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Midi

「今から話すことは、私の懺悔(ざんげ)であり…そうですね……本当にあった話ですけど、絵空事だと思って聞いてください。」

何の話をされるのかと身構えて居たが、何だかそう話す葵さんの表情に少し(さみ)しいような泣き出したいようなものが見えた。


「ほんの1ヶ月ほど前の出来事です……」


ーーーその頃にネット上で知り合って仲良くなった方がいて、私はその方の恩義もあって知り合う以前よりもフォロワーさんの数が格段に上がって、この店の花も売れ行きが良くなりました。

その方はそうですね……ここではAさん、としましょう。

Aさんはとても気さくな方で、悪意のない方とわかれば「誰でも来い来い」という前向きな考え方を持っていました。

ですが、その方はある社長さんのような方で、忙しい中でも「気に入った方」に時間を割く方でした。

それは良かったんです。

良かったんですが……。

Aさんはやはり"社長"さんと言うだけあって、お金回りが物凄い方でした。

私のような一般市民の自営業とは言え、お金に関しては"貧乏人"の生き方が慣れている者からすれば、「凄いお金を持っている」、そういう「お金」についての話をされる方の話というのは、何だか「危険な香り」もして「遠い存在」「別次元の人」のように思えた時もよくありました。

それでもAさんは元は貧乏人だったとこから、一攫千金を勝ち得て今の"社長"さんという立場となり、「成り行きとして現状がそうである」だけで別に「お金持ち」という立場をひけらかす方ではありませんでした。

そういう人だったからこそ、私も惹かれてその方との交流を楽しんでいました。


ある日、そのAさんづてに知り合った方から連絡がありました。

連絡してくれた人をBさんとします。

Bさんは何だかとても困惑しているようでした。

話の内容を簡単にすると、Aさんの最近の言動がおかしいことについてでした。

Bさん曰く、「Aさんと仲良くしているCさんが最近、Bさんのことについて否定するような内容のものをネットで書き上げている。」とのことでした。

Bさんとはよく話す間柄で、Aさん同様、プライベートなことまで話せるくらいの朗らかで優しい方です。

そんな方が否定されるのもおかしな話、どうやらCさんは最近ネット上で人気を博しているBさんを嫉妬して書き上げたようでした。

事実を言ったつもりだとしても「人を否定する発言」にやはり人は敏感です。

その発言にBさんと仲良くしている方々が殺到し、物議を(かも)す程に発展してしまったそうです。

遂にはCさんはBさんに頭を下げることはしませんでした。

そのことに対してAさんはどうもCさんの肩を持つようなことを言っていたようで…。

それを聞いて私は「ああ、人を見る目を養っている方だから私に優しくしてくれたのかと思ったのになあ…」と幻滅せざるを得なませんでした。

確かにAさんはとても良い方です。人のことについて敏感で、何か問題があれば解決しようとしてくれるとても良い方です。

ですがそれが裏目に出て、「誰も頼んでいないのに急に問題解決の話をする」癖が私にも向けられてしまいました。

Aさんとこれまた仲良くしていたDさんがいて、その人が何だか執拗(しつよう)に私に連絡をしてくるようになりました。

最初のうちは「自分のことを好んで連絡してきてくれているのだなあ」くらいにしか思っていませんでした。が、徐々にその人の連絡の頻度がエスカレートしてきて、私のプライベートなことまで言うようになってきました。その内容が少し脅迫めいたこともありました。

「ああ、この感じは…私リークされている。」

そう私は感じました。

私も私で人は選びます。

自分に害を与える者、自分が大切に思っている方にも害を与え始めたら、すぐに縁を切る。これが私のやり方です。

本人がどんなにそんなつもりでは無くても、やられた本人たちがそうは思っていない、思えない。これが事実だったとすれば、それはもう免れない罪。

相手のことを思いやれない「無知の知」から起こる人を不幸にする罪。

哀しいものですね、自分の無自覚な悪さを「悪さ」と思えない、何ならそれを「正しい正義」だと勘違いさえしているのですから。

私は「これは他人がどう言おうと本人が変える気にならないと焼け石に水である」ことを知っていたので、敢えてDさんには黙ってブロックしました。

それが私の中の最善策でした。

これで終われる、そう思ったのですが……。

残念なことに終われませんでした。

あのAさんがそのことについて「掘り返す」ように、Dさんに問いただし始めたんです。

「誰も頼んでいないのに急に問題解決の話をする」

その癖が、またまた裏目に出たのです。

「Dさんさ、葵ちゃんがあなたがしてきたことで嫌がってブロックしたこと、わかってる?」

そう言ったそうです。その場に私はいませんでしたが、他の方が聴いていたのを教えてくれました。

それがまた仇となり、彼は私たちを監視するようになりました。私を含め、私と仲良くしているBさんなどをずっと監視するようにネット上に出現していたのです。

それがわかって、私たちは鎌をかけてみました。

同時刻に配信しているBさんとAさん、どちらの配信のところにもDさんが現れているかどうか。

案の定、同じアカウントを使ってDさんはAさんBさんどちらの配信にも同時刻に入室していました。

黒、これは真っ黒な人だ。

残念でした。あんなに仲良くさせてもらって恩義もあった人にこんなことされるだなんて…衝撃(ショック)で言葉も出ませんでした。

そのことがわかってから、Bさんも私もDさんにもAさんにも優しい対応ができなくなりました。

それを薄々勘づいたのか、AさんDさんそれぞれから不満の声が出ました。

Aさんは「自分のことを嫌いになったのではないか」という怯え。

Dさんは「何故自分がハブられているような空気に包まれなくちゃいけないのだ」という憤り。

どちらも「ああ、わかっていないな」という感じでした。

それがどうやら私の中で限界に達したようで……。


ーーー話が終盤になり、彼女はケタケタと笑い始めた。



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