カフェが欲しい
「カフェが欲しい。」
唐突にユークはそう言った。
「どうされたのですか急に?」
「ほら、町に行ったじゃん。その時にさ、喫茶店に入ったんだけど、すごいよかったわけよ。だから、魔王城にも欲しいと思ったんだ。あ、カフェがあれば働いた後のひと時を過ごすことができるし、従業員からも喜ばれるんじゃないか。」
「思いつき、というわけですね。」
プレナは溜め息を一つ。
秘書として働くようになってから、溜め息が増えた気がする。気を付けなければ・・・。
「カフェには・・・アルパカかウサギが必要。」
ニュース雑誌を読みふけっていたクオンのアドバイス。
「ふーん・・・アルパカって?」
ウサギは分かるけど、アルパカは聞いたことないユーク。
「ああ。」
クオンは無視。
「四足歩行の動物です。首の長い・・・。」
「ああ。あれか。」
首が長くて黄色と茶色の。図鑑で見たことある。
「ユーク様が思い浮かべているのは、恐らくキリンです。」
「あ、そっすか。」
でも何でその動物が必要なんだ?
その質問をすると
「マスコット・・・大事。それなしじゃ、客がこない。」
とクオンから返ってきた。
「マスコットね・・・動物は買うの面倒だし・・・何か、代用はないのか?」
「ない。と思う。」
じゃあやめようかな。
「そもそも、カフェはオススメできません。まず、どうやって儲けを出すおつもりですか?」
儲け?
「いや、休憩スペースというか、憩いの場!みたいな感じのが欲しいなぁと・・・。」
「だから、儲けはいらないと?」
プレナの目が細くなる。
「それでは続きません。提供する飲食物を仕入れるのに金がかかります。カフェを造るのに金がかかります。儲けなければ、ただ金を使うだけですよ。」
そこは・・・まぁ・・・
「魔王だから、人間から奪う・・・とか・・・。」
プレナの迫力に押され、語気がなくなるユーク。
「現在、冒険者の頻度が落ち着いているのは、魔王から人間に干渉を仕掛けていないからです。今の警備体制では、下手に刺激をしてしまうと侵入者の数が増え、対応が効かなくなる可能性があります。さらに・・・。」
「はい。カフェは無しにしよう!」
説教臭くなってきたので、ユークは強引に話を終わらせた。
しかし、クオンのアドバイスが妙に気になり、カフェについて色々調べ出すようになるのは別のお話である。




