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女王陛下の婿探し~専属騎士だけれど、隣国の神学校へ男装し未来の夫を探しに行けと命じられました~  作者: 江本マシメサ
第五章 すべての謎が繋がるとき

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ユリウスの行方

 朝――いつまで経ってもユリウスがやってこないので、ブラザー・マテオに聞いたところ、今日は休みだという。

 いろいろ話そうと思っていたのに、肩透かしを食らってしまう。

 ヨハンのことも相談したかったのだが……。

 体調がよくないということなので、元気になってから話そう。

 そう考えていたのに、ユリウスは翌日も、その翌日も休みだった。

 大丈夫なのかと再度ブラザー・マテオに聞いてみるも、一度医者を呼んで診察してもらったので、大げさに心配することはない、なんて言われてしまった。


 放課後――月寮へ行って、ユリウスと面会できないか頼み込んでみた。

 しかしながら寮母にそれは無理だと言われてしまう。

 ユリウスと同じ月寮の生徒にどうしているかと聞いても、知らないと答えるばかりだった。


 何かがおかしい。

 そう思い、私は夜、ある行動に移す。

 こっそり太陽寮を抜け出し、月寮にあるユリウスの部屋に屋根を使って行き着く。

 バルコニーに下り立ち、そっと覗いてみた。

 部屋はカーテンが開いていて、中が見えるようになっていたのだ。


「――!?」


 覗き込んだ先に、いるはずのユリウスの姿はなかった。

 脱いだ外套が床に落ちていて、さらに学習机には読みかけの本とペン、それから便せんが放置されている。

 几帳面なユリウスが絶対にしないような状態だった。

 まるで何かをしている途中に、連れ去られたよう。

 いったい彼はどこにいるのか。

 考えても仕方がない。ユリウスの不在が確認できただけでも、今日の調査に意味があったのだ。

 見つからないよう撤退し、布団に潜り込む。

 一刻も早くここから撤退しなければならないというのに、ユリウスが行方不明になっているなんて……。

 もしかしたら入院している可能性があるものの、そうならそうだと言ってほしかった。

 きっとそうでないので、ブラザー・マテオは言わなかったのだろう。

 もうブラザー・マテオなんて信用ならない。

 独自で調査しなければ。

 明日、一歩踏み込んだ行動に出てみよう。

 そんなことを考えつつ、眠りに就いたのだった。


 ◇◇◇


 私はヨハンの話がしたいと申し出た。

 目立たないように、手紙をこっそり彼のロッカーに忍ばせたのである。

 昼休みに、裏庭のヨハンが眠っていた木の下で待っていると、ヨハンがやってきた。

 手には私が書いた手紙を持っている。

 きちんと手紙を読んでからやってきたようで、ホッと胸を撫で下ろした。

 手紙には、ユリウスが行方不明になったことを書いていた。


「ユリウス・フォン・アイスフェルトが、いない?」

「ええ、そうなんです」


 ヨハンも数日、月寮で見かけていないようだ。

 最後に見かけたのは満月の晩だという。

 ブラザー・マテオに相談しても、ただ体調を崩して休んでいること、それから気にすることではないと言われたことも打ち明ける。

 さすがに月寮へ忍び込んで、窓からユリウスの部屋を覗いた話は言えなかった。

 けれどもユリウスの不在は異常事態だと、ヨハンは察してくれたのである。


「ユリウス不在、理解。一度、叔父に相談」


 ヨハンの叔父というのは、この神学校の校長だという。

 まさかそこと繋がりがあったなんて。

 校長であれば、ユリウスについて何か知っているだろう。

 ヨハンにこの件は任せ、しばし待つこととなった。 

 

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