告白
「その日から一日たりとも、あの日助けてくれたアルヴィのことを忘れる日はなかった。ずっともう一度会って、感謝の気持ちを伝えたいと思っていた」
「そう、だったのですね」
なんでもユリウスは私の素性について、調べようとしていたらしい。
けれども貴族の長男坊ならまだしも、末っ子の女なんてどこを探しても見つかるわけがなかった。
「けれどもある日、私はアルヴィを発見した」
「見つることができたのですか!?」
「ああ」
それはセシリアの即位を知らせる新聞だったらしい。
「オブリガシオン王国から取り寄せた新聞の一覧に、女王陛下の傍に侍るアルヴィの姿が描かれていた」
「そう、だったのですね」
そういえば父がセシリアと共に新聞に載っていた話をしていたような。
忙しくて記事の確認ができていなかったのだ。
「その記事には、即位したセシリア女王陛下と、女騎士アルヴィエ・ド・ヴァロアと書かれていた」
「そうだっ――え!?」
目と心臓が口から飛び出たかと思った。
ユリウスはどうやら、私が女であることを最初から知っていたらしい。
「ご、ご存じだったのですね」
「ああ。だから、神学校の入学式で、アルヴィが背後にいたときは、とても驚いた」
そういえば、入学式の日、ユリウスは私を見てギョッとしていた。
まさかそんな理由だったとは、思いもしなかった。
「その、よく、オブリガシオン王国の騎士だと知っていて、私を野放しにしていましたね」
「アルヴィ以外の者だったら、すぐに追いだしていただろう」
なんらかの目的があって、神学校にやってきたのだろうとユリウスは思っていたらしい。
「もしもおかしな行動をするようであれば、傍にいて阻止しようとも考えていた」
けれども私はユリウスの警戒を知らずに、のほほんと神学校での生活を送っていた。
「目的はなんだったのだ?」
「その、女王陛下の王配探しでした」
「なぜ、神学校で」
「女王陛下が、その、希望されて……」
事情を説明すると、ユリウスは盛大なため息を吐く。
「まさか神学校に探しにくるとは」
「ちなみに筆頭王配候補はヨハンでした」
「ああ、だから親しげに話していたのだな」
「はい」
私とヨハンの関係も気になっていたようだ。
まさか私がセシリアの夫を探すために、彼と交流を重ねていたとは夢にも思っていなかっただろう。
「実はユリウスも候補の一人でした」
「どうして落選した?」
「女王陛下にその、似ているところがあるな、と思いまして」
似た者同士は合わない可能性がある。
「けれどもそれ以上に、ユリウスと女王陛下が結ばれるのは、複雑だなと思っていた部分もありました」
「それはなぜ?」
「あなたに好意を抱いていたからだと思います」
ユリウスは目を丸くし、私を見つめていた。




