天戸の女子力
「う、うぅーん・・・・・・」
「あ、気づきましたか?いきなり気絶しちゃったんで私も早乙女先輩も心配したんですよ?一体どうしたんですか?」
交が唸りながら起き上がると、天戸が話しかけてきた。
それに答えずに周りをみてみると、なんとも殺風景な光景が広がっていた。
真っ白な壁紙に、ポツンと二つの机と2つのベッド、そしてこれまた二つのクローゼットのみという生活に必要な最低限のみのものしか置いてなかった。
年頃の女性の部屋としてはかなり地味な部屋であった。
「な、なあ。この部屋って俺が来るからものを減らしたとか、あったりする?」
「いえ、別にそんなことありませんが。何か問題でもありましたか?」
「あ、いや、なんでもないよ」
交は思わず驚きどもってしまったが、そのことについてはなにも言わないことにした。
決して枯れてるななどとは思ってはいない、いないったらいない。
「というか、さっきのあの早乙女先輩は人、だよな?そうだよな?」
「?何言ってるんですか、人に決まってますよ」
天戸がそう断言すると、交はよかった人間だったと安心していた。
どうしても第三者からそう言って欲しかったのだ。
あれを交が自分で人間と認めるにはいささか以上にハードルが高かったからだ。
とりあえず一番心配していた重要案件が解決できると、今度は今の状況にドキドキしてきた。
そう、今交は天戸とふたりっきりで一つの部屋にいるのだ。
しかもただひとつの部屋にいるわけではない。
交の格好はうなされていたせいもあってか、汗をかき上気しており、天戸の方も、部屋着なのだろう、やけに大きめのジャージを、上のみ着ていた。
幸いなことに、交の位置からではそこから下を見ることはできなかった。
交は、下にもちゃんとジャージは履いているはず。
そう決めると、平常を装って普通に話し始めた。
「んで、ここの部屋でこれから共同生活をするわけだよな?」
「それで、俺の服とかってどこあるか知ってる?一応ここに直接送るようにお願いしといたんだが・・・」
「あ、あれですか!吞土さんが気絶してる間に私が片付けておきましたよ」
「・・・・・・・。はあ!?え、てことはその、下着とかもやっちゃったりした?」
「はい、一緒にやっておきました。何かありましたか?」
そう天戸が言っているが、交には届いていなかった。
同世代の女の子、しかも美少女に自分の下着をしまわれてしまわれてしまったことで、精神に多大なるダメージを負っていたのだ。
頭を抱えて打ちひしがれている交だったが、天戸の方はというと、自分が失敗したなどとは露ほどにも思っておらず、不思議そうな顔をして首をかしげていた。




