第42話 妖精の家の一日先生
翌朝。
朝食を終えた俺たちは、いつものように庭へ集まっていた。
《スキル図鑑》を開く。
【登録技能数 60/100】
昨日覚えた魔法が、しっかり登録されている。
「今日は何を覚えるの?」
ピクが期待した目で聞いてくる。
俺は《技能の羅針盤》を開いた。
【現在習得可能な未登録技能】
《園芸》
《農耕》
《釣り》
《保存食作り》
《染色》
《編み物》
《陶芸》
《地図作成》
「今日は生活技能の日だな」
「では、わたしの出番ですね」
ピーチが一歩前へ出る。
「皆さん、一緒に頑張りましょう」
◇
最初は畑だった。
「まずは土を耕します」
ピーチの説明を受けながら、俺は鍬を握る。
ラベンダーも隣で畑を耕し、ローズは水魔法で土を湿らせていく。
妖精たちは種を運び、小さな手で土をかけていた。
「ぴぴっ!」
「がんばれー!」
しばらく作業を続けると、
【新しい技能が登録されました】
《農耕》
【登録技能数 61/100】
「一つ目!」
ピクが嬉しそうに飛び跳ねる。
◇
続いて苗を植える。
水の量。
日当たり。
間隔。
ピーチが丁寧に教えてくれる。
【新しい技能が登録されました】
《園芸》
【登録技能数 62/100】
「畑だけでも別なんだな」
「野菜と花では育て方も違いますから」
ピーチは笑顔で答えた。
◇
昼前。
今度は妖精の泉へ向かう。
「魚がいる!」
ピクが水面を指差す。
簡単な釣り竿を作り、餌を付ける。
待つこと数分。
「きた!」
竿が大きくしなる。
跳ねる魚を慎重に引き寄せる。
【新しい技能が登録されました】
《釣り》
【登録技能数 63/100】
「やった!」
妖精たちも大喜びだった。
◇
釣った魚は工房へ運ぶ。
「今日は保存食も作ってみましょう」
塩を振り、乾燥棚へ並べる。
煙で燻し、長持ちするよう加工する。
【新しい技能が登録されました】
《保存食作り》
【登録技能数 64/100】
「旅でも役立ちそうだな」
「はい。冒険者には欠かせません」
◇
午後。
ローズは花びらを集め始めた。
「今日は布も染めてみましょう」
花を煮出し、美しい青色の染料を作る。
白い布を浸すと、淡い空色へ変わった。
【新しい技能が登録されました】
《染色》
【登録技能数 65/100】
「綺麗……」
ラベンダーが感心したように布を見つめる。
◇
その頃。
ピーチは毛糸を取り出していた。
「最後は編み物です」
ゆっくりと編み針を動かす。
妖精たちは真似をするが、毛糸へ絡まって転がってしまう。
「ぷぷっ!」
「失敗したー!」
工房が笑い声で包まれる。
俺も見よう見まねで挑戦すると、不格好ながら小さなコースターが完成した。
【新しい技能が登録されました】
《編み物》
【登録技能数 66/100】
◇
夕方。
図鑑を開く。
【登録技能数 66/100】
「六つ増えたね!」
ピクが嬉しそうに飛び回る。
「あと四つで七十%です」
ローズが微笑む。
「次でまた報酬だな」
俺は《技能の羅針盤》を開く。
昨日とは違う技能が、新しく表示されていた。
【現在習得可能な未登録技能】
《陶芸》
《地図作成》
《清掃》
《洗濯》
《製粉》
《魔力循環》
「まだまだ覚えられるんだ」
ラベンダーが目を輝かせる。
「七十%まで、あと少しですね」
ピーチも嬉しそうに頷いた。
図鑑は、着実に完成へ近づいている。
その先に待つ新たな報酬を目指し、俺たちは明日もまた、新しい技能へ挑戦するのだった。




