旅立ちです
「待っていたよ。4人とも・・・ユーク君、どうかしたのかい?」
高級ホテルの宿泊が終了し、一行はキットの魔王城へと戻ってきていた。
「気にすんな。二日連続でデザートにありつけなかっただけだ。」
「はぁ・・・。」
わけが分からないという顔をするキット。
「それでキット様、どうだったのですか?」
「ああ、部下に調べてもらった限りでは、少なくともこの北大陸にそれらしい存在はないようだ。」
「北大陸?」
「スーシャは国土が北と南に分かれているのです。」
「ふーん。」
ユークとプレナが話している間にもキットは話を続ける。
「南大陸には魔王がいないから名目上、僕の支配大陸となっているが、ここと比べ文化や環境が大きく異なり、僕自身もほとんど行ったことがなく、分からないことが多い。」
「つまり、調べてない?」
クオンの言葉にキットは頷いた。
「ああ。だが、それを理由に調べないというわけにはいかない。けれど僕はこの地を守る必要がある。」
「そこで俺たちに行ってほしいと。」
「そうだ。身勝手な言い分というのは分かっている。けれど、同じ魔族として、調査をしてきてほしい。頼む。」
「それはいいけどよ・・・俺たち、そんなに金を持ってないぜ。」
「カジノでほとんど使ったせいだよぉ。」
ユークはモルガナの頭を叩いた。
「路銀なら僕が出そう。実を言うと君たちなら頷いてくれると思って、表に馬車を停めておいたんだ。それを自由に使ってくれ。」
「それはありがとうございます。」
プレナがモルガナの頭を撫でながら、代表としてお礼を言った。
「いや、お礼を言うのは僕の方だ。君たちがいなかったら、この国の魔族はパニックに陥っていたことだろう。感謝している。それでは・・・頼む。」
「おう。任せとけ!」
食料と金を受け取り、4人は魔王城を出た。
「これから南に向かって真っすぐ行きます。」
世界地図を広げ、プレナは魔王城から指を下になぞる。
「地続きになってるとこがあるけど、そこに行かないのか?」
ユークの疑問にプレナは頷いた。
「ええ。そこから馬車で通ることも可能ですが、時間がかかるので海まで向かい、そこから船に乗って南大陸へと移動します。何か質問はございますか?」
「いや、特にない。」
「では、馬車に乗ってください。御者は私がいたしますので、皆さんはくつろいでいてください。」
馬車も扱えるのか、プレナは。何でもできるなこの子。
ゆっくりと馬車は走り出し、ゴトゴトと揺れる。
「機関車に比べると、やっぱ遅いな。」
「あれと比べると、何でも遅い。」
「だよなぁ。」
なんというか、思ったより退屈だ。
幌があるせいで景色はほとんど見えないし。
ゆっくりと遠ざかっていく魔王城をボーっと眺める。
「・・・トランプでもやるか。」
「賛成。」




