166 習熟訓練開始
アクセスありがとうございます。
「この特殊衝角を付けたことで値段は高くなってしまいましたが、それに見合った価値はあると思います。特に衝角に使われている素材ですが、敵船に突っ込むという特性のため、通常の光学兵器への耐性がとても高いのが特徴です」
へ~、爆発したり加熱したり、良く分からない作用を起こす光学兵器だが、それに強い素材というのもあるんだな……それで船体を覆えば、シールドが飽和しても撃沈されにくいのでは?
この素材は、そこまで万能なものでは無いらしい。
原理は不明だが、頑丈で光学兵器にも強いのだが、この素材を多く使って作られた船は、ショートジャンプすら不可能になってしまうらしい。使っている素材の量が少ないので、ショートジャンプには影響がないがゲートでのジャンプには支障が出るため、装甲として使われることはないそうだ。
謎の多い素材なんだな。
ちなみに、ブラックボックスに使われている素材はこれである。とにかく頑丈で、船の爆発くらいでは損傷をほとんどしない、本当に謎の素材だ。
よし、仮想空間でこの船を動かしてみることにした。
うむ。やはり、操作の感覚が実験船に近いこともあり、正直なところ扱いやすいイメージだ。でも差異があるので、その差異を修正するのが難しく感じる。
以前、実験と称して一般的に売られている戦闘用の船を仮想空間で飛ばしたことがあるのだが、その時に感じた違和感はもっとすごかった。
はっきりわかるからこそ、修正しやすかったのだが、この船は差異が少ないせいでどう調整すればいいか悩むな。
メイに操船訓練プログラムを立ち上げてもらい、指定されたコースをいかに早くミスなく飛ぶことができるか……という訓練、レースのようなものをすることにした。
初速や最高速度などは今までの実験船の方が速いが、操作性に関してはこの戦闘船の方が若干優れている気がする。この船の方が、俺にあっているのだろうか?
そんなことを考えていたら、
「実験船よりも動かしやすくなっていますか? その様子だと、満足されている様子ですね。ご主人様の癖をアンナさんに伝えて、それに合わせたチューンナップをしてもらったので、以前より動かしやすくなっているはずです」
本来この船は、実験船よりも扱い難い物なのだそうだ。それもそのはず、スラスターの出力などが段違いで実験船の方が優れていたので、当然といえば当然だった。
だけど、この船は動かしやすい……その理由は、俺が姿勢制御にスラスターを多用する操縦をするため、スラスターを本来の2倍の量を取り付けているためだ。
実験船から見れば、船自体に使われるエネルギーの量はかなり少なくなっているため、積んでいるエンジン……この場合はジェネレーターが正しいのか? それが生み出すエネルギーが余っていたからこそできた改造らしい。
その分ストレージに溜まっているエネルギーの消費が早くなってしまうので、ストレージも増設して対応しているのだとか。
そもそも母艦があるので、この船には長くても1ヶ月滞在するのに不足の無い設備があるだけで、本当に必要最低限の設備しかない船となっている。
実験船の生活空間が10だとした場合、この戦闘艦の生活空間はおそらく3前後しかない。残りの7は、増設されたストレージや戦闘用ボットの待機場所となっている。
実験船でも持て余していた空間なので、それが3分の1になったところで、俺に大した影響はない。
そもそも、クラス2の船は平均して3~4人ほどで運用するのが普通なので、その分生活空間が広く作られている。1人で操縦できるように設計されているとはいえ、単独で運用する人は少ない。
1人で運用するのは、プレイヤーくらいだろう。
俺は1人に見えて、メイとセバスもいるので平均値の3人だから、一般的な船の運用人数だ。
魔改造された戦闘船は、予想以上に動いてくれるため少し気分がいい!
「ご主人様、楽しく運転されているところ申し訳ありませんが、エネルギー残量に気を付けてください。実験船より使われているエネルギーは少ないですが、出力もその分下がっているので、ストレージを細かくチェックしないとエネルギー切れになります」
調子こいて三次元移動! みたいに、勝手に名付けてスラスターだけで移動をしていたら、ストレージのエネルギーが枯渇しそうになっていた。
ストレージを増やしても、それ以上に消費すれば溜め直しが追い付かなくなるのか。アステロイドベルトで無理に動かす際には、注意が必要だな。
想像していたより、ずっと使いやすいな。問題は、射撃の距離と使ったことのない武装の習熟かな?
ミサイルに関しては、消費アイテム……使い捨てになるので、あまり使いたくない兵器だが、母船の近くで戦う時には絶対に使う必要があるから、現実では無理でも仮想空間で練習はしておくべきだな。
そういえば、射撃訓練を行いはじめて1つ気付いたことがある。
「的までの距離が近くなっているよな?」
肉眼では認識できないが、的までの距離が半分程になっていたようだ。射撃に関してはアシストがあると言っても、元々の距離を間違えて撃っていれば当たる物も当たらないわ。
それでも1割しか差が無かったのは、相手が動かない的だったから当たっただけで、いうなればラッキーパンチに近い辺りともいえた。
距離が違うことが分かったのは、動く的への射撃訓練Bを始めた時だ。
いつもなら当たるタイミングで撃ったのに、弾が目標より早く通り過ぎてしまい、訓練の結果が25個の的中3つしか当たらなかったために気付くことができた。
的までの距離が大切なことは理解していたつもりだが、何も言われずに今までのように訓練をしていたので、まったくといっていいほど当てられなかった。理解して応用できなければ、本当に意味が無いんだな。
それにしても、距離が違うだけでここまで感覚がズレるんだな。
そのまま当てはめて良いモノか分からないが、人間が銃を撃つ時だって、距離による色々な修正が必要だけど、その距離が間違っていたら当たるものも当たらなくなるのは当たり前だよな。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




