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おかえり!妖精の家へようこそ ~スキル図鑑で家族が増えていく物語~  作者: 月瀬 リュカ


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第44話 妖精の招待状

【70%コンプリート報酬】

【任意の技能を三つ獲得できます】

【《妖精の招待状》を獲得しました】

【未使用の技能獲得権 九個】


 昨日までと違うのは、一つだけだった。


 庭の隅に立つ《妖精のポスト》の蓋が、少しだけ開いている。


「あっ!」


 真っ先に気づいたのはピクだった。


「ミント! 手紙! 本当に届いてる!」


 妖精たちが一斉にポストへ集まる。


 俺もゆっくり近づき、蓋を開けた。


 中には、一通だけ封筒が入っていた。


 白い封筒。


 表には、名前も住所も書かれていない。


 ただ、小さな四つ葉の花が描かれているだけだった。


「これが……《妖精の招待状》」


 封筒を手に取る。


 紙は新品のように綺麗だったが、不思議と温もりを感じた。


「開けて!」


 ピクが待ちきれずに叫ぶ。


 俺は封を切った。


 中には、一枚の便箋だけが入っている。


 そこには、丁寧な文字でこう書かれていた。


 ――助けてください。


 たった一行。


 その下には、さらに文章が続いていた。


『私は魔物と暮らしています。


 だから、人々から恐れられています。


 魔物を傷つけたくない。


 人も傷つけたくない。


 でも、このままでは、あの子たちが殺されてしまいます。』


 俺たちは黙って読み進める。


『妖精の家という、不思議な場所があると聞きました。


 もし、この手紙が届いたのなら。


 どうか、一度だけ会っていただけませんか。』


 最後に、小さく名前が書かれていた。


『クローバー』


 静かな沈黙が流れる。


「この人……」


 ローズが口を開いた。


「テイマーでしょうか」


「たぶんね」


 ピーチも頷く。


「魔物と暮らしている、と書いてあります」


 ラベンダーは腕を組んだ。


「でも、魔物を連れていたら追い払われても仕方ないって思う人は多いよ」


「うん」


 俺も否定はできなかった。


 危険な魔物もいる。


 町を襲う魔物だっている。


 事情を知らなければ、警戒されるのは当然だ。


「でも」


 便箋をもう一度見る。


『人も傷つけたくない。』


 その一文だけは、妙に心へ残った。


 もし本当に危険な人物なら、こんな言葉は書かない気がする。


「会いに行こう」


 俺は迷わず言った。


「ミント?」


「話だけでも聞いてみたい」


 ローズも静かに頷く。


「私も賛成です」


「わたしも」


 ピーチが微笑む。


「困っている方を放っておけません」


「決まりだね!」


 ピクが嬉しそうに飛び回る。


 その時だった。


 図鑑が淡く光る。


【《妖精の招待状》】


【手紙へ魔力を流してください】


「魔力?」


 俺は便箋へ手を添えた。


 少しだけ魔力を流してみる。


 すると、便箋へ新しい文字が浮かび上がった。


『草原地域・西の風車小屋』


 そして、文字はすぐに消える。


「場所が表示された……」


 ローズが驚いたように呟く。


「普通の手紙ではありませんね」


「妖精の力なのかな?」


 ピクも首を傾げる。


「きっと、妖精のポストだからだよ!」


 目的地は決まった。


 草原地域、西の風車小屋。


 まだ行ったことのない場所だ。


「今日は準備だけして、明日の朝に出発しよう」


「賛成!」


 ラベンダーが立ち上がる。


「食料も補充しておかないとね」


「薬も用意します」


 ピーチは工房へ向かった。


「必要になりそうな魔法も準備しておきます」


 ローズも微笑む。


 皆が自然と動き始める。


 それを見ていると、この家は本当に家族になったんだと思えた。


 俺は最後にもう一度だけ手紙を見つめる。


『助けてください。』


 短い言葉だった。


 けれど、その一文には、誰かを守りたいという強い願いが込められている気がした。


「待ってて、クローバー」


 便箋を丁寧に畳み、胸ポケットへしまう。


 こうして俺たちは、新しい家族との出会いへ向けて歩き出すのだった。


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