必殺技
ふっふっふ・・・!
いよいよ、俺の真の力を見せる時がきたようだ・・・!
俺の実力を疑っている者がきっとごまんといるだろう。
そんな奴らの鼻を明かしてやろう。
大きな斧を担いだ女性がステージ上がってきた。
あいつが俺の相手か。歳は思ったよりいっている。
おばさんと言っていい。そして太っている・・・。
「っておばさん!?」
俺たちにここのことを教えてくれたおばさんだ。
「また会ったわね。今の私は『レディ・ミノタウロス』。知る人ぞ知る女戦士よ。」
知らんがな。
「それでは、試合開始!」
チーン!とお粗末なゴングがなった。
「手加減はしないわ。」
おばさんはその体躯からは信じられないようなスピードで走り出した。
そして、呆気に取られているユークめがけて斧を振り下ろす。
「っとあぶな!」
ついつい眺めてしまい、回避が遅れてしまった。
顔面すれすれで斧が通り過ぎていき、ユークは避けた勢いで尻餅をついた。
「逃がさないわよ。」
おばさん、もとい、レディ・ミノタウロスの追撃。
ユークは床を這いずりまわって攻撃を回避する。
「大丈夫でしょうか・・・?」
「ふえぇ。負けるに決まってるよぉ。」
「大丈夫。」
クオンは何かを確信したかのように頷いた。
「あの、どういう・・・?」
「腐っても魔王。あの程度の相手には負けない。」
「クオンさん・・・!」
当のユークは逃げ腰でステージ上を駆け回っている。
「・・・そうですかね?」
若干呆れた声音でプレナはそう呟いた。
「ぐぅ・・・誰かが俺の悪口を言ってる気がする。」
被害妄想を膨らませながら、ユークは器用に攻撃を躱していた。
よーし、段々と目が慣れてきた。
流石に猛スピードの斧を目で捉えられているわけではないが、軌道とかそういうのは分かるようになってきた。
「後は・・・。」
思い出せ。
あの時に買った、強くなるための本の内容を。
武器を持った相手に素手で勝つには・・・。
「得意な空間を作る!」
レディ(以下略)が斧を振り、刃が下を向いた瞬間、ユークは一気に近づいた。
「なっ!?」
防戦一方、どころか攻撃を全くしてこなかったユークが急に距離を詰めてきたことにより、レディは面食らった。
斧を振り下ろした体勢、武器で防御することは適わない。
受けろ!
これぞ!ふえぇ仕込みの必殺技!
「どおりゃああああああああああ!!!!!」
技名が思いつかず、叫びながら突っ張りを繰り出した!
「ブエェ!?!?」
レディはステージ外に吹っ飛んだ。
スタッフが慌ててレディのもとに駆け寄る。
「き、気絶!よって勝者!ユーク!」
「ふっ・・・。」
ユークはカッコつけてステージを下りる。
魔法を撃ちだすポーズをそのまま必殺技へと昇華させた。
「強すぎる・・・!」
「自分で言いますか?」
3人が駆け寄ってきた。
「うるせぇ。いーじゃん。」
「まぁいいですけど。さて、次は私ですね。行って参ります。」
ユークとすれ違うように、プレナはステージへと上がった。




