあるなら、たまには家で飲んでみようかな?
それにしても、食事を食べた時にも思ったけど、ダイブ式のゲームでここまで味を再現できるもんなんだな。俺は、そのことに驚いている。
リアルでは、水以外の物を炭酸注入器にかけると、壊れる危険性があるからしてはいけない行為だけど、この世界にはそういう縛りがないそうなので、本当に楽しみだ。
「そういえば、ビールは売ってなかったな……」
「ビールは原料を運んで、消費する場所で作るのが一般的ですよ。運んでいる間に劣化してしまうので、作りたてのビールをすぐに出荷して飲みますね」
俺の呟きを聞いたメイが、資料を出してくれた。
お酒を仕入れた星から首都星まで、6時間もかからないのだが、首都星などで飲まれているのは、その日に作った物が飲まれているらしい。運ぶとなると、作ってからすぐに運べるわけでもない。
なので、現地で作るのが一般的らしい。
お酒は寝かせて美味しくなるものもあるので、醸造しているお酒もたくさんあるわけだ。
「ご主人様、そろそろ操船訓練に適しているエリアに到達します。準備してください」
セバスからそう言われる。
俺が操船しているのも、セバスがこの宙域で実際に船を動かす訓練をしよう、ということで動かしているのだ。
小惑星帯……アステロイドベルトに到着した。ここが今回の訓練場所だ。帰るのが遅くなっても問題ないとのことで、ここを経由して首都星へ向かう形だ。
目指しているゲートがこのアステロイドベルトの先にあるので、本来ならショートジャンプで飛ぶエリアなのだが、訓練に良いということで、荷物を積んだ状態の重い船での操船訓練だ。
最大積載重量に近い量のお酒を積んでいるので、ちょうどいいとのことだ。
レーダーと船のAIナビの情報、視認できる範囲を確認しながら操船している。ここで役に立ったのは、砲撃の訓練の時に使ったスラスターを個別に作動する方法だ。
隙間が少ないところだと、今まではいったん船を止めて旋回していたであろう場所を、前後のスラスターを使い上手い感じに抜けられている。
それでも最低限はスピードを落とす必要があるのだが、完全に止まるよりは時間もエネルギーも節約できている。
上下左右にくねくねした道は、俺を疲れさせるために準備されたかのように複雑だ。
少し開けたところに出たので、少し息を抜いた。
「ご主人様、レーダーに不審な反応があります」
送られてきたデータは、不審というよりは違和感がある。何か誤魔化しているような感じだ。そのせいで違和感というか不審な反応というか、まぁそんな感じだ。
「不審なのは分かったが、この場合はどうするのが正解だ? 放置して、ゲートにいる軍に一応伝える感じか? それともここで軍に連絡を取る? 何するのがいいんだ?」
「違和感があるだけで連絡を入れても、だからなんだ? で話が終わってしまいますね。もし連絡するのであれば、違和感の正体をしっかりと見極めてからですね。
近付いてもいいですし、無視してもいいのですが、一応注意していただきたいので、声をかけさせていただきました」
なるほどね。どっちでもいいけど、違和感があるなら気をつけろってことか。何があってもいいようにしておけば、いざって時に対応が可能と……
「船首を向けるから、メイはレーダーの集中照射、セバスは攻撃された時のために、シールドの準備をしてくれ。っと、こんな感じでいいか?」
セバスに合格をもらえたので、確認する時の手順は間違っていないようだ。
俺は船首を違和感の場所へ向け、移動を止める。集中照射をする場合は、止まっていた方が正確にできるので、動きを止めている。メイからオーダーが入ったので、その通りにしただけだ。
「金属反応の他に、エネルギー反応もあります……アンノウンを発見。クラス3の船のようです。さらに情報収集します」
違和感のあった場所に、急に船が現れた。何かしらの方法で擬態をしていたようだ。
いつでも動けるように、ジェネレーターの出力を上げていく。エンジンはすぐにでも動かせるように、アイドリング状態だ。
「照合した結果、この国以外の軍の払い下げ軍艦に該当あり。払い下げの軍艦は武装が取り外されているはずですが、軍用グレードの武装を確認しました」
また軍艦か!
クラス3でも大き目らしいので、民間の船からすればクラス4相当の武装があるってことだな。
「セバス、撤退する。シールド管理と進路の指示を頼む。メイはレーダーなどを使って、アンノウンを監視、ショートジャンプの座標の計算を頼む」
相手は擬態していたためか、各種機関の起動に時間がかかっているようだ。装備的には同レベルではあるが、船のサイズはこちらの方が圧倒的に小さい。
砲撃の撃ち合いになれば、的が小さい分有利にはたらくように思えるが、エネルギーの容量もこちらが小さい。
砲撃やシールドにかけられるエネルギーに差が出てしまい、最終的には撃ち負ける可能性の方が高い。同クラス以上の軍艦からは、逃げるのが常識なので勝てる可能性があっても、速攻で逃げることを決める。
セバスの指示に従いアステロイドベルトを進んでいく。
俺の後を追いかけてきているアンノウンだが、こちらより船が大きいので、同じコースを通ると小惑星にぶつかる危険がある。
それを無視してシールドを張りながら、強引に突破してきているあたり、逃がすつもりはないようだ。
アンノウンの主砲の射程範囲内なので、こちらを撃ってきている。小惑星などを壊すだけで、こちらへは届いていないが、至近弾がありちょっとひやりとしている。
砲撃する時は、しっかりと射線を合わせてから止まり、撃ってきているため、参考になるとセバスは言っていたが、そんな余裕はないんだけど!
それにしても宙賊にしては腕も船もいい気がするが、軍人にしてはなんか違う気がするのだが……こいつらは何者なんだ?
砲撃に当たらないのも、メイが的確にアンノウンの動きを教えてくれるので、射線がこちらに向いたタイミングで、射線からそれるように動いているので命中していないだけなんだけどね。
当たったとしても、アンノウンの主砲の威力であれば、こちらのシールドで耐えられるので、すぐに撃沈される可能性はまずない。
その安心感はあるのだが、アンノウンが元軍艦である以上、ミサイルの存在は離して考えられない。
そういう意味では、アステロイドベルトはミサイルが使いにくい空間なので、本当に助かっている。ここが何もない宇宙空間だったら、ミサイルがバンバン飛んできていただろうな。
メイの計算が終わり、次の少しひらけた場所でショートジャンプを行う。
てめえらの情報を軍に伝えてやるからな! 覚悟しておけよ!
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




