137 知らない事って多い
アクセスありがとうございます。
「そちらの戦闘時の録画を見させてもらいました。こちらの思惑通りにいって良かったです。こういう偶然はあまりないのですが、初体験と経験済みでは対応に差が出るので、1戦目に試させていただきました」
むむむ? どうやらセバスの作戦で、俺の放ったアクティブソナーにセバスの船が映らなかったようだ。
そもそも、宇宙空間のソナーってどういう原理なんだ? 海の中であれば、水の振動を使って位置を特定するんじゃなかったっけ?
「初めに、答え合わせをしましょう。対策については、すぐに閃くと思います」
そう言ってセバスは、今回のカラクリを教えてくれた。
簡単に言えば、アクティブソナー同士が打ち消し合ったことによって、セバスの船の位置を特定できなかったらしい。
同じ波長のアクティブソナーがぶつかり合い、相殺されたというのが今回のカラクリのようだ。
この対策として、不定期にアクティブソナーを打つ、ダブル・トリプル……2回3回と続けてソナーを打つなどがあげられる。
簡単に言ってはいるが、アクティブソナーも何度も使っていれば、それなりのエネルギーを消耗するらしい。宇宙空間での索敵は、色々とエネルギーを食うのだとか。
海の中であれば、大したエネルギーは使わないが、反響音を捉えるための装置の性能で、話が変わってくるんだとか。
ソナーを出す装置は、大した技術が使われているわけではないが、単純な装置であっても消費量はそれなりに高いようだな。
確かにこの相殺という技術というか現象は、初体験時の混乱は避けられないだろう。もしこれがアステロイドベルトの中で行われたら、勘違いだったかも? と現状を誤認してしまう可能性が高いな。
いると分かっていても、2度目のソナーを打つことを忘れて考えてしまったしな。
先行を取ったから有利不利は無い。先行には先行の強みが、後攻には後攻の強みがある。そして、今回に関していえば、セバスは先行の強みを生かし、更に後攻の強みを消すためにソナーの相殺という技術を使った。
知らなければ対処ができない技術が世の中には存在する。おそらく、このソナー相殺以外にもそういった技術がこのゲームの中にあるのだろう。そういった技術を知らなければ、戦闘にもならない可能性がある。
でも、気になるからこそ聞きたくなってしまった。
「俺の知らない未知の技術を使った、模擬試合の動画とかはないのか? 今の試合の戦闘記録を3Dで見せてほしい」
俺が気になったのは、この部分だ。
このゲーム、実は模擬戦の時の3D映像を見ることが可能だ。3Dで見れる動画なのだが、各種レーダー波や特殊な装置を起動した際のイメージを視覚化してくれる機能があるのだ。
その機能で、自分の戦闘を見てみたいと思ったし、知らない技術を使った戦闘記録のイメージを視覚化して見てみたいと思った。
初めに映し出されたのは、今の戦闘記録だった。
戦闘開始と同時に動き出し、セバスのアクティブソナーが放たれる。ソナーの放たれた方向に扇状の波が走る。俺の船にソナーが当たり、それに気付いた俺がアクティブソナーを打ち返す。
それに合わせて、セバスの船からもう1度アクティブソナーが放たれ、波がぶつかった所から波が消えていく。これが相殺を視覚化した映像という事だな。
セバスの船が速度を上げ、俺が混乱している間に砲撃を行い、俺が撃沈される。
なるほど、視覚化するとこんな風に見えるのか。
「アクティブソナーに反応が無くても、この場合は少しでも動いて小惑星の陰に隠れるなどした方が良かったですね」
セバスからダメ出しを受けた。
敵を見失ったからといって、その場に留まるのは悪手だったな。森の中の戦闘で、こっちは見つかっていて向こうの場所が分からないのにその場に留まれば、敵に殺してくださいと言っているようなもんだからな。
戦闘に詳しくない俺でも分かることなんだから、本当に考えが回っていなかったな。
次に見せられたのは、自前の船を使った模擬戦の動画だった。メイ曰く、どちらとも索敵に力を入れた船の珍しい戦闘だとのことだ。
索敵に力……特殊な索敵装備でも身に着けているのかね?
メイが編集した動画が始まり、30秒で索敵に力を入れた船という意味が分かった。特化ではなく力を入れたという意味が、視覚化された動画で理解できた。
アクティブソナーを放つ回数が、今までの動画とは倍以上も違ったのだ。
○○に特化したという言葉が指すのは、船のクラスに比べて○○の性能が明らかに高いものを指す。そういう意味で俺の船は、索敵・移動・砲撃・シールドの4種が特化していると言える。
それに対して、力を入れているという言葉が指すのは、同クラスの船に比べて○○の力の継続性が高い事を指すらしい。
索敵ならソナーの回数が多い、移動なら最高速度で移動できる時間が長い、砲撃なら主砲を撃てる回数が多い、シールドならシールドの耐久度が高い……という意味になるのだとか。
こんな言葉ができるくらいなので、色々と事情があるのだろうな。
アクティブソナーを打つのにもエネルギーがかなりかかる。そのエネルギーをまかなうために、区画を潰して専用のストレージを積んでいるみたいだ。そのストレージのエネルギーを使うことで、他の装置や装備のエネルギーを奪わないようにするようだ。
ストレージを増やせば継続力は高くなるが、船は重くなるし排熱の問題も出てくるそうで、増設のし過ぎは色々な面で悪影響もでてくるそうだ。
プリセットされている船の装備が、その船のクラスで一番バランスがいい状態だそうだ。
俺の船は、実験船だけど運営によって作られた、課金船なのでかなり優遇されている。シールドも移動もクラス4相当だが消費が少なくなっており、かなりチートな装備だ。
主砲に関しては威力は高いが、エネルギー不足による発射回数の少なさがある。
バランスがいいというのも大事な要素な気がしてきた。特化して尖った性能をしているのは、艦隊戦とかで光り輝くのかね?
船団を組んで移動する場合とか、役割に合わせて船を用意するというのもありかもな。船団を組んだとして、維持費だけで破産しそうだけどな。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




