041 考える時間も楽しい
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長距離を移動するので、時間がかかるのは仕方がない事だろう。だけど、ゲームだということを考えると、一つひとつの行動に時間がかかり過ぎている気がする。
もし現実でゲームの様に宇宙を飛び回れる時代が来たとして、星系間を数時間で移動できるとは思えないので、これでも時間が短縮されているのだとは思う。
他にも考えられるのは、船の速度とか、星系の広さが縮小されているだろうな。というか、全て現実と同じサイズにしていたら、1つの惑星を再現するのにどれだけのデータが必要になるか……考えただけで恐ろしいな。
調べてみると、移動や戦闘、発掘、探検などに時間がかかる設定のゲームだから、ダイブギアを使った時間加速が許可されているのだと書かれていた。
他のダイブ式のゲームをしたことがなかったので知らなかったが、他のゲームでも許可されている物はあるが、数は多くないようだ。
ブラック企業が理解しても、ゲーム内で仕事をしろ! って言うのは無理だろうな。ダイブギアを使えるのが、自宅だけなのでそれ以外の所からアクセスしようとすれば、ダイブギアにロックがかかるらしい。
ゲーム中は、リアルの体が無防備になるので、公の場で使える方がおかしいだろうな。特に変態上司がいる職場で使おうものなら、女性の体はまさぐられてしまうかもしれない。
ちょっとした刺激ではダイブ状態が解けないので、軽く触れたりするくらいでは、システムが反応しないのだ。ここら辺の法整備は、導入前に色々と検討されたそうだが、正直興味がなかったので知らなかった。
あぁ! そうか。ダイブギアを購入した時に、住所確認があったのはそういうことか。免許を見せて、現住所の確認をされたな。ちょっとした作業をしていたのは、ダイブギアに情報を入力していたってことか。
これなら自宅以外で使えないから、ブラック企業に利用されることもないか。会社は自宅登録できないからな。
どうでもいい事を考えるのは止めて、操船の訓練でもしてみよう。1日2時間は操船訓練に費やしてもいいかな? 現実の時間にすれば20分くらいだから、忙しくて遅く帰ってきた時でも、無理なくできる時間だと思う。
その時間も惜しいくらい忙しかった時は、無しということで。
それにしてもゲーム内の検索エンジンを使うと、色んな広告が出てくるんだな。登録されている情報や過去の検索から、興味のありそうな物を抽出しているんだろうけど、俺は今日始めたばかりなので、色々と偏りがあるな。
こういった物の広告料を使ってサーバーを維持しているんだろうか。もちろんプレイヤーである俺たちも、月額使用料を払っているし、課金アイテムだって買っている人は買っている。
ゲームの中で広告って面白いもんだな。一番面白く感じたのは、配達系の広告だな。大手スーパーの物もあるし、いわゆる出前もだ。
ゲームを楽しむ時間に当てるために、自宅からお店までの往復をお金で買うようなものだな。昔からある仕組みだけど、最近では人口の半数以上の人が利用しているんだとか。
子どもの大半は利用しないというか、親が利用する形なのでカウントされていないことを考えると、利用する年代の6~7割くらいは利用しているのかもな。
俺は、仕事帰りとかにまとめて買うから、利用したことはないけど、数百円で大量の荷物を届けてくれるのは、考えようによっては便利だ。
さて、頭を切り替えて練習でもしよう。
セバスに到着予定時間を聞くと、およそ4時間後とのことなので、その内の半分……2時間は操船訓練をするかな。
FPSゲームで言う、AIM調整とかAIMトレーニングと呼ばれる物を中心にするつもりだ。
AIM……分かりやすく言えば、狙ったところに当てる技術みたいなものだな。AIMに狙うとか言う意味があるからな。
セバスが見せた技術を俺も習得したいというわけだ。
まずは、船の動きは全くない状態で、ターゲットだけが等速で動いている状態での砲撃だ。
アシスト機能というのか、船自体の能力なのかは良く分からんが、ターゲットすると目標までの距離と移動速度が表示される。
それを元に偏差を考えて砲撃をしろってことだな。
まずはどのくらい偏差があるのかを理解しないといけない。試しに適当に撃ってみると、まったく見当違いな所を通過した。
今のは、的が動かなかった前提で撃っているので、偏差を考えれば当たらないのだが、そもそも狙った場所に真っすぐ攻撃が飛んでいないんだよな。少しズレた位置を通過しているんだよね。
これは何ぞや? 講習でも聞いた覚えがないんだけど、これは何だろうか? 何度撃っても少しズレた位置を同じように通過する。
メイの説明によると、俺に合わせて照準を調整していないから、多少のズレが存在するんだとか……人が船に乗って狙って撃っても、一人ひとり違う調整が必要なのか?
スコープを覗いて撃っているわけじゃないから、人の癖で照準が変わるとか信じられないのだが、実際に起きているので、そういうモノなのだろうと思うしかない。
メイが先に教えてくれなかったのは、実際に体験してもらいたかったのだとか。セバスはそれを計算して撃てたから、簡単に当てることができたようだ。
後で調べたら、初心者のための掲示板にも、まず船を手に入れたら、照準調整をする必要があると書かれていた。
教習の時は、既に俺に合わせた設定だったみたいだ。メイが調整してくれたんだとさ。教官にも後で照準の事を教えるので、教習では教えなくても問題ないと伝えていたらしい……いつの間にそんなことを。
教官に言われただけじゃ、ピンとこないから実際に体験してもらったんだとさ。自分で学ぼうとするまでは、メイかセバスがアシストして、照準を合わせるつもりだったらしい。
ここまで俺を中心に考えられていると、中に人間が入っているんじゃないかと疑ってしまうレベルだが、導入パッケージに付属されているアンドロイドたちなら、同じような判断をするらしい。
疑問に思って、運営に連絡しちゃったもん。ただ、セバスとメイは他のアンドロイドよりさらに高性能なので、もっといろんなことができると書いてあったよ。
こんな連絡にも対応してくれるなんてすごいと思ったが、連絡の最後の部分に『AIの判断による返信ですので、疑問が解決しなかった場合は、再度連絡をしていただきたい』と書いてあったので、正直ビビってる。
定型文で返ってきたならなんとなくわかるけど、文章の中にセバスやメイと言った、俺がつけたアンドロイドの名前が書かれていたので、その部分を読むまでは人間が書いたと思ってたわ。やけに返信が早いわけだ。
メイに言われた通り、照準の調整から始めますかね。
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