159 話が進むぜ
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自由に利用できる許可をもらっているとはいえ、ここは軍事施設になるので移動する前には、しっかりとオペレーターへ連絡を入れ、移動する旨を伝え、誘導に来てくれた軍人の後を付いて目的の場所へ向かう。
10人ほどの作業着を着た人たちが、各々のデスクに座りマルチモニターを見ながら色々な指示を出していた。
1人平均6枚ほどのモニターを見ながら、マルチタスクで仕事をしているようだ。
声で指示したり、モニターに映っている図面に触れて指示したり、文字をタイピングして指示をしたりと、忙しなく動いている。
ドラマや映画の中の世界が、ここに広がっている。
もう少しで手が空くので、しばらくお待ちくださいと言われたので、作業の様子を眺めていた。
5分もしないうちに手の空いたエンジニアが、こちらへやってきた。
「君が今回の依頼者だね? 話は聞いているよ。帝国の最前線の工廠をほぼ無傷で鹵獲したんだってね。僕も帝国の工廠の解析に行きたかったけど、こっちの仕事が残ってていけなくて残念だよ」
ケラケラと笑っているのは、ツナギの上を脱いで腰に巻き、薄手のTシャツが健康的な体のラインを浮かび上がらせている女性だ。
見た目に無頓着なのか、ブラなどはつけておらず目のやり場に困る。
って、ブラって外国の人だと着けない人も多いんだっけ?
機械をいじる人間って、偏見だけど男が多いイメージがあったから、陽キャっぽいエンジニアが出てきて驚いたね。
話を聞くと、一旦指示を出し終わったから、空いた時間で俺たちの相手をしてくれるようなのだ。
「依頼は、実験船の融合で実験船の火力やシールドを活かしつつ、クラス5の船に組み込む方針ってことだね。じゃぁ、設計図を確認するからデータを貰っていいかな?」
そう言われて、メイが設計図のデータを送信してくれた。
ふむふむ、ほうほう、と独り言を言っているエンジニアは、ちょっと不気味な感じがするが、俺の船を見てくれていることを考えると、こんな風に思うのは失礼だよな。
マッドが付くようなタイプには見えないけど、所々セリフがヤベエんだがこの人……
「必要最低限の物はあるけど、本当にそれだけっぽいね。さすがに軍の人間としてこれにゴーサインは出せないから、必要だと思われる装置や資材などは、赤文字で書きだしておくね。
後、生活用水のろ過装置だけど、実験船の1部屋を潰してそこに入れた方が無駄が少なくていいよ。今後船倉で作業する人が増えた場合は、トイレセットを船倉の隅に置けばいいから船全体にろ過装置のシステムを張り巡らせる必要はないね。
4部屋くらい潰してもいいなら、ショートジャンプ用のエネルギーストレージを設置できるけど、どうする?
実験船のエンジンはかなり高性能だから、航行にエネルギーを使わない分かなり余剰が発生するんだよね。クラスが違うからちょっと効率は悪いけど、十分にまかなえる出力があるね」
基本的にクラスの違うシステムは使えないのに、何で実験船のショートジャンプの装置が使えるのだろうか?
それは分かりやすい理由だった。実験船のエンジンから生み出されたエネルギーを使って、実験船のショートジャンプ装置を動かすから使えるのだ。
実際に、エンジンとショートジャンプ装置を2機積んで、連続でジャンプし続ける船を作っている人がいるが、それをすると船倉の半分以上は潰れるし、ただ早く移動するだけの船になってしまうので、マニアックな人たちが作るくらいだとか。
今回は、高性能の実験船を融合に使えたから出来るような裏技みたいだ。普通の軍用のクラス2の艦だったとしても、ここまで性能は良くないので、いくら融合したとしてもあまり意味がないようだ。
融合っていうシステム自体、運営が課金船を盗まれないようにするための仕組みだから、課金船である実験船は優遇されているんだろうな。
クラス5の船としてみた場合、軍用グレードの装備を使っているので、本当にインチキくさい船が出来上がりそうだ。
運営は本来、課金船でお金を貯めた後、融合して通常のクラス5と変わらない盗まれない船としてお金を稼いで、他の船を買ったり軍に伝手ができれば軍用グレードの装備に換えたりする流れだ。
でも俺は、2個も3個もすっ飛ばして、いきなり軍用グレードの装備を手に入れちまったから、この先の展開がだいぶ変わってきそうだな。
「えっと……」
「あぁ、僕はアンナだよ」
「そうですか。アンナさんのお勧めの通りに、ストレージを追加してください。それと、戦闘用の船を1隻お願いしたいのですが、この船の随伴船として良さそうな船を見繕ってもらえませんか?」
正直、どんな船がいいのか俺には分からないので、専門家でもあるエンジニアのアンナさんに船を見繕ってもらうことにした。
「そうだね……中型の弱いところは、小型に近付かれるとミサイル以外での迎撃が難しいところだね。そのミサイルも撃つ時にシールドを解除する隙をつかれたら、無防備で攻撃を受けることになるからね。
この融合船はクラス4~5の射程範囲内なら撃ち負けることは無いから、クラス3までの船を対象とした、小型のミサイルを搭載できる船が良さそうだね。後、ミサイルを使いづらい超近距離用に、散弾タイプのレールガンもいいと思うよ。
小型ミサイル、散弾のレールガン、主砲としてクラス2の電磁波タイプを2門載せるのはどうかな? 船倉の大きさは最低限になるけど、近距離を補うための船としては、これほど有能な船は無いと思うよ」
なるほどね。距離によって得意な船に任せることで、無駄なく効率的に船を運用するってことか。
散弾タイプのレールガンなんて、よくあったね。
「君には悪いけど……試作品として作ったはいいけど、運用する船が無くて困っていたんだよ。安くするから、実戦データを提供してほしいところだね」
軍としては要望があって作ったのだが、この武器が使われるのは超近距離……いわゆる侵攻されて敗戦が目の前にある状況でしか使えないため、使わない物を積み込む船もおらず肥やしになっていたみたいだな。
傭兵のような俺たちも散弾となると、命中率の問題があるため、1発1発が安くても使いづらい武器だ。それに、船体に沢山の穴をあけることになるから、船の鹵獲が難しくなるという問題も抱えている。
今回に関しては、近付いてきた船の殲滅なので、ミサイルも積むし相手の損壊度など気にする必要がないので、ベストな選択ともいえる。
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