旅帰りです
翌朝――
「お世話になりました。」
魔王城の前でプレナはフリットに頭を下げた。
「ああ。いつでもまた来てくれ。モルガナ、身体に気を付けるんだよ。」
「うん。大丈夫だよ。」
これにて旅行は終了。
「後は帰るだけか。プレナ、早速頼むぜ。」
「えっ?あの、帰りの機関車の切符を買っていたのですが・・・え、移動魔法で帰るのですか?」
「えっ?」
すっかり移動魔法で帰るもんだと思っていた。
「いや、行きがあんなに退屈だったし、帰りはもういいかなって・・・。」
「あの、行き帰りも含めて旅行だとおっしゃってたではありませんか。ですので、切符を買ったのですが・・・。」
「あ・・・。」
ユークは過去の発言を思い出した。確かに、そんなこと言った気がする。
「ユーク・・・。」
「ふえぇ・・・。」
ジト目の視線がユークに集中する。
「・・・駅まで競争だ!負けた奴はアイス奢れ!はいスタート!」
逃げるように魔王城を後にし、駆けだすユーク。
「ずるい!」
「ふえぇ!滅びろ!」
クオンがいち早く反応し走り出した。モルガナは呪詛の言葉を吐いて2人の後を追う。
「あ、待ってください!・・・ありがとうございました失礼します!」
プレナはフリットに一礼してから3人を追いかけていった。
「うんうん。楽しそうだねぇ。」
遠くなっていく4人の背中を見つめながら、フリットは感慨深く何度も頷いた。
・・・・・・・・・
「よっしゃぁー!勝ったー!」
駅のホームには、両腕を空に突き上げ雄たけびを上げるユークの姿があった。
「ふえぇ・・・勝ち負けのルールは決まってないよぉ・・・。」
ぜぇぜぇと荒い呼吸をし、3番になったモルガナは涼しい顔をしているクオンの隣についた。
「確かにそうだな・・・俺1人が3人からアイスを貰うってのもあれだし・・・ビリが皆にアイスを買うってことで・・・お、ちょうど来たか、プレナ。」
「はぁ・・・急に走らないでください・・・。」
「分かった分かった。で、プレナ。俺たちにアイスを・・・。」
「ええ。分かりましたから。・・・これが切符です。アイスは乗ってからでいいですよね?」
「おう。じゃあ乗るか。」
心なしか、周りの客がこっちを見ている気がする。
「なんか見られてないか?」
「走ってきたら、そりゃあ注目される。」
「そだな。」
機関車に乗り込み、与えられた部屋でくつろぎ、ひたすらトランプをやる。
そんな退屈で死にそうな一週間を何とか乗り越え、ようやく地元・ラスィカヤに帰ってきた。
「こっちは流石に寒いな。」
「ヴェリニヤが暑かったわけじゃないけどね。」
「まーな。ここまで来たなら、もういいだろ。プレナ、よろしく。」
「はい。それでは魔王城へと移動しましょうか。」
移動魔法、発動。
こうして、今回の外遊は幕を閉じた。




