聖なる戦い
ユリウスの聖なる槍が校長に届きそうになった瞬間、障壁のようなものが展開された。
聖なる槍はすべて弾かれてしまう。
「この私に牙を剥くとは、自分の立場をわかっていないようだ」
「アルヴィを渡すことを拒否すれば死ぬしかないというのに、立場をどうこうと気にするわけがないだろうが」
その後もユリウスは聖術で攻撃を試みるも、ダメージを与えることはできなかった。
ユリウスは諦めずに聖なる槍を放った。
「無駄だと言って――!?」
聖なる槍が弾かれる中、ユリウスはナイフを投げつける。
ナイフは障壁を弾かず、まっすぐ校長へ飛んでいった。
「――!?」
ナイフはラウル枢機卿の肩に刺さってしまう。
「ユリウス・フォン・アイスフェルト、なんてことをするのだ!!」
校長は激昂し、ラウル枢機卿に刺さったナイフを引き抜いて、こちらに投げつける。
ナイフは明後日の方向へ飛んで行った。
校長はラウル枢機卿を優しく下ろし、こちらを振り返る。
憎悪の眼差しを私達へ向けていた。
「絶対に、赦さない……!」
校長が床を足でどん! と叩きつけるように蹴ると、赤い魔法陣が浮かび上がった。
そこから赤い蔓が生えてきて、私達の足もとを掬おうとしてくる。私はひたすら回避することしかできなかったが、ユリウスは聖術で赤い蔓を切り裂く。
私も剣があれば――。
次の瞬間、ユリウスの足に赤い蔓が絡みつこうとした。
すぐさま私は近くにあったナイフを拾い、赤い蔓を切り裂く。
「アルヴィ、感謝する」
「いえ……。剣さえあれば、戦えるのですが」
「剣か」
私にしか聞こえないような声で、ユリウスは「わかった」と言い、何かを伝えるかのように十字架飾りに触れた。
「何をごちゃごちゃと喋ってる!!」
その声が煽るように、赤い蔓の数が倍増した。
相殺するように、ユリウスが聖術を展開させる。
「悪しき存在を切り裂け、聖なる剣よ!!」
天井に聖なる魔法陣がいくつも浮かび上がり、そこから白い剣が大粒の雨のように放たれる。
「無駄だ! この蔓は聖術は効かない!!」
その言葉の通り、赤い蔓は剣を弾く。
けれどもその剣はそれが目的ではなかった。
「なっ――!!」
私は聖なる剣を目くらましに校長へ接近し、十字架飾りの先端を肩めがけて突きつけた。
「があああああああ!!!!!」
やはり聖術が関わらない、物理的な攻撃は効果があるようだった。




