魔王に会いに来ました
「おっ、いたいた。」
噴水前に立つプレナの姿をユークは発見した。
約束の時間にはまだ少し早いが、お互いにやりたいことを終えたようだ。
「ユーク様、ご用件はお済でしょうか?」
「ああ。大丈夫だ。」
買った本が入っている紙袋を見せる。プレナも同じ袋を持っていた。奇遇だな。
「んじゃ、帰るか。」
「分かりました。」
にぎわっていて、中々面白い町だったな。また来たい。
あ、魔王の評判、調査するの忘れてた。
まぁいいや。次来る時の口実になるな。
町を出て、すぐ近くにある森に入っていく。
すぐ近くであんなににぎわっていたのに、この森は驚くくらい静かだ。人はこういう場所には近寄らないのか?
「さて、町から離れたことだしプレナ。魔法でちゃっちゃと魔王城に帰ろうぜ。」
「はい。」
「魔族か?」
頭上から声がした。
見上げると同時に何かが降ってきた。
「あなたは?」
プレナが警戒した声音でそう尋ねる。
「私、クオン。ここの魔王を探している。」
白に近い水色の髪をした少女。大きな黒い布を重ねたような服。腹に帯を巻いている。腰には短刀を帯びている。ミニスカートのようだが、服が上下で一体となっている。
俺やプレナが着ている洋服とは、大きく異なる不思議な格好だ。
「・・・その格好。もしかして・・・。」
「知っているのか?プレナ?」
「はい。この大陸の南に位置する島に伝わる衣装・・・だったと思います。」
「私、東の島国から来た。魔王に会うために。」
俺に会いに来たのか。ん?東?南じゃなくて?
「魔王に会って・・・どうするのですか?」
俺が魔王だということには、気が付いていないようだ(当たり前か)。
少し柔らかくなった口調でプレナはクオンに問いかける。
「護衛をしたい。私、忍者だから・・・強い。」
何だ。俺の仲間になりたいのか。
「ニンジャって?」
「ああ。」
お前じゃない。プレナに聞いたんだ。
「特殊部隊の兵士・・・みたいなものだと思います。暗殺や護衛に長けた存在であると以前、何かの文献で読みました。」
「ふーん・・・要は強いんだな?」
「強いよ。」
「じゃあいいよな?」
俺の言いたいことが分かったのだろう。プレナは頷いた。
まさか、俺に忠実な美少女を仲間にすることができるとは・・・日頃の行いの良さを天が見ていたのだろう。
きっと、この場でスカウトすれば、この少女は涙を流して俺の仲間として働きたいと誓うことだろう。
「クオン!俺がお前の探している魔王ユークだ!さぁ、俺の仲間になれ!」
「嘘だ。」
え。
「嘘じゃない!ホントに俺が魔王だ!」
「えー・・・。」
何か、予想と反応違うんですけど。




