煙草
ザンビア強かったー。
日本代表、本番頑張って下さい!
ずんずんと歩いて行く先輩に慌ててついていくと、ギルドの内側にある中庭にでた。
中庭にはいくつか屋根付きのベンチがある。
その1つに向かい、腰を下ろしたシグルドリーヴァさんの隣に座る。
「ここが一番濡れないんだ」
「そうなんですね、初めて座りました」
「君はどうして銃ギルドに入ったんだ?」
唐突な質問。
隣を向くと、一重の鋭い眼光で見据えられていた。
周りの空気が固まる。
一呼吸おいてから、その目を真っ直ぐ見返し答えた。
「目的があるからです」
「そうか」
なら良い、と先輩はベンチの屋根を見上げた。
え……それだけ?
今、もの凄い殺気を放ちませんでした?
「何だか不思議だ」
「……何がですか」
「君は私を恐れていない」
「え……?」
「新人でR2か……。確かに申し分ないな」
シグルドリーヴァさんはそう言うと、ポケットから煙草を取り出した。
「……君も吸うか?」
ピシィィィッ
煙草を差し出された瞬間、頭の中に電撃が走った。
マズい……何だこれ……。
おい、どうした、と投げ掛けられる言葉を耳に残しながら俺の意識はそこで途切れた。
「~が、~だから」
「~~、~だよ」
薄暗い森の中、雨に濡れながら草むらに伏せている。
周りには仲間が2人、同じような体制で会話をしていた。
「カイト、そろそろ良いんじゃないか?」
「そうだな、だけど……」
「参ったよ。まさかこんなところで足止めを喰らうとはね」
「ソー、周辺を見てきてくれるか?」
「オーケー」
そう言うと、ソーは前屈みの体制で茂みの中に消えていった。
「あいつら今頃ゆっくり休んでやがるんだろうなぁ」
「俺達を探していなければな」
「確かに。……ほれ」
「ん……?良いのか?」
「お前のはもうないだろ。吸えよ」
「悪いな」
差し出された煙草に火をつける。
雨だから煙も周りに見えないだろう。
ふぅ、と煙を吐き出す。
日本を離れてもう2年……。
こんなところでの一服にも慣れてしまった。
パァン!
「っ!?」
「なっ!?」
パァン!
パァン!
だんだんと近付く銃声。
……見つかったか!?
「カイト」
「ああ、まずソーの安否からだ」
「わかった」
2人で草の中を歩伏しながら前進する。
その間も鳴り響く銃声を気にしながら、ソーを探す。
「どこだ?」
「くそっ!」
その時、ピタッと銃声が止んだ。
数秒後、大きな悲鳴が雨音を遮った。
「あっ……」
「……」
視線の先に、数人の兵士に捕まったソーの姿を捉えた。
1、2、3……
くそっ、8人もいるのか。
(カイト……)
(分かってる。お前は先に逃げろ)
(でも……)
(早く!お前が本部に伝えるんだよ!)
タンは目に涙を浮かべて、ゆっくりと頷いた。
(行け)
(……死ぬなよ)
(ああ)
2人別々の方向に別れ、ソーから目を離さないように注意を払いながら茂みを進む。
ソーは両手を頭の後ろに回し座っている。
その頭には兵士の銃口が向けられていた。
……どうする?
さすがに1対8では勝ち目はない。
兵士がトリガーに指をかける。
……待て、やめろ。
パァン!
「ソー!!」
「っと……おい」
「えっ……あれ……?」
「驚かすな」
「あ……」
目の前に広がっているのは白い部屋。
ベッドの脇にシグルドリーヴァさんが座っていた。
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