漢女(おとめ)参上
「お、おい!?何で手、離さないんだよ!?ちゃんとついていくって。だから離そうぜ?」
理事長室から暗闇の道を経て校舎から出てもまだ手を離さない天戸に交はもう耐えれん!とばかりに手を離してくれるように言った。
同世代の相手、しかも女の子などとこんな至近距離で会う。
ましてや手を繋ぐなど15年の人生で初めての経験であった。
ゆえに交は、恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだったのだ。
交があまりにも勢いよく拒否をしてくるので、またもや涙目になってしまっている天戸だったが、交もここで折れたらやばい!と思い決して譲らなかった。
結局、2、3分ほど無言で押し問答をしていた二人だったが、最後には天戸の方が折れ、手を離した。
しかし、どうしても気になるのかちらちらと後ろを振り向き交がしっかりついてくるのを確認していた。
それを見た交は、やれやれと思いながら天戸について行くのだった。
そうして何度か曲がったりして進んで行くと、ようやく月読寮に着いたのだった。
着いてまず交が思ったのは、かなりでかいこれ、だった。
それもそのはず、月読寮は奥行き100メートル、横幅150メートルもある敷地に建っており、寮自体の高さも14階建てとかなりの高さであったからだ。想像以上に巨大だった寮に圧倒されていた交だったが、天戸に服の袖をくいくいっ、と引かれて戻ってきた交に、天戸が話しかけた。
「どうです、驚きましたか?でもこの月読寮は大きさでいうと3つの寮の中では最小なんですよ。それに装飾もほとんどありませんからね。きっと他2つの寮を見たらもっと驚くと思いますよ。期待していてくださいね」
「これで最小かよ・・・・。んで一番質素なのか。もう俺城が出てきても驚かねえわ」
「まあ、学園全体だと奥行き21キロに横幅15キロもあるから全体からみれば小さいんですけどね。寮の全体像も見ましたし、早速寮に入りましょう」
そう言うと天戸は寮の中へと入っていった。
その後に続いて寮へ入った交だったがそこには交をして人外と思わせる化け物がいた。
それは2メートルはゆうにある巨体に鍛え上げられた筋肉の鎧を纏った大男だった。
とはいえ、ただ筋骨隆々な大男なだけでは交が人外認定するにはほど遠い。
では何故交が彼を人外認定したのか。
その理由は彼が来ている服と施された化粧にあった。
彼は何故かピンクのフリフリが付いた桜色のドレスを着て、鮮やかな口紅を塗っていたのだ。
さらにはつけまつげなどまでしていたからだ。
交は生まれて初めて見た漢女に圧倒されていた。
呆然とそれを眺めていた交であったが、天戸は平然と彼(彼女?)に近づいて行き、普通に会話をしていた。
「おはようございます、|早乙女先輩。実は今、新しく編入して来た人を案内してるんです」
「あら、おはよう。それにしても編入生なんて珍しいわね。そうよ、ワタシも挨拶しないとね」
そう言うと、早乙女は交の方へと歩いていき、挨拶をした。
「ワタシは早乙女 由岐、ピチピチの18歳よ。これからよろしくね?」
ウィンクをしながらそう言い、そのまま手をさしだして握手をしようとしてきた。
交はそれに答えて手を差し出して握手をした。
そしてその時、早乙女が呟いた。
「いい男ねぇ」
と。
それを聞いた交は速やかに意識をシャットアウトした。
現実から逃げるために。




