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女王陛下の婿探し~専属騎士だけれど、隣国の神学校へ男装し未来の夫を探しに行けと命じられました~  作者: 江本マシメサ
第三章 神学校の謎

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話し合い

 まさか三食まともに食べていなかったなんて……。そのような生活を続けていたら、いつか体を壊すに違いない。


「ユリウス、このままでは絶対に体によくありません! これから私と一緒に、しっかり朝、昼、晩と食事を取りましょう!」

「寮が違うというのに、どうやって三食一緒に取るんだ?」

「それは……朝は、こうして会うときに」

「料理はどうする?」

「購買部でパンとかハムとか、入手できないでしょうか?」


 サンドイッチみたいな簡単な料理ならば私でも作ることができるだろう。


「料理できるのか?」

「少しだけですが」


 セシリアと何度か慈善活動をしたときに、簡単な料理をシスターから習ったのだ。


「お昼は一緒に食堂で食べて」

「夜は?」

「寮母さんに頼んで、別に用意してもらうとか……」


 実現できるかわからないが、寮母は相談に乗ってくれるだろう。

  そもそもどうしてそこまで食に対して興味が薄いのかと聞いてみたら、集団で何かするというのが苦手だという。

 そういえば入学式で会った日も、クラスメイト達に詰め寄られて倒れそうになっていた。

 兄の失踪の謎を追うために、苦手な集団生活の中に身を投じたのだろう。


「では、一緒に食堂で、というのも難しいのかもしれませんね」

「いいや、アルヴィが一緒ならば、大丈夫かもしれない」

「本当ですか? 無理はしないほうがよろしいかと」

「一度、試してみたい」

「わかりました。一緒に頑張りましょうね!」

「一緒に、か」


 偉そうなことを言ってしまった。

 なんて反省しかけたものの、ユリウスは「嬉しい」と言ってくれる。


「これまで、他人からそんなふうに言ってもらったことはなかったから」


 そんなことを言うユリウスを、ぎゅっと抱きしめたくなる。

 大丈夫、私が傍にいるから!! と叫びたくなったものの、喉から出る寸前でごくんと呑み込んだ。

 私はオブリガシオン王国の騎士だ。

 ずっとアインホルン聖国にいるわけではない。

 いつか、ユリウスと別れる日が訪れる。

 無責任なことは言うべきではないのだ。


「どうした?」

「いいえ、なんでもありません」


 話が逸れてしまった、話題を戻そう。

 今後の調査について話し合う。


「図書室に兄の業務日誌があるらしい。ひとまずそれを調べたい」


 業務日誌というのは、日々の気づきや学校内であったことの出来事について記録しておくものだという。

 過去、すべてのブラザーが記録した業務日誌は生徒達にも公開されている。

 もしかしたらそこに何か、失踪に繋がるヒントがあるのではないか、とユリウスは考えているようだ。


「たとえば、兄に楯突くような生徒がいたとか、物申す保護者がいたとか」

「なるほど、そういうトラブルも十分に考えられますよね」


 それ以外にも、ユリウスの兄バルドルが教師をしていたときに、神学校にいたブラザーがいたら話を聞き出したいという。


「ブラザー・マテオはけっこう長いそうですが」

「頼んでも口を割りそうにないな」

「たしかに」


 ちなみに現在の校長は事件のあとに就任したようで、事件について聞いても情報を握っていないという。


「神学校の先代校長に話を聞きに行ったことがあったが、聖騎士隊が調査で得た以上の情報は把握していなかった」


 神学校の内部に潜入しないとわからないと踏んで、ユリウスは今に至るという。


「アルヴィの友人の叔父というのは、いつ頃に神学校に在学していたのか?」

「もうずっと昔です。おそらく二十年以上も前の話かと」

「そんなに前だったのか……」


 兄バルドルは現在三十歳だという。神学校に在学していたのは十年前だ。


「期間は被っていないが、神学校を卒業した者がそれぞれ忽然と姿を消しているというのは、おかしなことだろう」


 兄バルドルやラウル枢機卿だけではない。

 クラスメイトであるハンス、ルーカス、マクシミリアン以外の生徒も、突然いなくなっているのだ。

 さらにそれについて学校側が触れないというのも怪しい。


「やはり、ここで何か起きているとしか思えません」

「ああ」


 改めて、この神学校という場所が拠点となり、何かが起きているのかもしれない。


「学校側に対して何か探りを入れるというのは、止めておいたほうがいいかもしれないですね」

「たしかに、危険かもしれない」


 未来のエーデル公爵である兄バルドルでさえ姿を消したのだ。

 私達なんか、あっという間に存在をなかったものにされる可能性がある。


「まずは調べ物からだな」

「ええ」


 神学校側が事件に関与しているとなれば、証拠は徹底的に消されている可能性がある。

 けれどもユリウスならば気付く点もありそうだ。

 私もラウル枢機卿がいた時代の記録を読んだら、何かに気付けるかもしれない。 

 図書室へ行こうか、と思っていたが、生徒達へ登校を促す鐘が鳴り響く。


「思っていたよりも、話し込んでいたようだな」

「みたいですね」


 昼休みの図書室は人が多いので、調査するのは放課後にしよう、という話になった。


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