親子喧嘩
どうにか気分を落ち着かせたらしい結は、改めて話し始めた。
「違うのよ。ここが特別なだけなのよ。だから、あなたには特別な常識しかないの」
「え、だとしてもここから出なければいいだけじゃないの?わざわざ出る意味無いしさ」
そう交が言いきると、途端に結はしゅんとし、目に涙を溜め、今にも泣きそうな顔でちろんと交を見た。
そして言った。
「交は、学校行くの、いや?」
母の泣き落としに思わず交は思わず、うっ、と引いてしまう。
そしてチリチリと首筋に幻痛を感じた交がそちらを見てみると、そこには修羅がいた。
最愛の妻をどんな理由があろうと泣かした。それだけで彼が、例え息子相手だろうがぶちギレるには十分だったらしい。
酒呑は、普段は決して出さない鬼神の証たる五本角を出すと、そのまま交に襲いかかった。
まず酒呑は、交の頭上まで一気に跳躍すると右腕を降り下ろした。
だが、交もただやられるなどというつもりは無く、全力で体を捻り回避しならがら地面を蹴り、かかと落としを繰り出した。
それを酒呑は右腕を降り下ろした反動で回転し廻して持ってきた左腕で受け流すとソバットを放った。
これは見事に交の側頭部に
直撃し、吹き飛ばした。
交は、直撃をくらいながらも、なんとか空中で体勢を整え着地すると、突進してくるだろう酒呑を見るために前を向いた。
しかし、それはいささか遅かったらしく、すでに酒呑は目前に迫り、右ストレートを交の顔面に繰り出していた。
そしてそれをくらい、またも吹き飛んだ交。
追撃をせんと足に力を込めた酒呑だったが、追撃はできなかった。
いつのまにやら泣き止んだらしい結が、酒呑を止めるために酒呑の体を陰陽術で拘束したからだ。
そうして拘束した酒呑に話しかけた。
「も〜、酒呑さん。いきなり襲っちゃだめっていってるでしょ〜。しかも鬼神化までしちゃって〜」
「いや、だがこいつは結を泣かしたんだぞ!例え息子だろうが結を泣かしたやつはただではすまさんのだ!それに交のやつも最後の一撃はしっかりと腕で防いでおったからそれほどでもないぞ!」
酒呑が言う通り、交は最後の一撃を腕をクロスすて受けることで防いでいたのだ。
まあそれでもかなり衝撃は通るが。
そしてそれを証明するかのように、交が歩いて戻ってきた。
「いやまあ確かに頭越なしに拒否したのはあれだけどさ、さすがにそこまで俺は悪くねえだろ」
「あぁ゛ん!?てめえ結が間違えてるっつうのか!?」
「そうゆう訳じゃねえよこの駄目親父が!」
「「やるかてめえ!」」
「いい加減にしなさい!」
ゴンッ!
「「」いてぇ!!」」
そう言って再びにらみ合いを始めそうになる二人だったが、そこはそれ、家庭内ヒエラルキーにおいてブッチ切りの一位を誇る結が止めた。
具体的には頭上に岩を出現させて落とした。
そうしてひとまずまた暴走しそうになった夫と触発されて暴走しそうになった息子を止めると、交に学園に興味を持ってもらうために、学園について話し始めた。




