第2話:安全着地、ぶっ壊れ性能だった件
草原に着地した俺は、しばらくその場で固まっていた。
「……マジで?」
痛くない。どこも壊れてない。
試しにジャンプしてみる。
着地。
無傷。
「これヤバくね?」
その瞬間。
「動くな!!」
振り向くと、鎧姿の女が剣を向けていた。
リーナだ。
「魔族の手先か!」
「いや、ただ落ちてきただけなんだが」
「意味がわからん!」
だろうな。
その直後、背後の崖が崩れた。
巻き込まれる。
落下。
「お、ちょうどいい検証」
ドーン。
無傷。
「……何者だ貴様」
「さっきから俺もそれ知りたい」
---
第3話:戦い方が最低だと怒られた件
巨大な狼型の魔物が現れた。
「来るぞ!」
リーナが叫ぶ。
俺は冷静に考える。
(落下=無敵)
「つまり」
ジャンプ。
思い切り高く跳ぶ。
落ちる。
ドゴォ!!
魔物、潰れる。
沈黙。
「……」
「……」
「今の何?」
「落下攻撃」
「最低だな!?」
---
第4話:ヒロイン、ツッコミ担当だった件
「お前、その能力は何だ」
「安全着地」
「雑すぎる」
「俺もそう思う」
リーナは深くため息をついた。
「普通は剣とか魔法だろ!」
「俺は落ちる」
「やめろそのシンプル暴力」
---
第5話:崖ダイブが戦術になった件
盗賊に囲まれた。
「終わりだな」
とか言われる。
俺は崖を見る。
高さ、完璧。
「ちょっと行ってくる」
「待て!!」
ダイブ。
盗賊「え?」
俺「うおおおおお!!」
ドゴン!!
踏み潰し成功。
「ギャアアア!?」
リーナ、呆然。
「やっぱり最低だ!!」
---
第6話:人間ミサイルになった件
「上に飛ばせば強いのでは?」
リーナが嫌な顔をする。
「やめろ」
「いけるって」
結果――
「いくぞ!」
「やめろぉぉぉ!!」
ぶん投げられる。
上昇。
落下。
ズドン!!
敵壊滅。
「……成功だな」
「兵器か貴様は!?」
---
第7話:王都でドン引きされた件
王都に到着した。
門番が槍を向ける。
「止まれ!」
「はい」
ジャンプ。
着地。
地面陥没。
門番「!?」
リーナ「だからやめろと言ってるだろ!!」
---
第8話:勇者扱いされたけど納得いかない件
王様が現れた。
「勇者よ!」
「違います」
「空から来たと聞いた!」
「それはそう」
「やはり勇者!」
「理屈がおかしい」
試しに実演する。
玉座の上からジャンプ。
ドゴン!!
床が割れる。
王様「素晴らしい!」
リーナ「ダメだこの国」
---
第9話:空に打ち上げられた件
魔族襲来。
ボス級が現れた。
戦闘中、吹き飛ばされる。
上へ。
「うおおおお!?」
空へ上昇。
雲を突き抜ける。
「久しぶりだなこの景色!」
リーナ「戻ってこい!!」
落下開始。
「いくぞおおお!!」
超加速。
ドゴォォォン!!!
ボス消滅。
沈黙。
「……」
「……」
リーナ「もう嫌だこの戦い方」
---
第10話:この世界、バグってる件
夜。
焚き火の前。
リーナが真顔で言う。
「お前の能力、絶対おかしい」
「知ってる」
「“落ちても死なない”じゃない」
「?」
「“落ちることで強くなる”だ」
「……あー」
納得した瞬間だった。
空が歪む。
声が響く。
『テスト進行中』
「は?」
『想定以上の結果を確認』
リーナ「誰だ!?」
俺は空を見上げる。
そして言った。
「なあ」
少しイラっとして。
「100回死なせる必要あった?」
沈黙。
そして返答。
『仕様です』
「ふざけんな」




