168 新しい船はテンションが上がる気がする
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射撃訓練のついでにミサイルの発射訓練もしたのだが、予想より命中率が悪くて驚いた。
数字にすればかなり長い距離を追尾しているのだろうが、宇宙を高速で動いている俺たちから見ると、極短距離と呼べるほどの距離しか進まないというのが俺の印象だった。
最大射程がクラス2の主砲くらいあるという事でかなり近付いて撃ったのだが、9割以上が燃料切れになって宇宙の藻屑となった。
説明された最大射程とは、相手が移動しないことを前提とした止まった的に対する射程距離だったのだ。
相手もミサイルを察知して回避行動を取れば、追いかけるために燃料を多く使い、使い過ぎればガス欠となり、宇宙の藻屑となる……言われてみれば、当たり前の事なのだが、実際に体験しないと理解できない事だった。
宇宙の戦闘においてミサイルは、真正面から撃つのが普通らしい。戦闘機によるドッグファイトのような形で、すれ違いざまに撃ち込むのが一般的のようだ。
あくまでフライトシューティングゲームでの話だが、真正面からのミサイルは当てやすいが、少し軸がズレていると当たらなくなるあれみたいな感じだろう。ちなみに後ろから追いかけるミサイルは、余程高性能でもない限りは当たることは無い。
その理由は、船の慣性を使って撃ち出されているとはいえ、本来ミサイルが自力で出せる速度より船の方が速いから、軌道をズラされながら移動されれば、すぐにガス欠を起こしてしまうのだ。
それでもミサイルは遅いので、避けられる以外にも迎撃される可能性が高い。それを補うために、バラまくように大量にミサイルを撃ち出すのが主流なんだとか。
確実に撃沈したい船に使うのだから、出し惜しみせず大量にミサイルを撃ち出すみたいだ。
俺がイメージしていた宇宙戦闘と、大分かけ離れてしまったような気がする。
フライトシューティングゲームは、操縦の腕がもろに出るゲームだけど、ギャラクシーオンラインは、戦術や戦略が思いっきり出るシューティングゲームなんだな。
イベントシナリオのジャイアントキリングがいい例でもあるな。普通なら倒せないような相手でも、戦略や戦術を練れば倒すことが可能となる……面白いゲームだな。
こうなると、俺の中の天邪鬼がうずき始める。
本来想定されていなかった倒し方ができるのであれば、その方法を探して思惑を裏切りたいと考えてしまう……ゲーマーなら良くあるあれだな。
王道もカッコいいけど、やっぱり道からそれても結果を残せるって、本当の意味で死なないゲームだからこそできる面白さだよな。
基本的な射撃能力や操縦能力は必要だけど、それ以上に作戦を立てて盤上を思う通りに動かせるのは、新しい楽しみ方を見つけてしまった気分だ。
4時間ほど射撃訓練や操船訓練を行った後、外に出て船を動かす許可がもらえた。
ショートジャンプを連続で行えるように改良された戦闘船は……ヘルハウンドと名付けた。実験船は名付けなくても問題は無かったが、今回の船は軍に同型艦が存在しているので、購入時に名前を付けるように言われていたのだ。
何となく、小説に出てくるような名前を使いたくて、この名前を申請している。
同じ名前の船が存在しているが、ギャラクシーエンジェル内には数えきれないほどの宇宙船が存在している。それを考えれば、同じ名前が付けられたところで問題はない。
問題があるとすれば、同型艦で同じ名前を付けた場合のみとのことだ。
軍艦にも名前はついているが、形式番号と数字の組み合わせなので、不適切な名前を申請しない限りは、申請が通ることになっていたのは後で知った。
それと同時に、実験船を融合した船の名前も決めるように言われていたので、ケモの繋がりでケルベロスという船の名前にした。
名前の由来は、クラス5の武装を3つ積んでいるので、牙の生えている口が3つある……という連想をして名付けた。クラス4相当の武装もあるので、爪も隠しているよ! 的なのりもあった事は否定できない。
ヘルハウンドは戦闘船という扱いであり、呼称する場合は『武装船ヘルハウンド』というように言われた。
ケルベロスに関しては、珍しい部類の船として認識されており、呼称する際は『貨客武装船ケルベロス』というように言われた。
貨客船……貨物や人を運ぶ仕事につける船としての設備がある……という感じだな。客の部分に関しては、本当に必要最低限なので交渉次第では利用可……かもしれない程度の扱いだが、それでも仕事として人を運ぶことに問題ない船という事だな。
タクシーやトラックのように資格が必要ってことみたいだな。
タクシーやトラックと違う所は、船を運転する船長に付属する資格ではなく、船に付属する資格であり、俺にとっては不思議に感じる物だった。
そもそも所有者に資格が無いと判断されたら、客船も貨物船も認可が下りないので、厳密にいうと船と船長を一緒にしてそれに付随する資格のような物っぽいな。
出発する際に、ショートジャンプで4回分移動したところに、宙賊の出没情報があったという事を教えてもらったので、習熟訓練のついでに宙賊狩りでもしようかという気になった。
ショートジャンプ4回ってことは、普段使っているゲートより離れた宙域ってことだよな。そういえば、前に首都星からゲートの間で出た宙賊は、貴族の後ろ盾があったらしいが、その貴族は家族もろとも処刑されたらしい。
そう考えると、首都星のある星域に宙賊がいるのは珍しいのでは? と思ったが、どんなに治安の良い国でも、危ない組織は必ずあるモノなので、それと同じように治安の良い星域だったとしても、そういった輩は何処からともなく湧いてくるんだとか。
貴族に限らず、力のある商人だったり、他国の破壊工作の一環で支援している宙賊がいたり……と、色々な事情があるようだな。
目撃情報というだけで被害があったのかは不明だが、不審船がそこにあるという事実はあるので、船の性能を調べるために行ってきたらどうか? という、軍の計らいみたいなものだ。
こっちに情報を流さずに、軍が行けばよくね? とか思ったが、被害届がない不審船が相手の場合は、軍艦を動かすのに面倒な手続きが必要なんだとさ。なら俺らに調査に行ってもらい、手に負えないなら戻って来て報告してくれればいい……という軽い感じで送り出されたよ。
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