やり直しスタート!
「・・・・・・はっ!?」
ベッドから勢いよく飛び起きて俺は鏡を見る。
「本当だ・・・・・・、若返ってる・・・・・・」
部屋の中を見回せば昔、住んでいた実家だ。
「父さんや母さんは・・・・・・、いないよな」
両親は既に亡くなっている。
二人とも冒険者で、俺の憧れの存在だった。
「だから冒険者になりたかったんだよなぁ・・・・・・」
しかし、やっぱり15歳だから体が軽い。
毒を受けた後は、体が重くてなかなか思い通りに動かなかった。
最初の頃は仲間達も心配して声をかけてきたけど徐々に距離を置き始めて遂には追放を宣告された。
ギルドも追い出されて俺は王都から出ていって近くの森の中にあった空き家に住み着き暮らし始めた。
本当に惨めだったよ。
愚痴る相手もいないし、このままずっと一人で過ごす事になる、と思うと不安で押し潰されそうになっていた。
夢も希望も無かったし神様を恨んだ。
でも、やり直しのチャンスを貰った。
「おーい、アランいるか?」
「・・・・・・ユーヤか?」
「なんで疑問符がついてるんだよ。もうみんな集まってるぞ。」
「みんな・・・・・・?」
「寝ぼけてるのか? 今日は『成人の儀式』が行われる日だろ。」
ふとカレンダーを見てやっと思い出した。
15歳になると一人の大人として扱われる。
そして生きる為に必要な『ギフト』を与えられる。
今日は正にその日だ。
「そういえばそうだった・・・・・・。」
「ほらほら早く! ナオやティファも待ってるぞっ!」
「わかった、すぐ行く!」
俺は着替えて外に出た。
「やっぱり・・・・・・、戻って来たんだ。」
そこには懐かしい風景があった。
何せ冒険者になってから1度も帰っていなかった。
広場には既に俺と同じ年齢の若者達が集まっている。
「アラン! 遅いよ!」
「どうせ寝ぼけていたんでしょ?」
ナオとティファが待っていた。
「ごめんごめん、寝坊した」
「もうすぐ儀式が始まるよ」
既に国から派遣された教会の司祭がお話をしていた。
これは1度聞いたから覚えている。
そして、いよいよ儀式が始まった。
儀式は魔方陣の上に立って司祭様の呪文でギフトが与えられる。
このギフトが人生の分岐点となる。
因みに前は『剣士+』だった。
+がついているのは将来的に成長出来る証拠で付いているか付いていないかで希望していた職業でも一喜一憂する事になる。
「どんなギフトが貰えるか楽しみだな!」
「私はやっぱり魔法使いが良いな。」
「私は賢者とかが良いな。」
「俺は戦士か剣士だな! アレンは?」
「俺は・・・・・・、どれでも良いよ。」
「何か冷めてないか? 昨日はあんなにテンション高かったのに」
思い出した・・・・・・。
確か、前日はみんなで盛り上がっていたんだよな。
それで俺が『冒険者ギフトを貰えたらパーティーを組もう!』て言ってたんだ・・・・・・。
今、考えたらめちゃくちゃ恥ずかしい・・・・・・。
「ちょっと緊張してるんだ・・・・・・」
「そりゃそうか。人生が決まるんだもんな!」
俺の場合はもう決まってるんだけどな。
どんどん呼ばれていきいよいよ俺の番だ。
「アラン・スフィス、魔方陣に乗りなさい」
司祭に言われ俺は魔方陣に乗った。
そして司祭の言葉と共に魔方陣から光が出て俺の体を包んだ。
そして、光が収まった。
「これが貴方に与えられたギフトです」
俺は司祭から紙を貰った。
「ありがとうございます」
儀式を終えて俺はユーヤ達に戻って来た。
「みんなはどうだった?」
「俺は戦士、しかも+付き!」
「私も魔法使い+だった、ティファは?」
「私も賢者+だったよ」
うん、知ってる。
みんな前と同じギフトを与えられたみたいだ。
俺は恐る恐る紙を開いた。
そこには『村人+』と書かれていた。
え? 村人でも+が付くの?
下の方に『約束通り貴方に村人として歩んでもらいます。但し能力は前と変わらないので普通に暮らしていたら楽勝だと思いますバイ女神』
え? 職業だけ違って能力は一緒?
それって外見だけ変えた事になるんじゃないか?
「どうだった? アラン」
「えっ!?、いや、あの・・・・・・、俺、村人だった」
『え・・・・・・』
うん、固まるよな。
「悪いな、昨日の事は忘れてくれ。俺はこの村で一生過ごす事にするよ。応援してるから」
そう言って俺は広場を後にした。




