手紙です
「ワハハ!弱い弱いぞ!」
魔王城で冒険者を迎撃する日々が戻ってきた。
「あー勝った勝った。・・・たまにはお前らも戦ったら?」
相手を全滅させ、手をパンパンと払いながらユークは3人に語りかけた。
「ふえぇ。私はここの魔王じゃないからいいの。」
「・・・弱いからいい。」
「私は秘書ですから。戦闘はユーク様にお任せします。」
三者三様の答えが返ってくる。
「・・・そーかよ。ところで、そろそろ警備ランクが上がるんじゃないか?てか、上がってほしいんだけど。そろそろ迎撃の頻度、減らしたいし。」
「そうですね。では、確認してまいりますので、おくつろぎください。」
「はーい。じゃあユークの部屋でトランプやろうよ。」
「おっいいぜ。今日こそはケチョンケチョンにしてやんよ。」
旅行以来、トランプで勝負するのが日課のようになっていた。
地下空間に移動し、散らかりつつあるユークの部屋に入る。
「前から言ってるけどさ、お前ら、私物は自室に持ってかえれよ。」
クッションやら本やらが床に散らばっている。モルガナとクオンが持ち込んで放置してある物だ。
「えー面倒くさい。」
「なら、そもそも持ってくるなよ。」
「ふえぇ。固いこと言ってると禿げるよぉ。」
「え、マジで?・・・そんなわけないだろ。」
一瞬、信じた。
部屋をノックする音がした。
「プレナです。」
「おう。入っていいぞ。」
「失礼します。」
律儀に一礼してから入室。
「まったく・・・お前ら、少しはプレナを見習えよ。」
「・・・何のお話でしょうか?」
ユークは掌をヒラヒラと振った。
「何でもない。こっちの話だ。」
「そうですか。それとユーク様、お手紙です。」
「手紙?誰からだ?」
手紙を受け取った。文通するような仲の良い人物はいない。
差出人は・・・キットか。スーシャの魔王だ。
「あの新世界の魔王(笑)が俺に何の用だ?」
封を切ってプレナに渡す。
「読んでくれ。俺じゃ読めないかもしれないし。」
「かしこまりました。では・・・。」
内容量があるのか、手紙を読む時間が続く。
真剣な表情で手紙を読むプレナ。
こういうキリッと顔を見るのって久しぶりだな。出会ったばかりの頃はこんな表情ばっかしてた気がする。最近は笑うこと多いしな。
「・・・要点をまとめますと、最近、スーシャ内で魔族に対する人間の行いが強くなっているそうです。何か心当たりはないか?とのことです。」
ないな。いや、魔王城に来る奴なんて大体そんな感じだから、何とも言えないけど。
「スーシャってキットが治めてんだろ?色々やってるってたしか言ってたよな。それなのに魔族への当たりが強くなってる?変な話だな。」
魔王としてのカリスマでも失ったのか?
「そうですね。いずれにしても、手紙なので詳しいことは分かりませんが。」
ピコーン!とひらめいた。
「なら、実際に会って話すか。」
「え?スーシャに行ってですか?」
「そうだ。」
ヴェリニヤに行ってからまだ5日だけど、また旅できるいい機会だ。
「さぁ善は急げだ。早速支度をしようぜ。」




