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女王陛下の婿探し~専属騎士だけれど、隣国の神学校へ男装し未来の夫を探しに行けと命じられました~  作者: 江本マシメサ
第五章 すべての謎が繋がるとき

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オブリガシオン王国にて

 まさかエルヴィンがセシリアの夫に選ばれるなんて。

 ホッとしたような、脱力したような。

 アインホルン聖国の神学校に入学してまで、セシリアの王配を探しにいったのに……。

 まあでも、私がアインホルン聖国に行かなければ、エルヴィンはこの国にやってこなかった。

 終わりよければすべてよし、ということにしておこう。


「それで、一緒にいる彼はどなた?」

「彼は――ユリウス。神学校のクラスメイトで」


 ユリウスは一歩前に出て、自らを名乗った。


「女王陛下、お初にお目にかかります。私はユリウス・フォン・アイスフェルト。アインホルン聖国のエーデル公爵家の者です」

「ユリウス・フォン・アイスフェルト――話はアルヴィエから聞いているわ」


 ユリウスはどういうことなのか、という目で私を振り返る。

 オブリガシオン王国まで連れてきてしまったのだ。

 洗いざらい、彼に事情を話さないといけない。


「少し、彼と話す時間をいただいてもいいでしょうか?」

「ええ、もちろん」


 セシリアに伝えるべきことは山のようにあるものの、まずはユリウスに打ち明けないといけない。

 私がなぜ、アインホルン聖国の神学校に入学し、ユリウスのことについてセシリアに報告していたのかと。


 ◇◇◇


 突然オブリガシオン王国に連れてこられたユリウスは、思っていたよりも冷静だった。


「まさか兄はあの男のもとにいたとは……」


 ラウル枢機卿を生き返らせるための素材として、屋敷に亡骸があったという。


「事件の翌日に、私はあの男の家に来るよう命じられたのだ」


 ユリウスの意思で、校長の屋敷に向かったわけではなかったという。


「口封じが目的だったのだろう」


 校長の屋敷で飲んだ茶に睡眠薬が混入されていたようで、ユリウスはすぐに気を失ったという。


「アルヴィがこなければ、今頃私はこの世にいなかっただろう」


 すぐに行動に移してよかった、と心の奥底から思う。


「アルヴィが探していた者は」

「校長と共にいた男性です」

「そうか」


 ラウル枢機卿は火に飲まれ、校長共々亡くなってしまった。

 今頃アインホルン聖国は大騒動になっているだろう。

 私の事情についても、打ち明けないといけない。


「その、何から説明すればいいことなのか」


 まず、もっとも重要なことから告げる。


「私はアインホルン聖国の者ではありません。名前も仮のものです」

「知っている」

「え!?」

「私達は一度、この国で会っている」

「――!?」


 一瞬、息が止まるかと思った。

 ユリウスと会ったことがあるだって?


「いつ、どこで……その……」

「きっと覚えていないだろう。互いに子ども、また私は女の格好をしていた」


 さらに驚いてしまう。


「母の遺骨を持って、オブリガシオン王国に行った話をしたことがあっただろう?」

「え、ええ」

「あのときだ」


 私とユリウスが十一歳くらいの話だという。


「私は兄とはぐれ、首都で迷ってしまった」


 人込みに呑み込まれただけでなく、ユリウスは怪しい男から誘拐されそうになったらしい。


「そんな私を助けてくれたのが、アルヴィだった」

「わ、私……!?」


 なんでも騎士ごっこをしていた十一歳の私が、誘拐されかけたユリウスを救ったという。

 そういえば、子どもの頃にそんな遊びをしていたような気がする。

 兄の服を着て、木の剣を振り回し、街中に繰り出していたのだ。

 私の黒歴史である……。


「名前を聞いたのだが、名乗る者ではない、と言って去っていったのだが、兄君らしき者が〝アルヴィ〟と呼んでいたので、覚えていた」


 まさかの出会いに、頭を抱えてしまった。

 

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