弟
ロイス……見たかった。
本当に残念です。
さっきのは夢……だったのか。
いや、あれは俺の記憶……?
「大丈夫か?」
「はい……失礼しました」
「何があった?」
「え……?」
「突然意識がなくなるなんておかしいだろう、何かの病気か?」
意識が……またか……。
ハンネルさんが前に言っていたショックがまた起こったってことか?
「おい、黙ってないで説明をしろ」
「説明……ですか?」
「決まってるだろう、なぜ意識がなくなった?場合によっては君をギルドから追い出すことになるぞ」
えっ!?
……追い出される!?
それは……
「すみません、それは困ります」
「ならば、説明をしろ」
空気を切り裂くような鋭い視線。
……誤魔化すのは無理だ。
「……分かりました。貴女を信じて正直に話しますが、信用してくれますか?」
「分かった」
え……?
「なんだ?」
「なんで……ですか?」
「ん?嘘をつこうとしていたのか?」
「いえ、そうではないですけど……即答だったので」
「これでも信用できる人間とそうでない者の見分けぐらい出来るつもりだ」
う……。
この人、格好良すぎるだろ。
不覚にも涙腺が少し緩んでしまった。
「おい、何で泣くんだよ」
「あれ……?」
目を丸くするシグルドリーヴァさん。
俺の涙腺は緩むどころか既に崩壊していた。
「すみません……っ、ちょっと……待って下さい」
「参ったな」
「いや、すぐにとま……っりますので」
「やれやれ」
ヤバい、何だこれ……?
止まらないどころか、大きな悲しみの感情が心の奥底から襲いかかってきた。
「おい」
右手が頬の横に伸ばされる。
う……、叩かれる。
ほら、と言ってシグルドリーヴァさんは俺の頭を自分の方に引き寄せた。
えっ?……いやいや……えっ、えっ?わっ!
ポスっと、大きな胸にうずまる俺の顔。
ギルド服の胸元部分が露出されているため、直に彼女の体温を感じる。
とても……暖かくて柔らかい感覚。
その感覚に包まれている内に、さっきまでの感情が少しずつ消えていくのが分かった。
数秒後、ポンポンと頭を叩かれる。
「止まったか?」
「……はい」
よし、と言う声が聞こえると胸元は離れていった。
「年の離れた弟がいるんだ」
「……え」
「泣き虫でな、昔こうして落ち着かせていたのを思い出したよ。大人でも効くんだな」
そう聞いた瞬間、自分の顔が真っ赤になるのが分かった。
……ダセぇ。
俺……カッコ悪過ぎるだろ。
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