食事です
「ご飯だって。」
クオンに話しかけられ、ユークは本の世界から戻ってきた。
「お、おう。もうか?」
「もう夜だよ。」
そう言われ窓の外を見ると、暗い原っぱと満天の星空が広がっていた。
「ホントだ。全然気がつかなかった。」
時計を見ていたわけではないので正確には分からないが、読書を始めてからかなりの時間が経過していたようだ。
「じゃあ行くか。プレナとモルガナは?一緒じゃないのか?」
「2人はもう食堂車両?・・・に行ってる。あとは私たちだけ。」
部屋を出て、個室のドアが左右にズラリと並んだ廊下を歩いていく。
「ここだっけ?」
見取り図を一回読みはしたが、あまり覚えていないユーク。むやみに歩くと迷子になりそうだ。気を付けよう。
ドアを開けるとそこは、レストランのようになっていた。
「こっちだよぉ~。」
端の方の席に座っていたモルガナが手を振る。
「悪いな。待たせたか?」
「うん。もう3分も待ったよぉ。」
「そんくらいなら別にいいか。」
料理はすでにテーブルに並べられていた。
「これ、注文したのか?」
「いえ、メニューはすでに決まっておりました。」
なるほどな。注文を考えなくていいから、それはそれで楽か。
で・・・
「またシチューか・・・。」
「こればっかりは仕方ありませんよ。」
よりにもよって初日からシチュー。食べたばっかだよ。
「ふえぇ。ホワイトシチューだし、夜景が楽しめるし、全然平気だよぉ。」
「うん。こんなに景色が速く過ぎていくのは不思議。」
頷きあっているクオンとモルガナだが、観点は何だか違う気がする。
「まぁいいか。・・・美味い。」
料理は美味かった。本当に美味かった(語彙力の欠如)。
「てかさ、結構速いよな、機関車。それなのに何で一週間もかかるんだ?」
「西に向かいながら、色々な駅に停まるからですよ。明日の明け方にも一度停まりますね。」
言われてみれば、乗車した時にもすでに客がいた気がする。
「ですからまっすぐ西に向かっているではなく、途中、駅に寄るために北や南に少し向かったりします。それが時間の掛かる要因ですね。」
「ふーん、そういうことか。」
目的地に到着するまでに、いったいいくつの駅に寄るのだろうか。
「そういや、ヴェリニヤってどんなとこなんだ?」
ユークは思い出したようにモルガナに質問した。
「ふえぇ?ヴェリニヤ?そうだね・・・私の知る限りでは、落ち着いた国かな。」
「どんな感じなの?」
クオンが続けて質問した。
「歴史を重んじる・・・みたいな?魔族と人間がお互いに理解して、尊重しているところだよ。」
お互いを尊重か。凄いところだな。
「国全体がそうなのでしょうか?」
「うーん・・・分かんないけど、私が町に出た時は皆、友好的で過ごしやすかったよ。」
「そうですか。それは楽しみですね。」
そう言ってプレナはモルガナに微笑みかけた。




