039 思ったよりあっさりと終わった
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「さすが、セバス!」
演算とかではなく、純粋に狙いを定めて撃つという行為が正確なんだよな。多少の偏差はあるけど、進行方向に合わせて船を移動していたから、ほとんど偏差は必要としていなかった。
正確な狙いができれば、砲撃が当たる状態だったので、セバスも1発で当てることができた。
今回は、2人の力が合わさってのワンパンだったな。メイも正確な情報分析で砲撃の角度などを計算してくれていたのも大きい。全員での勝利だ。
ブリッジが壊れても操縦する方法はあるが、小型船には基本的に搭載されていないシステムなので、これで敵は沈黙しただろう。
クラス3の船でも1人で操船可能なので、そのシステムを積む必要がないんだよな。だから今回の宙賊も、多くて2~3人だろうから、全員がブリッジにいただろう。
「船体が綺麗に残っているな。これなら高く買い取ってもらえるかな?」
「医療関係の物資の利益より、プラスになる可能性が高いですね。船内の掃除とかはあると思いますが、クラス3ですのでそれなりの金額で買い取ってもらえると思います」
この世界では、宇宙船は中古が当たり前なので、前に誰が使っていたのかということはあまり気にされない項目だ。
空気を抜いて消毒すれば、臭いなどは無くなり、気になるエリアは交換してしまえばいいので、中古でも気にならないんだとさ。
新品にすると言えば、エンジン等の基幹パーツくらいだそうだ。宙賊の様にメンテナンスをまともに受けていない船は、そういった部分のトラブルが多いので、修理するか新しくするかの2択になるんだと。
良く分かるような気がする。
船を宙賊船へ寄せる。そうすると準備していたセバスが、エアロックから出ていき、何やらケーブルを持って宙賊船内に入っていく。
俺とメイはその間に、宙賊船を曳航する準備をする。
セバスの行動は、俺の船と宙賊船をケーブルで繋ぎ、こちらからコントロールできるようにするためだ。
しばらくすると接続が確認されて、メイが作業を始める。数分で相手の船を掌握し、動かせる状態にまでなった。
「鹵獲する時は、やはり大きな船がほしいですね。曳航するよりも、中にしまった方が楽ですからね」
メイはそういうが、鹵獲したのはクラス3の船だから、中に入れるならクラス6以上が必要になるんだぞ。そんな大きな船は買えないよ。
導入パッケージのイベントのおかげで、初心者にしてはかなりお金を持っているけど、買えてクラス3の中古くらいだろう。
ここに来るまでの暇な時間で、プレイヤーの掲示板やリアルから引っ張り出した情報で、そのくらいの金額が貯まっていることは分かった。それでも、クラス4の中型になれば中古でも値段が跳ね上がるので、今の俺には逆立ちしても支払えない。
まだ初めて2日目なんだから、のんびり行こう。
できれば2隻目の宙賊船に襲われたくないので、さっさと移動するぞ!
間もなくして、目的のコロニーへ到着する。
「こちらX-354、交易目的で医療関係の物資を運んできた。それと、道中で宙賊船を鹵獲してきたので、情報を送る。確認してくれ」
『確認しました。鹵獲した宙賊船は、売却でよろしいですか? 了解です。最低購入希望額を設定の上、競売にかけますので、こちらからお送りするデータに記入をお願いします。宙賊船の確認も行いますので、23番ドックへ移動してください』
船って、競売にかけられるのか。そこで買った人が修理するのか、パーツをぶっこ抜くのかは知らないけど、再利用するわけだ。
値段の設定はセバスに任せて、俺とメイは医療関係の物資の売買をする。どこにでも買い占めて、高値で売るあくどい商人はいるので、そいつらには売らないようにしたい。
そうなると、一番簡単なのがギルドに卸すことなんだよね。交渉すれば高く売れる場所を見つけられるけど、時間もかかるし面倒なので、多少安くても全部買い取ってくれるギルドが今回はベストだろう。
医療物資は不足が多いので、買いたたかれる心配はない。確実に黒字になるはずだからな。
コロニーHK8873のギルドへ向かい、取引の話をする。
やっぱり切羽詰まっているようで、大至急買い取りたいと申し出があった。交渉の途中で、ギルドより高く買い上げる……と肥えた豚さんが来たけど、追っ払ってやったわ。
気持ち悪い顔で、俺のメイに近付くんじゃない! しっし!
あんな典型的なクソもしっかりとこのゲームにはいるんだな。
予定より高値で買い取ってもらえたので、ホクホク顔でギルドを出る。取引のついでに、このコロニーの余剰品を聞いてきたけど、多いのは鉱石や金属が多いようだ。
このコロニー自体が、小惑星の発掘を主な仕事にしているので、当然と言えば当然か。大型船で、腹の中に精錬工場を搭載しているような物もあるから、それを運んでくればコロニー内で作業する必要はないんだよな。
コロニー内にそういった加工工場を作るのは無駄が多いらしく、ある程度自衛能力のある大型の船は、こういう所で重宝されるんだとさ。
余剰品だとしても、金属系ってあまり儲けは出ないんだよな。多少でもプラスになるならいいけど、そこらへんはどうなんだろうか?
首都星を出てくる前に調べておいた値段表を確認する。
「通常の金属は、ここから持って帰っても、二束三文か……特殊船倉の必要がないレアメタルは、そこそこって感じかな。特殊船倉の必要な方は、あるにはあるけど首都星の方が安いな」
通常の金属はどこでも採掘できるので、必要としている場所でも大量に仕入れられるから、やはり高くはなかった。
レアメタルの方は、きっちり分かれていた。前者は、ここで使う分以上の物が採れているようで平均より多少安くなっている。後者は、足りていないのか売りにほとんど出ていないから、かなり高かった。
確認したところ、余剰は無いがギリギリ足りてはいるので、首都星から持ってきたところで、大したお金にはならなそうだ、とメイが判断している。
これなら医療関係の物資の方が儲かるってさ。
もう1往復くらいしても、値段が変わらない位には医療関係の物資は足りていないそうなので、首都星に戻って至急の依頼が無ければ、もう1往復してもいいかもな。
これがランク2でも大き目のカーゴがあれば、1度で済んだんだろうけどな……それは、言わない約束か。
積み荷を多くするために船を増やしたとしても、守り切れなければ意味がないので、やっぱり地道に稼ぐしかないな。
余剰分で安い通常のレアメタルを積載重量ギリギリまで購入して、首都星へ向かって出発する。
積載重量は、金属や鉱石など重たい物を積む時に注意が必要で、これをオーバーしていると、リアルのトラックの重量オーバーと同じように捕まるので、注意が必要だ。
積載容量は一応船倉と同じに定められているので、心配はない。地上みたいに外には積めないので、あまり気にされることはない。
帰り道の一番襲われそうなコロニーからゲートまでは、特に何事もなく辿り着いた。ここで宙賊船を鹵獲しても面倒だから、これはこれで良かった。
首都星までは、暇な時間になりそうだ。
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