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前世殺し屋令嬢が今世では魔物を殺しまくっていたら魔物専門騎士団長に見初められました  作者: よしゆき


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 数日後。約束通りオルガは騎士団の稽古を見学させてもらう事になった。

 魔物専門騎士団の詰め所の入り口でリベリオを待っていると、見知らぬ金髪の男に声をかけられた。


「やあ、君、可愛いね。こんなところで何してるんだ?」


 男は軽薄そうな笑顔でオルガの肩に腕を回してくる。腕を捩り上げ叩き伏せたいが我慢する。相手は騎士団の制服を着ている。どんな立場かもわからない相手だ。


「俺はダニロ。君の名前は?」

「オルガと申します」


 ダニロと名乗った男は馴れ馴れしく肩を撫でてくる。スカートの中に隠した剣に手が伸びそうになった。


「ホントに可愛いな。ねえ、暇なら俺とデートしようよ。君みたいな若い女の子には、こんな場所退屈でしょ」

「いえ、私はここで人を待っていますので」

「君みたいな可愛い子をこんなところで待たせるなんて。一体誰を待ってるの?」

「リベリオ・アドルナート様です」

「えっ……」

「私の旦那様です」

「…………はああ!?」


 ダニロは目を剥き大声を上げる。


「リベリオが旦那!? じゃあ君は、あの男の妻って事!?」

「リベリオ様の妻です」

「ウソだろ!? アイツが結婚したとは聞いてたけど……それがこんな美人となんてあり得ない!! アイツは絶対、うんと歳上のブスな女としか結婚できないと思ってたのに……!!」


 ダニロは信じられないという顔で喚いている。

 その言動から、彼がリベリオに悪意を抱いている事がわかった。


「まさかアイツに弱味を握られて無理やり結婚させられたのか……?」

「いえ、違います」

「じゃなきゃあり得ないだろ。魔物を殺すしか脳のないあんな野蛮な男。結婚したいと思う女なんていないからな」

「…………」


 このダニロという男は人の話を聞かないタイプのようだ。そして自分の考えが正しいと思い込み、間違っているなんて思いもしない。

 ダニロの手が頬に触れる。指がつう……と肌を辿り、顎をクイッと持ち上げられる。

 嫌悪感に殺意が湧いた。


「可哀想だな、あんな女の扱いもロクに知らない男と結婚させられて」

「…………」

「俺が慰めてやるよ。あの下劣な野郎なんか、俺が忘れさせて……」

「何をしてる!!」


 低く鋭い怒声が響いた。顔を向ければ、こちらに大股で歩いてくるリベリオの姿があった。

 ダニロは舌打ちし、オルガから離れた。


「ダニロ、こんなところで何をしている。鍛練はどうした」

「休憩だよ、休憩」

「まだ休憩時間ではないだろ」

「うるさいな。俺に指図するなよ」


 吐き捨てるように言って、ダニロはこの場から離れていった。

 姿が見えなくなったところでリベリオは心配そうな顔をオルガに向ける。


「大丈夫か? 何か変な事をされなかったか?」

「肩や顔を触られました」

「っ……すまない……。俺がもっと早く来れていれば……」

「リベリオ様が謝る事ではありません」


 オルガは言うが、リベリオは申し訳なさそうにしている。


「あの男に、何か言われたか……?」


 尋ねられ、オルガはダニロに言われた事を全てそのまま伝えた。

 それを聞き終え、リベリオは顔を顰める。


「クソッ……あの男は……」

「ダニロ様は、リベリオ様に対して憎しみのような感情を抱いているのでしょうか?」

「ああ……そうだな」


 リベリオは深く息を吐き出す。


「公爵家の息子で、アイツは俺よりも爵位が上なんだ。大して努力もせず、騎士団長に選ばれるのは自分だと思い込んでいた。だが、団長に選ばれたのは俺だった。団長には地位など関係なく選ばれるものだからな。アイツは自分を差し置いて俺が団長になったのが許せないらしい」

「つまり、逆恨みですね」

「ああ。それからずっと俺を目の敵にしてるんだ」

「そういう事だったのですね」


 納得し、頷く。

 ダニロはさぞ甘やかされ育ってきたに違いない。実力がないのに権力を笠に着て威張り散らし傲慢に振る舞うような人間なのだろう。彼の事など殆ど知らないが、先程の態度で容易に想像できた。


「すまない……。俺のせいで、君にまで迷惑をかけてしまうかもしれない……」


 リベリオは落ち込んでいる。

 確かに、もしまたここを訪れる事があり、ダニロと遭遇すれば、彼は間違いなくオルガにちょっかいをかけてくるだろう。しかしそれは決してリベリオのせいではない。


「謝らないでください、リベリオ様。迷惑などではありません」

「しかし……」

「私達は夫婦です。だからこれは私達二人の問題なのです。折角夫婦になったのですから、困った時は支え合いましょう」

「オルガ……」


 リベリオは僅かに目を見開き、オルガを見つめる。まっすぐに見つめ返せば彼は頬を赤く染め、照れたように小さく微笑んだ。


「ありがとう……。君のような女性と結婚できて、俺は幸せ者だ……」

「私もリベリオ様と結婚できて毎日充実していて幸せです」

「そ、そうか……」


 リベリオは嬉しそうだ。

 感情を大きく表に出すタイプではないしあまり表情は変わらないが、彼は意外とわかりやすい。そして彼のこういうところをオルガは好ましいと思っている。

 彼が困っているのなら力になりたい。しかしダニロの問題はオルガが解決できるようなものでもない。彼に騎士団を辞めてもらうのが一番手っ取り早いが、今のところ穏便に事を運ぶ方法はなかった。






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