まずは職員室へ
あわてて準備をし、着替え終わるとすぐさま二人は身だしなみのチェックを始めた。
たとえ寝坊をしてふざけて遅刻しそうになっているとはいえ、制服がくしゃくしゃになっていっては第一印象が悪くなると考えたからだ。
ということで、まずは天戸が交の服装をチェックし始めた。
交が着ている男子用制服は、何故か古きよき伝統と安心と信頼の学生服、いわゆる学ランであった。
交が中性的な顔立ちをしているせいか、どことなく男装の麗人のように見えた。
とはいえそこは天戸クオリティ、普通ならば一瞬くらいは驚くであろうその容姿にも特に反応せず、さっと上から下までを見ると交に質問した。
「呑土さん、若干制服が大きくないですか?手の辺りとか長いですし、足の辺りもだぶっとしてますよ」
「あぁ、これ?多分これ、そうゆう仕様だから問題ないよ。まあ、慣れるまではしばらくかかるだろうけどな」
そう意味深な言い方をしながらにやっと笑った交に、天戸は頭に?マークをたくさんつくっていた。
説明をー、と訴えてくる天戸の視線を曖昧な笑みを浮かべて流すと、今度は交が天戸の服装をチェックし始めた。
とはいえ女子用制服など昨日天戸が着ているのをみただけであった交ができることなどたかが知れているのだが。
天戸が着ている制服は、セーラー服ではなく、いわゆるブレザーの上にカーディガンを羽織り、下には膝上までの長さのスカートをし、黒のニーソックスを履いていた。
仮にも戦闘科だというのに短めのスカートであった。
「なあ、そのスカートって、戦ってる最中に捲れて見えたりしないのか?」
「そんなとこ気にするんですね・・・・」
聞いた瞬間にすごく冷たい目で交を見た天戸だったが、ため息を一つするとしょうがないですね、と話し始めた。
「実はこれ、学園長の意向らしいんですよ。何でもその方がロマンがあるとかないとかで・・・。発案当初は女生徒から猛烈な抗議があったらしんですが、学園長が絶対に中が見えない特殊結界を組み込んだら反対派が一気に沈静化してしまったそうです。それで結局何が言いたいかと言いますと、これは学園長の趣味であって私の趣味ではないということです!」
そう若干キレながら言いきった天戸の説明を聞き、低かった学園長の評価が交の中で跳ね上がっていた。
交としては、男のロマンを叶えた学園長を称賛せずにはいられなかった。
まあ要するに交も年頃の男子だった、ただそれだけのことである。
そうして交の中で学園長の評価が爆上がりしていることなど露知らず、天戸は交からオッケーをもらうとすぐに部屋から出ていった。
置いていかれる形になった交が慌てて追いかけていった。
なんとか天戸が寮を出る前に追い付けた交は、今からどこへ行くのだろうかと思っていた。
なにせまだ学園へ来て2日しか経っていないのだ、学園の地理など把握している訳がなかった。
そうして黙って歩いていると、気を利かせてくれたのか天戸が話し始めた。
「まずは職員室へ行きます。そこで担任の耶麻村 昴先生に挨拶をして、それから教室に向かいます。耶麻村先生は鬼族の中でも特に大きい金剛鬼という種族なので、すごく大きいんですけど、すごく優しいんですよ。それに耶麻村先生の防御術は学園の教師一ともっぱらの噂なんですよ!」
そう興奮気味に担任について語ってくる天戸の言葉を聞き流しBGM代わりにしていると、どうやら職員室に着いたようだった。
ようやく天戸のどうでもいい話が終わると思い、交は早速職員室のドアをノックし、入室した。




