表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

第五話 告白みたいになってんじゃん!

「いじめだ……学校ってなんでグループを作らせるんだ。少しくらいは陰キャのことを考えてくれてもいいじゃないか」


 誰にも聞こえないような、そんな小さい声でブツブツと言っていると、ホームルームは終わっていた。


「体育祭の件も気になるが、それより校則をどうにかしなければ」


「……くん!」


「いやぁ……どうやって生徒会を討伐するか、長考する必要があるな」


「陰乃くん!!」


「うわあっ!!!!」


 周りのみんなが僕のことを見ている。集中しすぎていた。それに左側から話しかけられてもあまり聞こえない。会話するときにイヤホンは邪魔だ。


「ご…ごめんなさい」


「全然いいよ! でも、次は怒るからね」


 腰に手を当てて、顔を膨らませている江森さんを、僕は凝視してしまった。教室で考えるのはやめよう。次からはトイレに駆け込むことにした。


「……えっと……要件は、なんですか」


 江森さんはハッとした表情をした。今の短時間で忘れたのか? 


「要件って言葉なんかやだ!! お話、にしようよ」


 江森さんの家はお金持ちなのでは、と思った。


「じゃ、じゃあ…お話はなんですか」


 自分の頬が熱くなるのを感じつつも、しぶしぶ口を開いた。


「今日の三・四時間目のグループ、一緒に組もうよ!! 旭野さんと藤井さんもいるし!」


 旭野さんはまだわかる。藤井さんって誰だ? もうみんなの名前覚えたのか? 僕が遅れているのを直に実感させられた。


「え、いや……でも…運動できないですし」


僕の最後に測った五十メートル走のタイムは約十一秒だ。グループにとって足手まといになることは目に見えている。


「私も運動苦手だからさ! おねがい!」


 それは意外だ。見た目からしていかにもスポーツができそうなのに。いや、僕をグループに入れるための嘘かもしれない。でも、今断ったら、高校最後のグループ勧誘になりかねない。それは嫌だ。だから僕はグループに入ることにした。


「わ、わかりました……こんな僕でいいなら、よろしくお願いします」


 僕としたことが、顔と耳が熱いことも相まって、まるっきり告白みたいになってしまった。


「やった! ん、なんか顔赤くない? 大丈夫?」 


 僕ってそんなにわかりやすく顔に出ているのか⁉ 


「え、いや、その……これは――」


「夏凛、購買いこー」


 ふ、ふう。助かった。またもやナイスだよ、旭野さん。


「わかったー! じゃあ、またね、陰乃くん」


 ここ最近で僕の寿命が急速に減っていると思う。さっきのだけで三年といったところか。



◆◆◆

 数時間後。

 僕は、一・二時間目を無事に終えて、誰よりもはやく更衣室へと向かった。


「このドアの向こうにはファンタジーの世界、冒険の地があるのか……」


 期待を寄せて、ドアを開けた。当然、ファンタジー世界なんてあるわけもなかった。


「おい、陰乃、だっけ?」


 僕は多分、一回死んだ。そこにいたのは、僕が普通に生きていても関わることがないであろう、クラスの中心人物だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ