村長からの贈り物と依頼
「村長、アランです」
「おぉ、入ってくれ」
扉を開けて入ると村長がいた。
『レイム村』村長『ゴーラン・アザハルト』、50代の元冒険者、俺の親父とパーティーを組んでいて家族ぐるみの付き合いだ。
「悪いな、急に呼び出して」
「いえ、どうせ暇なんで」
「まずは成人おめでとう。しかし、てっきり親父さんと同じ道を歩むと思ったんだけどなぁ」
「しょうがないですよ。村人のギフトを貰ったんですから。俺は俺の人生を歩むだけです」
「そうか、割り切っているみたいで良かった。『ずっと冒険者になるのが夢だ』て言っていたからな。ちょっとは心配していたんだ。それに……」
「それに?」
「本音を言うと若い奴に出て行かれるのは正直遠慮してほしかったんだ。うちだけじゃなくて他の村でも人手不足で困っているからな。しかし、若い奴の夢を応援したいのも事実だからなぁ……。」
そっか、そりゃそうだよな。
村長にとっても俺が残った事は都合が良かったみたいだ。
「それで、お前に渡したい物がある」
そう言って村長が取り出したのはカードだった。
「これってギルドカードですか? でもこの村にギルドてありませんよね?」
「無いと思うだろ? ところがあるんだよなぁ。この屋敷は俺の家でもあるしギルドでもあるんだよ。この村の住人はみんな家のギルドに所属している」
ニヤリと笑いながら言う村長。
「そんなの初耳ですけどっ!?」
「村や町には必ずギルドがあるんだよ。因みにうちは『生産ギルド』、要は食物や動植物を育てて売ればレベルが上がって行く仕組みだ」
「なるほど……、そう言う仕組みが無いと村は成り立ちませんね」
子供の頃から冒険者になる事だけを目標にしていたから村の事とか詳しくなかったんだよなぁ……。
「だから、村に残った時点でお前は自動的にこの村のギルドの所属になる。かといって別に特別な事をやる訳じゃないから普通に生活してればいい」
「わかりました」
「それともう一つ、実は頼み事になるんだが……」
頼みごと?
「お前の家、結構広いだろ? 部屋も空いているだろ?」
「えぇ、使って無い部屋が何室かありますけど……」
「実は一人、預かってほしい人物がいるんだ」
「はい?」
「ちょっと訳ありで表舞台に出られない人物なんだ。この村は余所から人が来る事も無いだろうし……」
訳ありか……。
多分何処かの貴族なんだろうな。
「わかりました。でも、とりあえずどういう人なのか教えてもらえませんか? 全く素性が分からない人物を預かるのはちょっと……」
「そりゃそうだよな。口には出せないが……、この紙を見てくれ」
一枚の紙を渡されそれを見た瞬間、絶句した。
まず、預かる人物と言うのは俺より年下の女性だと言う事。
そして、その女性はこの国の王族、つまり王女である、と言う事……。




