就寝です
夕食を終え、部屋に戻った一行――
「で、誰がどこで寝るんだ?」
二段ベッドが左右に一つずつ。
「ふえぇ。ユークは上の段にしてよぉ。」
「その心は?」
「上の段だと下りる時に音がするから、安心できるよぉ。」
「そっか。それもそうだな・・・おい!」
ノリツッコミ炸裂。
「まぁ俺が上の段ってのは別にいいぜ。悪さはしないからな。右のベッドはもらうぜ。」
本を小脇に抱えて梯子を上がるユーク。
ベッドに胡坐をかいて3人を見下ろす。
「おらおら、さっさと決めろぉ!」
「ふえぇ。調子に乗ってるよぉ~。」
「では、私はユーク様の下を取らせていただきます。」
プレナがユークの真下のベッドに座る。
「私は上がいい。」
「じゃあ私は下だね。」
クオンは上に、モルガナは下のベッドについた。
あっさりと場所取りが終わってしまい、沈黙が部屋を支配する。
その空気に耐えられなくなり、ユークは本を読みだした。
それを皮切りに各々、自分の世界に入っていった。
機関車の走る音だけが部屋に響く。
ランプの灯りは音に合わせて揺れ、時折部屋を仄かに暗くする。
ストレッチをしていたクオンがふと窓の外を見ると、綺麗な三日月が星空の中で輝いていた。
「ふぁ・・・。」
誰かが欠伸をした。
クオンはベッドから身を乗り出し、頭だけ下に向けると目をこするモルガナの姿が目に映った。
「そろそろ、寝ましょうか。」
「そだな。」
プレナの言葉に頷き、ユークは読んでいた本をぱたりと閉じた。
「じゃあランプを消すぞ。」
次の瞬間、部屋の中から明かりが消えた。
「あ、いや、まだ寝間着に着替えてないので、ランプは消さないでください。」
「あ、そうっすね。」
月明かりを頼りにマッチを探す。
ランプに火が灯った。
モルガナの魔法だ。
「ふえぇ。人の話はちゃんと聞かないとダメだよぉ。」
「ぐぬぬ・・・こればっかりは言い返せない。」
「じゃあ着替えるからいいって言うまで、絶対に目を瞑っててね。もし見たらお前をボン・ヴォヤージュにするよぉ。」
「意味分からん脅しはやめろ。」
ぶつくさ言いながら、素直に目を閉じるユーク。
「ボン・ヴォヤージュの使い方、間違っていますよ。モルガナ様。」
「ふえぇ。」
「まだか?」
目を瞑っていると時間が分からない。適当なタイミングでユークは聞いてみた。
もぞもぞと何かが動く音がする。
「ま~だだよ。」
クオンの返事がした。
声がやけに近いな。そう思った次の瞬間、腹にチョップがきた。
「あだぁ!」
「もう大丈夫ですよ。」
「ああ・・・そう・・・。」
わき腹を押さえ、ベッドに伏すユーク。
不意打ちはダメだろ。
「では、灯りを消しますね。お休みなさい。」
ふっと灯りが消え、再び部屋が暗くなった。
窓の外からの明かりがあるが、まぁ寝られるだろう。




