クールに戦いましょう
「続いてはこの対戦カード!麗しい金髪美女『プレナ』 対 その力で病院送りにした相手は数知れず、そして慰謝料の払い過ぎで破産しかけた男『ミスター・マッチョス』!」
「俺の時と紹介が違いすぎないか?」
「ふえぇ。当たり前だよぉ。」
どういう意味だ?
とユークは言おうとしたその瞬間、ステージに上がった男の雄たけびが会場中に響きわたった。
「金を稼ぐためにこの地下闘技場で戦うこの俺だが、正直慰謝料と賞金が同じくらいで稼げねぇんだ。だから俺は!とてもイライラしている!」
大柄でムキムキの男、マッチョスは吠えるようにそう言った。
「まっとうに働け。」
珍しく冷静なツッコミをするユーク。
「つーわけで嬢ちゃんよ。降参してくれるとありがてぇ。女の子をボコボコにするのは、気が引けるからな。」
「ご忠告、ありがとうございます。けれど、私は降参なんぞしませんよ。むしろ・・・あなたが降参してくださると嬉しいのですが。」
強気にプレナは返事をした。
「ほう・・・じゃあ遠慮なくやらせてもらうぜ。」
ゴーン!と猛々しくゴングが鳴った。
「なぁプレナ、勝てるのか?」
自信満々にああ言っていたが、あまり勝てるビジョンが浮かばない。
「うーん・・・普通に戦ったら勝てないと思う。」
「それってヤバイよぉ。」
クオンがそう言う以上、そうなのだろう。
一体、どうやって勝つつもりだ?
プレナは挑発するかのように、右手でクイクイと振ってみせた。
それを見てマッチョスは怒りの表情を一瞬見せたが、すぐに卑下た笑みになる。
ゆっくりとプレナに近づき、丸太のように太い腕で殴りかかった。
それをプレナはギリギリで避け、その腕に触った。
次の瞬間、2人の姿が消えた。
それを見て観客はどよめいたが、ユークにはすぐに合点がいった。
「そっか。移動魔法か。」
瞬きをすると、もうプレナの姿がステージ上にある。
「港にあの男を置いてきました。10カウント以内にここまで戻ってくるのは不可能です。」
勝利宣言。
「・・・勝者『プレナ』!」
少し遅れて観客が沸きだした。
「これで情報が聞き出せますね。」
「おう・・・こういうルールだとお前、無敵だな。」
「ふふっ、ありがとうございます。」
司会の声がする。
「それでは最終試合を始めたいと思います!」
あれ?もう勝ち越したんだから、試合をやる必要ないんじゃないのか?
「いえいえ、試合自体は行います。観客の皆さまのためにも。」
と受付は言った。
要は消化試合ってことだな。
「最終試合はこの対戦カード!美しく儚げな少女『クオン』 対 飛び入り参加の男!しかし数々のレジェンドを持っていると言われる人物『あ』!」
クオンはピクッと目を開いた。
「・・・行ってくる。」
普段とどこか違う雰囲気を纏い、クオンはステージへと歩みを進めていった。




