ユリウスの行方
朝――いつまで経ってもユリウスがやってこないので、ブラザー・マテオに聞いたところ、今日は休みだという。
いろいろ話そうと思っていたのに、肩透かしを食らってしまう。
ヨハンのことも相談したかったのだが……。
体調がよくないということなので、元気になってから話そう。
そう考えていたのに、ユリウスは翌日も、その翌日も休みだった。
大丈夫なのかと再度ブラザー・マテオに聞いてみるも、一度医者を呼んで診察してもらったので、大げさに心配することはない、なんて言われてしまった。
放課後――月寮へ行って、ユリウスと面会できないか頼み込んでみた。
しかしながら寮母にそれは無理だと言われてしまう。
ユリウスと同じ月寮の生徒にどうしているかと聞いても、知らないと答えるばかりだった。
何かがおかしい。
そう思い、私は夜、ある行動に移す。
こっそり太陽寮を抜け出し、月寮にあるユリウスの部屋に屋根を使って行き着く。
バルコニーに下り立ち、そっと覗いてみた。
部屋はカーテンが開いていて、中が見えるようになっていたのだ。
「――!?」
覗き込んだ先に、いるはずのユリウスの姿はなかった。
脱いだ外套が床に落ちていて、さらに学習机には読みかけの本とペン、それから便せんが放置されている。
几帳面なユリウスが絶対にしないような状態だった。
まるで何かをしている途中に、連れ去られたよう。
いったい彼はどこにいるのか。
考えても仕方がない。ユリウスの不在が確認できただけでも、今日の調査に意味があったのだ。
見つからないよう撤退し、布団に潜り込む。
一刻も早くここから撤退しなければならないというのに、ユリウスが行方不明になっているなんて……。
もしかしたら入院している可能性があるものの、そうならそうだと言ってほしかった。
きっとそうでないので、ブラザー・マテオは言わなかったのだろう。
もうブラザー・マテオなんて信用ならない。
独自で調査しなければ。
明日、一歩踏み込んだ行動に出てみよう。
そんなことを考えつつ、眠りに就いたのだった。
◇◇◇
私はヨハンの話がしたいと申し出た。
目立たないように、手紙をこっそり彼のロッカーに忍ばせたのである。
昼休みに、裏庭のヨハンが眠っていた木の下で待っていると、ヨハンがやってきた。
手には私が書いた手紙を持っている。
きちんと手紙を読んでからやってきたようで、ホッと胸を撫で下ろした。
手紙には、ユリウスが行方不明になったことを書いていた。
「ユリウス・フォン・アイスフェルトが、いない?」
「ええ、そうなんです」
ヨハンも数日、月寮で見かけていないようだ。
最後に見かけたのは満月の晩だという。
ブラザー・マテオに相談しても、ただ体調を崩して休んでいること、それから気にすることではないと言われたことも打ち明ける。
さすがに月寮へ忍び込んで、窓からユリウスの部屋を覗いた話は言えなかった。
けれどもユリウスの不在は異常事態だと、ヨハンは察してくれたのである。
「ユリウス不在、理解。一度、叔父に相談」
ヨハンの叔父というのは、この神学校の校長だという。
まさかそこと繋がりがあったなんて。
校長であれば、ユリウスについて何か知っているだろう。
ヨハンにこの件は任せ、しばし待つこととなった。




